ママ友と……

足利直建

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第10話 完堕ちして

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  ナオミさんは、私を徹底的に叩きのめすつもりのようだ。
 どんなに泣き喚いてもどんなに許しをこおうとも責める手を緩めてはくれない。
 頂上に達するほんのわずか手前で責めを止め、私の熱が少しだけ冷めるのを待ってから、また再開するということを執拗に繰り返してくる。
 その止めるタイミングがあまりにも絶妙。
 女の体を知りつくしているナオミさんは、どこまで追い込みどこで止めれば相手をもっとも苦しめることができるのかを熟知しているようだ。
 真正レズビアンで残忍なナオミさんにとって、私を屈服させることなど赤ん坊の手を捻るようなものなんだろう。
「うーーっ。もう許してえ~。頭がおかしくなっちゃう」
 ナオミさんの残酷な焦らし責めを受けているうちにだんだんと自意識が削られていく。
「辛いんでんでしょ。キスのおねだりをして、ナオミさんのものになりますって誓いなさい。そうしたら、スッキリさせてあげる」
 薄笑いを浮かべたナオミさんは私に絶対服従を誓わせようとする。
 体の奥底から湧き起こってくる苦しいほどの快感と焦燥感で、もはや言い返す気力もない。
 私はただ啜り泣きを漏らすことしかできなかった。
 あとのことなど考えられること余裕などできなくなってくる。
 繰り返される隠微な拷問から解放されて、早く楽になりたい。
 頂上に登って最高の快楽を早く味わいたいという思いだけが頭の中を支配していく。
「もおー。どうしてそんな意地悪ばっかりするの。そんなに私が憎いんならいっそうのこと殺してえー」
 何十回目かの寸止めで、私はとうとう音をあげてしまった。
 夫に見向きもされずに長年放置されていた熟れた体を焦らされ続け、完全に頭の血が上ってしまった。
 我慢の限界をはるかに越えている。
 もう体が爆発してしまいそうだ。
 一度だけ、たった一度だけでいい。
 頂上に連れて行ってくれたらそれで満足する。
 それ以上はなにも望まない。
 頭の中には、もう肉体の満足を得ることだけしか考えられなくなっていた。
 そのためであれば、どんなことでもする。
「やっと降参する気になったのかしら。さっさとおねだりしなさい」
 ナオミさんが内股をピシャピシャと叩く。
 促された屈服の言葉を吐こうとしたとき、性欲に支配された頭の中からいったん消え失せていたはずの夫と莉緒の姿がふたたび現れた。
 二人とも悲しそうな顔で私を見ている。
 あなた、莉緒ごめんなさい。
 私、頑張ったのよ。
 でも、もう我慢できないの。
 今日だけ。今日だけは許して。
 心の中で二人に謝った。
 暴走をする肉欲に心も体も支配されてしまった今となっては夫や莉緒の姿は塵と同じ。
 アッという間に吹き飛んで行ってしまった。

 私は媚びるような目でナオミさんを見る。
 哀れな草食獣を今まさに食い尽くしてやろうとしている肉食獣のような目をしていた。
「ナオミさん。キスしてください」
 自分でも驚くほど鼻にかかった甘えるような声が出た。
「うふふ。ようやく堕ちる気になったようね。素直な沙也加も大好きよ」
 ナオミさんが覆い被さってきて、私の唇を奪う。
 唇を筆ではくように丁寧に舌で舐め、舐めつくすとわずかに開いた口の中へ入ってきて私の舌を絡めとる。
 誕生会の日にしたときも思ったことだが、ナオミさんは舌使いもとても上手い。
 比べてはいけないと頭では分かっているが、夫とは雲泥の差さだ。
 たった一回しただけで私の舌の弱いところをを見つけたのだろうか。
 触れられるところ触れられるところがすごく気持ちいい。
 初めてナオミさんとしたときよりも数十倍感じてしまう。
「うーん。うふーーん」
 体が小刻みに震え始める。
 キスだけで達してしまいそうだ。
 唇が急に離れた。
「またイキそうだったの? 沙也加はすごい淫乱ね。前もキスだけでイキそうになってたし」
 ナオミさんが呆れたように言った。
「だって、だって、ナオミさんが上手だから」
 私は少し唇を尖らせて拗ねたように言った。
「可愛いことを言うようになったじゃない。じゃあー、ご褒美に思いを遂げさせてあげようかな。足をもっと開きなさい」
 言われるがままに足を開く。
「沙也加は毛深いからよく見ないわね。これじゃあ入れてあげられないわ。自分で穴を広げて入口がどこか教えて」
 ナオミさんはまだ虐めてくる。
「そんなこと……。もう意地悪言わないで」
「できないの?」
 ナオミさんの目が鋭くなる。
 もし言うことを聞かなかったら、ナオミさんは私の頭がおかしくなるまで嬲りものにするだろう。
 私は目をつぶって覚悟を決めた。
 もっとも恥ずかしい女の部分に手を添えて広げる。
「いやらしい色してる。奥までよく見えるわよ」
「見ないで。恥ずかしい」
 夫の前でもこんな惨めな姿を晒したことはない。
 情けなさと悔しさで涙がこぼれ落ちてくる。
「よだれまでいっぱい垂らして、何か欲しそうにしてる。何が欲しいのから」
「わ、私のいやらしいところにナオミさんの指を……」
「指をどうしたらいいのかしら?」
 ナオミさんがとぼけた声で聞く。
「ゆ、指を入れてください」
 私はあまりの恥ずかしさと屈辱に涙をこぼした。
「うれし涙を流すほど入れて欲しかったのね。中の肉がだいぶほぐれたみたいだから今度は3本入れてあげるわ。沙也加も太いほうが好きでしょ」
 指がゆっくりゆっくりと入ってくる。

