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東京編
港南台の悪魔
しおりを挟む何となく知ってはいた、うちの学校に時代錯誤の
ヤンキー集団がいると……。
「―― えっ、それはつまり、俺にその生徒達を
更正させろって事、ですか?」
「いいやぁ、そこまでは期待していませんよ各務先生。
まさか、あなたに? アハ、アハハハ~ ――」
「ハハハ……」
「ただ、もう少~しあの問題児達をきつーく
取り締まって欲しいって事です。
あいつらを野放しにするとロクな事しませんから
ねぇ。父兄や近隣住民達からの苦情が絶えないん
ですよ。私も教頭として頭が痛い……幸い先生は
クラス担任はしてないからお暇でしょ?
それに戴いているお給料分くらいは、しっかり働いて
頂かないと!」
「そーですよ、普段ラクしてるんですから」
俺と教頭・山ノ内の話しに割り込んできたのは
数学の迫田だ。
生徒達からは”ご機嫌取り”だの”腰巾着”
だのと言われ、この男に好感を持っている
生徒はいないと思う。
かく言う俺もこの男は大の苦手だ。
「あ、でも、迫田先生……」
「いいじゃないですかぁ~、あなたPTAにも人気絶大
ですしねぇ、竜二先生。その調子であいつらも
手懐けて下さいよ」
「手懐けろって言われましても……」
「お若いんですから、体力だけは無駄に有り余ってる
でしょうし」
「ア、ハハハ……」
「じゃ、頼みましたよ、各務先生」
「お愛想振りまくだけじゃなく、たまには役に立つ処も
見せて下さいねぇ」
「あぁ! でも、絶対生徒には手を上げないで下さいね。
教育委員会やマスコミが煩いですから」
!! …… じゃあ、どうしろってんだよっ?!
学生時代、大きな借りを作ってしまった
教育委員会の教育長から泣き落とされ、
この春の新学期から産休に入る化学教師の
代打として、渋々赴任したが ――。
”産休の代替教師”非常勤講師だとは言っても、
嫌味な上司&先輩、生意気な生徒、面倒なPTA ――。
いい事なんかありゃしねぇ。
あ~ぁ、なんかないもんか……
この殺伐とした毎日に僅かでもいいから潤いは。
*** ***
「―― これで美人の女性教諭でもいりゃあ、
少しはヤり甲斐も湧くってもんだが、既に女を捨てた
ようなオバサンしかいねぇし、保険医まで男ときてる
……あり得ねぇ、最悪」
「いいじゃないの、高校教師。ちょっと若いってだけで
女子生徒にモテモテだぜぇ。大体お前はいつも贅沢
なんだよ」
こいつは物心ついた頃からの腐れ縁で、かれこれ
30年越しの付き合いになる、日向 英之。
この星蘭大学附属私立港南台高校の養護教諭。
「あんな小煩いのにモテても嬉しくない」
「だからお前は贅沢だっての。この広い世の中にゃな、
生まれてこのかた女っ気ゼロって侘びしい男も山と
いるんだぞ~」
「引く手も数多のお前がそれを言うか?」
「……けど、山ノ内達が言ってるヤンキー集団、
あいつらそんなややこしい連中でもないぞ」
「知ってるのか?」
「まぁな。喧嘩の怪我で割りとよくココに来るから。
手ぇかかるとしたら、和泉くらいじゃないかな」
「ちょっと待て、それって、3-Sの和泉絢音か?」
「おっ。さすが学年主席の可愛い女子はインプット
済みか。
何を隠そう彼女が連中のリーダー格だ。
”港南台の悪魔”って有名だぜぇ。
彼女が1度暴れ出すと ―― 辺りは一面、
血の海と化す! なぁんてな」
……マジかよ。
ってか、和泉はこの4月に転校して来たばかりだろ。
で、もう”港南台の悪魔”か?
こりゃ、えらい問題児押し付けられたもんだ……。
とりあえず、そいつらに当たりをつけない事には
始まらんかぁ……。
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