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東京編
体育祭 ―― 2
しおりを挟む昼休みが終わってすぐに始まった『騎馬戦』は、
全学年のクラス対抗っていうなんだかすごいものだ
どう考えたって下級生が不利だと思うけど、
そこらへんは毎年、容赦ないみたい。
体重が軽い女子という理由で、問答無用。
私は騎手にさせられた。
攻撃チームの指揮をとるのは学級委員の
チョ-さんで、まずはやはり、1年を狙おう
という話になっていた。
ピストル(スターター)の合図で、
一斉に一番近い1-Aめがけて走って行った。
各騎馬の騎手が被っているクラスごとに色違いの
体育帽を幾つ取れるかで、勝敗が決まる。
狙いをつけた1-Aのひと組の騎手へ手を
伸ばしかけた時 ――。
突然横っちょから腕をを引っ張られた。
懇親の力で思い切り引かれて、バランスを崩し
『あっ!』と思った瞬間、掴まっていた騎馬の
男子から手が離れて、後ろに倒れていく感覚に、
瞬間的に冷や汗がドッと出た。
うわっ!! 落ちる!
そう思って、頭を守ろうとした瞬間、
誰かに抱きかかえられていた。
「?!」
ゆっくり目を開けるとそこには、
はぁはぁ ――と息を切らせたダサ……各務先生
がいた。
先生は私を抱きかかえたまま歩くと、
人の群れから外れた場所に私を下ろした。
「ったく ―― あんま無茶をするな」
「あ……」
周りの歓声が、すごくヒトゴトみたいに、
聞こえてた。
「しばらくここで大人しくしてろよ」
そう言いながらすぐに競技に戻って行った
先生の足から、ダラダラ血が出てる。
「ちょっ!」
え? あいつ、なに? あの流血……。
もしかして、私を助けた時に?
痛くないの?!
早く手当をって言いに行こうとしたら、
事務の刑部さんが先生に声を掛けたのが見えた。
血が出てる足を、彼女が指さしてる。
「あ……」
その刑部さんが先生を引っ張って、
保健室の方に向かって行くのを、ただ、見送った。
なんか……あれ?
ちょっと……あれ?
気分的に、何だか私……おかしい。
……なんで?
クラス対抗男女混合騎馬戦は、下馬評通り、
3年生の圧勝で終わった。
私は競技が終わるやいなや、保健室に急いでいた。
いや。
あの2人の邪魔をするつもりとか……
そんなんじゃなくて。
もしかすると、あいつのケガが、
私のせいなのかもしれないって思ったら、
すごく気になってて……。
だってこのあと、あいつ、教職員VS父兄チームの
対抗リレーも出るはずなのに。
チームのエースが走れなかったらどうしよう……。
保健室のドアを開けると、刑部さんが先生の膝を、
消毒しているところだった。
他には、誰も見当たらない。
「あ……」
「あら? あなたは確か3-Sの和泉さんだった
かしら? どうしたの? ケガでもした?」
「……あ、いいえ。なんでも、ないです……」
せっかく声を掛けてくれた刑部さんに、
ぶっきらぼうにそう言って、
そのまま保健室を飛び出してしまった。
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