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【外伝】Episode-ゼロ 真珠の起源 第3章 王の奪還
3-5.他人事の神話
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黒崎はさらに続ける。
「今年の秋ぐらいにはプレスリリースをする。世界の富を握る者たちを、この深淵へと招待するつもりだ。今考えている概要がこれだ」
—————————————————————————————————————
■ 動画プラットフォーム「VANTABLACK(ヴァンタブラック)」
VOD:『THE ABYSS PEARL : The Evolution SARAH』
(2021年12月1日深夜0:00より販売開始)
サラがホテルを出発してから「HADAL」に到着し、
10個の試練を完遂するまで、複数カメラによる約2時間の完全ノーカット動画
価格:100,000 豪ドル
撮影場所:「HADAL」
LIVE:Abyss Cathedral
(2021年12月25日~2022年12年24日)
※毎週土曜(月3回) 22:00開始
1. 【Standard Access】(第1章~第3章まで)
価格:1公演 2,000 豪ドル
内容: メインギャラリー、スカイシャフトからの中継。フラスコ、リング水槽、30mダイブまでを視聴。
仕様: 第3章が終了した瞬間に配信が自動的にフェードアウトし、
「ここから先はコア・メンバー専用領域です」という漆黒のメッセージ画面に切り替わります。
2. 【The Abyss Core Digital Pass】(第4章:100m浮上)
価格:1公演 +3,000 豪ドル
内容: サラと共に深海へと潜る特設カメラ映像、
およびバイタルデータの完全同期。
仕様: 第3章から第4章へ、途切れることなくシームレスにアクセス。
100mの暗黒からサラが光を掴むまでの「全記録」をライブで共有。
3. 【Millennium VIP Pass】
価格:150,000 豪ドル
内容: 全36回公演のすべての視聴が可能。
撮影場所:「NUCLEUS」
■ 「Abyss Cathedral」
会場:「NUCLEUS」
毎週土曜日 21:00 開場 22:00開演
(2021年12月25日~2022年12月24日)※月3回
【第1部:Main Gallery、Sky Shaft(最大100名)】
料金: 10,000 豪ドル
第1章: 巨大フラスコ「オリジン」での鑑賞(水深6m)
第2章: 断崖30mからの墜落「バーティカル・ドロップ」(水深15m)
第3章: 蒼い環の審判「エターナル・オービット」(水深8m)
【第2部:Abyss Core(16名限定)】
第4章:垂直の死線「バーティカル・デッドライン」
深度: 水深100メートル
内容: ドーナツ型エレベーターで観客と共に潜航。
100mの暗黒で拘束を解かれたサラが、自力で水面まで一気に浮上する。
追加料金: +40,000 豪ドル
■ 「Abyss Cathedral」タイムスケジュールのまとめ
21:00: ゲスト入場 / ウェルカムドリンク
22:00: 開演(第1章~第3章)、VANTABLACK ライブ配信開始
23:00: 「Abyss Core」への移動 / 最終準備
23:15: 第4章(100m垂直死線)開始
23:30: フィナーレ / クロージング、VANTABLACK ライブ配信終了
■ 究極の5名限定:The Genesis Obsidian Pass
(ジェネシス・オブシディアン・パス)
価格:50,000,000 豪ドル(約50億円)
定員:5名限定
このパスを所有する5名だけの「絶対的特権」
劇場の「永久固定席(コア・シート)」確保:
毎週土曜日、「NUCLEUS」内の、最も視界が良い固定席を1年間確保。
来場できない週は、その席に設置された専用VRカメラを通じて、VANTABLACK上で「自分の席からの視点」を独占配信。
アフター・アビス・ドリンク(毎週):
公演終了後、減圧を終えたサラ、そして監督の黒崎と、劇場の最上階にあるプライベート・バーで30分だけ深夜の乾杯を共にする権利。
深海の死闘を終えたばかりのサラと直接言葉を交わすことができるのは、この5名の中から事前予約した1名のみ。
サラの「生命の鍵」:
サラが潜水中に使用する、バイタルモニターのマスター・レプリカを提供。
彼女の心拍が止まりかけた時、その振動がパス保持者の手元に直接伝わるデバイス。
プライベート・ジェット・シャトル:
世界中のどこにいても、毎週土曜日の公演に合わせてブラックドッグ社の
プライベート・ジェットが送迎。
ケアンズ空港から「NUCLEUS」までは、黒崎所有の装甲リムジンが直行します。
「VANTABLACK(ヴァンタブラック)」の原盤権への関与:
このVANTABLACK(ヴァンタブラック)の全オリジナルデータを保管する
金庫の「鍵(デジタル・キー)」を分割所有。
このプロジェクトの「歴史そのもの」を黒崎と共に守る守護者としての地位。
—————————————————————————————————————
浮かび上がるホログラムの青白い光が、サラの端正な横顔を冷たく照らし出していた。
