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【3】アイ、エニシ、ワカレ
3-1 ケモノグルイ
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真っ暗で何も見えない。
体は座ったままで動かない。
心が底へ底へと沈んでいく。
「ンッフッフッフッ♪ 気分はどうかしら、ザックさん?」
誰かが話しかけてくる。どこかで聞いたその声は、何故かとても甘美だった。
「別に…悪かねぇよ…」
突然の大きく響く声に驚く。今のは……オレの声?
不思議なものだ。体はちっとも動かないのに、口は流暢に動くんだな。
「今からいくつか質問するわ。正直に答えてちょうだい♪」
「別に…構わんよ…」
何故だろう。どんな質問にも答えたくなってくる。
ああ、そうか。これが自白剤ってヤツか。腕に刺さったダーツの針に、たっぷり塗り込められていたんだな。
「まあ、素敵な心がけね♪ それでは質問するわ。モナカちゃんは何処?」
その質問にオレは困惑する。モナカ=チャンとはなんだ? どこかで聞いたはずだが…
「ケモノビトのモナカちゃんよっ! 分からないのっ? あ~! も~っ! 組織では"商品"と呼ばれていたわよっ! ったく、言わせないでよ! 腹立たしい!」
「ああ…商品ね…商品…商品…。いや、何処だろうな。分からない…」
「チッ! 弟分すら信用しないとは、流石はナンバー2かしらっ!」
舌打ちや悪態すらも甘美に聞こえる。
「では質問を変えるわ。ジェイクは何処?」
「ジェイクの兄貴か… 兄貴なら…最下の大広間にいるぜ…」
「最下層? そこに脱出ルートはあるの?」
「いや、ここだけだ… 食堂の煙突が、唯一の脱出ルートさ…」
「あのジェイクが逃げ場のない最下層に? おかしいわね、一体何故…。もしかして、最下の大広間には隠し部屋があるんじゃないの?」
「ああ、あるぜ… 大広間の一番奥に、オレ達の宝物をしまった隠し部屋がある…」
「ンフフッ♪ ありがとうザックさん♪ おかげでモナカちゃんの居場所、分かっちゃった♪」
そう言うと声の主は、オレの右頬に接吻をしてくる。気色の悪い奴だな。
「あ、そ~だっ♪ このまま情報を貰いっぱなしじゃ、フェアじゃないわね♪ 冥土のお土産に、一つだけ質問に答えてあげるわ♪」
「しつ…もん…?」
「ザックさん♪ 貴方は今、何を気にしてるの? 何が気になるのかしら?」
質問…。気になること…。それは……
「マンモス坊やは…何処に行っちまったんだ…」
「なぁにザックさん、あんなボンクラが好みなの? 変わったシュミしてるわね。いいわ、教えてあげる♪
あいつにここの入り口を開けさせた後、チームと一緒に外で待機させたわ。で、アタシがアジトに入ってから、入り口ごとドッカ~ン♪ 一網打尽ってワケ♪ 仮にあの爆発から生き残ったとしても、入り口が塞がっていたら入ってこられないでしょ? 正に一石二鳥よネ♪」
始末した? チームと一緒に? 一体どういうことだ?
「あら? 分からない? じゃあ、ついでに教えてあげるわ♪」
キュベリは耳元で囁く。
「モナカちゃんの"にぃに"はネ、アタシ1人だけでいいのっ♪ アタシだけがあの子を幸せに出来るからっ♪ だからね、他の奴らはみんな邪魔だったのよ♪」
それが理由? そんな理由で、大切な部下を切り捨てたのか?
なんてこった。正気の沙汰じゃねぇ。狂ってやがるぜ。
キュベリ… 女嫌いなお前が… お前ほどの男が… あの商品に、惑わされたのか…
ケモノの小娘に… 惑わされ… 狂ったのか……
ケモノ…… グルイ……
「ンフフフ♪ それじゃぁザックさん、失礼させていただくわ♪ アタシの毒のカクテル、ゆっくり味わってちょうだい♪」
ドアが閉まり、足音が遠ざかっていく。
真っ暗で何も見えない。
体は座ったままで動かない。
心は更に、底へ底へと沈んでいく。
やがて深淵の闇に包まれ……
オレは何も…何も……
聞こえ…な……
体は座ったままで動かない。
心が底へ底へと沈んでいく。
「ンッフッフッフッ♪ 気分はどうかしら、ザックさん?」
誰かが話しかけてくる。どこかで聞いたその声は、何故かとても甘美だった。
「別に…悪かねぇよ…」
突然の大きく響く声に驚く。今のは……オレの声?