 やっと、これで思いを遂げることができると思った。
 だが、ナオミさんはそんなに優しい人ではなかった。
 私の望んだとおりのことを簡単にはしてくれない。
 指は少し入ったところで小刻みに動く。
 ほんのわずか奥に進んだかと思うと、そこでまた肉壁を擦る。
 指は遅々として進んでくれない。
 もっと奥を突いて。
 もっと気持ちよくなりたい。
 早く頂上まで上りたい。
 あまりのもどかしさに指をもっと奥に飲み込もうと腰を突き上げた。
 だが、それを拒むように指は浅いところに張りついたまま動こうとしない。
 腰を下ろしてはまた突き上げるということを2度3度と繰り返す。
 だが、そのたびに指はスッと浅いところへ逃げていく。
「ああーっ。もうどうして。どうして」
 あまりのもどかしさに私は呻吟した。
 ナオミさんはなんて残忍な人なんだろう。
 女の身としては、これ以上はないだろうという辱めにあわせておきながら、まだ虐め足りないらしい。
「望みどおりに指を入れてあげてるのに、なに面白いことをしているのかしら」
 ナオミさんは分かっているくせに白々しいことを言う。
「もっと奥まで指を入れてください」
 あまりのじれったさに叫ぶように言った。
「どうして?」
 この女はどこまで私を嬲りものにしたら気がすむのだろう。
「奥が気持ちいいの。沙也加は奥を突かれるのが大好きな淫乱女なの。だから早く奥を突いてえー」
 女の見栄も羞恥心もすべて打ち捨てて、あらん限りの大声を出した。
「そう。奥を突かれるのがそんなに好きなの。本当に沙也加はわがままな淫乱女なんだから。仕方ないわね」
 ナオミさんの指がたっぷりと時間をかけて奥まで入ってきて、ゆっくりと抽送を繰り返す。
「あっ、あっ、いいー」
「どこがいいの?」
「そこ、すごくいい」
「こうすればもっといいんじゃない?」
 ナオミさんの指が中を激しく掻き回す。
 「あーん、すごい。あっ、あっ、あーっ」
 もう恥も外聞もなく大声で喘いだ。
「そろそろイカせてあげないとかわいそうね」
 ナオミさんの指が激しく出し入れを始めた。
「ねっ、ねっ、今度はちゃんとね、最後まで。お願い」
 ナオミさんに哀願した。
「イクときはちゃんとイクって教えるのよ。沙也加がどんな無様なイキ顔をするのかよく見たいから」
「言うわ。言うから。沙也加の恥知らずの顔をよく見て」
 肉欲に頭の中すべてを支配されてしまった私は泣き叫んだ。
「すごく素直になったわね。ご褒美に沙也加の感じらところを全部責めてあげる。思いっきりイキなさい」
 そう言うと、沙也加さんの空いている手が伸びてきて乳首を揉み潰し、足を極限まで開いた股間に顔を埋めてカチカチに固くなった肉芽を舌で転がした。
 指はせわしなく私の中で出入りを繰り返す。

 私はすぐに頂上寸前まで上っていく。
 我慢の限界はもうとっくに越えていた。
「ああ~。すごい。いいの。すごくいいー。本当に今度こそ。もうやめちゃーいやよ、最後まで。ねっ、ねっ」
 また、途中で止められたら、確実に私は壊れてしまう。
 熱い息を吐きながら身悶えした。
「そう。そんなにいいの。いいわよ。ちゃんとイかせてあげる。沙也加の好きなところを全部かわいがってあげる。遠慮なく思いっきりイキなさい」
 ナオミさんはそう言うと、指をせわしく動かしながら膣穴の上で尖りきっていた肉の蕾を唇でついばんだり舌で転がし、さらに空いている手の指先で乳首を揉んだ。
「ああーっ、もうダメえ~。ダメです。イキます。イっちゃいます」
 体の痙攣がもう止まらない。
「いいわよ。イっちゃいなさい。イキ顔をよく見せるのよ。分かった?」
 ナオミさんが歌うように言う。
「は、恥ずかしい。でも、もう我慢できないの。沙也加のイキ顔をよく見て。イク。イク。イク~」
 私は卑猥な言葉を叫び、ナオミさんの指を食いしめながら上りつめた。
「よっぽど気持ちよかったようね。沙也加はいつもそんないやらしい顔でイクの?」
 ナオミさんの爛々と光る瞳が私を見つめている。
「いやあー。もう見ないで」
 夫にしか見せたことがない痴態を晒してしまった惨めさに顔を横に向けた。
 涙がこぼれてくる。
「どうしたの? 涙なんか流して。泣くほど気持ちよかったのかしら。もっと顔をよく見せなさい」
 ナオミさんは顎を掴んで私の顔を無理やり仰向かせると唇を寄せてきた。



 
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