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第6章 — 時間の向こう側
数週間が過ぎ、僕とミカの間には言葉にできない絆が生まれていた。記憶を辿る旅は、いつしか自分自身を見つめ直す旅にもなっていた。
ある夜、図書館で再びあの藍色の本を手に取ったとき、ページが突然光り出した。眩しい光に包まれ、気づくと僕らは見知らぬ街の真ん中に立っていた。
そこは「時間のない街」そのものだった。周りには動かない人々、止まった時計、静寂だけが支配していた。
「ここが…?」
ミカがささやく。
僕は恐る恐る歩き出した。すると、遠くから誰かの声が聞こえた。
「やっと来たか。」
振り向くと、そこには年老いた男が立っていた。彼はこの街の守り人だと言った。
「ここは時間が止まった場所ではない。人が忘れた記憶の場所だ。君たちはその記憶を取り戻し、未来へと歩き出すためにここに導かれた。」
僕らは静かに頷いた。男は言葉を続けた。
「だが、忘れた記憶の扉を開くには勇気が必要だ。恐れずに自分と向き合え。」
ミカは深呼吸をして、止まった街の中を進み始めた。僕もそれに続く。
ふと、僕の中にあった曖昧な感情が鮮明に蘇った。忘れていた約束、消えかけていた夢。すべてが色づき始めた。
時間のない街は、僕らが閉ざしていた心の扉を開くための場所だったのだ。
ミカは振り返り、僕に微笑んだ。
「これで、私たちは前に進める。」
僕はその言葉に力強く頷いた。
街の時計がゆっくりと動き出し、止まっていた世界が新しい時間の流れを取り戻す。
夜明けの光が僕らを包み込み、すべてが変わった瞬間だった。
数週間が過ぎ、僕とミカの間には言葉にできない絆が生まれていた。記憶を辿る旅は、いつしか自分自身を見つめ直す旅にもなっていた。
ある夜、図書館で再びあの藍色の本を手に取ったとき、ページが突然光り出した。眩しい光に包まれ、気づくと僕らは見知らぬ街の真ん中に立っていた。
そこは「時間のない街」そのものだった。周りには動かない人々、止まった時計、静寂だけが支配していた。
「ここが…?」
ミカがささやく。
僕は恐る恐る歩き出した。すると、遠くから誰かの声が聞こえた。
「やっと来たか。」
振り向くと、そこには年老いた男が立っていた。彼はこの街の守り人だと言った。
「ここは時間が止まった場所ではない。人が忘れた記憶の場所だ。君たちはその記憶を取り戻し、未来へと歩き出すためにここに導かれた。」
僕らは静かに頷いた。男は言葉を続けた。
「だが、忘れた記憶の扉を開くには勇気が必要だ。恐れずに自分と向き合え。」
ミカは深呼吸をして、止まった街の中を進み始めた。僕もそれに続く。
ふと、僕の中にあった曖昧な感情が鮮明に蘇った。忘れていた約束、消えかけていた夢。すべてが色づき始めた。
時間のない街は、僕らが閉ざしていた心の扉を開くための場所だったのだ。
ミカは振り返り、僕に微笑んだ。
「これで、私たちは前に進める。」
僕はその言葉に力強く頷いた。
街の時計がゆっくりと動き出し、止まっていた世界が新しい時間の流れを取り戻す。
夜明けの光が僕らを包み込み、すべてが変わった瞬間だった。
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