不思議なものだ。体はちっとも動かないのに、口は流暢に動くんだな。
「今からいくつか質問するわ。正直に答えてちょうだい♪」
「別に…構わんよ…」
何故だろう。どんな質問にも答えたくなってくる。
ああ、そうか。これが自白剤ってヤツか。腕に刺さったダーツの針に、たっぷり塗り込められていたんだな。
「まあ、素敵な心がけね♪ それでは質問するわ。モナカちゃんは何処?」
その質問にオレは困惑する。モナカ=チャンとはなんだ? どこかで聞いたはずだが…
「ケモノビトのモナカちゃんよっ! 分からないのっ? あ~! も~っ! 組織では"商品"と呼ばれていたわよっ! ったく、言わせないでよ! 腹立たしい!」
「ああ…商品ね…商品…商品…。いや、何処だろうな。分からない…」
「チッ! 弟分すら信用しないとは、流石はナンバー2かしらっ!」
舌打ちや悪態すらも甘美に聞こえる。
「では質問を変えるわ。ジェイクは何処?」
「ジェイクの兄貴か… 兄貴なら…最下の大広間にいるぜ…」
「最下層? そこに脱出ルートはあるの?」
「いや、ここだけだ… 食堂の煙突が、唯一の脱出ルートさ…」
「あのジェイクが逃げ場のない最下層に? おかしいわね、一体何故…。もしかして、最下の大広間には隠し部屋があるんじゃないの?」
「ああ、あるぜ… 大広間の一番奥に、オレ達の宝物をしまった隠し部屋がある…」
「ンフフッ♪ ありがとうザックさん♪ おかげでモナカちゃんの居場所、分かっちゃった♪」
そう言うと声の主は、オレの右頬に接吻をしてくる。気色の悪い奴だな。
「あ、そ~だっ♪ このまま情報を貰いっぱなしじゃ、フェアじゃないわね♪ 冥土のお土産に、一つだけ質問に答えてあげるわ♪」
「しつ…もん…?」
「ザックさん♪ 貴方は今、何を気にしてるの? 何が気になるのかしら?」
質問…。気になること…。それは……
「マンモス坊やは…何処に行っちまったんだ…」
「なぁにザックさん、あんなボンクラが好みなの? 変わったシュミしてるわね。いいわ、教えてあげる♪
あいつにここの入り口を開けさせた後、チームと一緒に外で待機させたわ。で、アタシがアジトに入ってから、入り口ごとドッカ~ン♪ 一網打尽ってワケ♪ 仮にあの爆発から生き残ったとしても、入り口が塞がっていたら入ってこられないでしょ? 正に一石二鳥よネ♪」
始末した? チームと一緒に? 一体どういうことだ?
「あら? 分からない? じゃあ、ついでに教えてあげるわ♪」
キュベリは耳元で囁く。
「モナカちゃんの"にぃに"はネ、アタシ1人だけでいいのっ♪ アタシだけがあの子を幸せに出来るからっ♪ だからね、他の奴らはみんな邪魔だったのよ♪」
それが理由? そんな理由で、大切な部下を切り捨てたのか?
なんてこった。正気の沙汰じゃねぇ。狂ってやがるぜ。
キュベリ… 女嫌いなお前が… お前ほどの男が… あの商品に、惑わされたのか…
ケモノの小娘に… 惑わされ… 狂ったのか……
ケモノ…… グルイ……
「ンフフフ♪ それじゃぁザックさん、失礼させていただくわ♪ アタシの毒のカクテル、ゆっくり味わってちょうだい♪」
ドアが閉まり、足音が遠ざかっていく。
真っ暗で何も見えない。
体は座ったままで動かない。
心は更に、底へ底へと沈んでいく。
やがて深淵の闇に包まれ……
オレは何も…何も……
聞こえ…な……
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