1000万豪ドル、あるいは1回の公演で数百万という狂った数字が、夜の潮風に吹かれながら彼女の瞳の中をスクロールしていく。
サラは、吸い込まれそうなほど深い海の色をした瞳を細め、小首をかしげた。
その視線は、自分を商品として切り売りする冷徹なビジネスモデルを見ているのではない。
まるで、遠い銀河の観測データを眺める天文学者のように、あるいは、自分とは無関係な異国の神話でも読み耽る少女のように、あまりにも無垢で、あまりにも他人事だった。
自分の命が、秒刻みで数千万円の価値に換算され、心臓の鼓動一つまでが富豪たちの愉悦のために切り売りされるというのに。
「……ふーん」
彼女の唇から、小さな吐息がこぼれる。 自分がその「深淵の真珠(アビス・パール)」として、文字通り命を削って暗黒の底を舞う主役であるという自覚など、そこには欠片も存在しなかった。
彼女にとって重要なのは、数字の羅列でも、投じられる巨額の私財でもない。
ただ、その光り輝く設計図の底にある「漆黒の闇」に、誰でもない黒崎の手によって、美しく、深く、沈めてもらえるかどうか。
ただそれだけだった。
舞い上がる夜の砂が、ホログラムの光を乱反射させ、彼女の輪郭を一瞬だけ曖昧にする。
その刹那、黒崎の目には、サラがすでにこの現実の世界から離れ、設計図の中にある200メートルの深淵へと、魂だけ先に潜り込ませているように見えた。
「今年の秋ぐらいにはプレスリリースをする。世界の富を握る者たちを、この深淵へと招待するつもりだ。今考えている概要がこれだ」
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■ 動画プラットフォーム「VANTABLACK(ヴァンタブラック)」
VOD:『THE ABYSS PEARL : The Evolution SARAH』
(2021年12月1日深夜0:00より販売開始)
サラがホテルを出発してから「HADAL」に到着し、
10個の試練を完遂するまで、複数カメラによる約2時間の完全ノーカット動画
価格:100,000 豪ドル
撮影場所:「HADAL」
LIVE:Abyss Cathedral
(2021年12月25日~2022年12年24日)
※毎週土曜(月3回) 22:00開始
1. 【Standard Access】(第1章~第3章まで)
価格:1公演 2,000 豪ドル
内容: メインギャラリー、スカイシャフトからの中継。フラスコ、リング水槽、30mダイブまでを視聴。
仕様: 第3章が終了した瞬間に配信が自動的にフェードアウトし、
「ここから先はコア・メンバー専用領域です」という漆黒のメッセージ画面に切り替わります。
2. 【The Abyss Core Digital Pass】(第4章:100m浮上)
価格:1公演 +3,000 豪ドル
内容: サラと共に深海へと潜る特設カメラ映像、
およびバイタルデータの完全同期。
仕様: 第3章から第4章へ、途切れることなくシームレスにアクセス。
100mの暗黒からサラが光を掴むまでの「全記録」をライブで共有。
3. 【Millennium VIP Pass】
価格:150,000 豪ドル
内容: 全36回公演のすべての視聴が可能。
撮影場所:「NUCLEUS」
■ 「Abyss Cathedral」
会場:「NUCLEUS」
毎週土曜日 21:00 開場 22:00開演
(2021年12月25日~2022年12月24日)※月3回
【第1部:Main Gallery、Sky Shaft(最大100名)】
料金: 10,000 豪ドル
第1章: 巨大フラスコ「オリジン」での鑑賞(水深6m)
第2章: 断崖30mからの墜落「バーティカル・ドロップ」(水深15m)
第3章: 蒼い環の審判「エターナル・オービット」(水深8m)
【第2部:Abyss Core(16名限定)】
第4章:垂直の死線「バーティカル・デッドライン」
深度: 水深100メートル
内容: ドーナツ型エレベーターで観客と共に潜航。
100mの暗黒で拘束を解かれたサラが、自力で水面まで一気に浮上する。
追加料金: +40,000 豪ドル
■ 「Abyss Cathedral」タイムスケジュールのまとめ
21:00: ゲスト入場 / ウェルカムドリンク
22:00: 開演(第1章~第3章)、VANTABLACK ライブ配信開始
23:00: 「Abyss Core」への移動 / 最終準備
23:15: 第4章(100m垂直死線)開始
23:30: フィナーレ / クロージング、VANTABLACK ライブ配信終了
■ 究極の5名限定:The Genesis Obsidian Pass
(ジェネシス・オブシディアン・パス)
価格:50,000,000 豪ドル(約50億円)
定員:5名限定
このパスを所有する5名だけの「絶対的特権」
劇場の「永久固定席(コア・シート)」確保:
毎週土曜日、「NUCLEUS」内の、最も視界が良い固定席を1年間確保。
来場できない週は、その席に設置された専用VRカメラを通じて、VANTABLACK上で「自分の席からの視点」を独占配信。
アフター・アビス・ドリンク(毎週):
公演終了後、減圧を終えたサラ、そして監督の黒崎と、劇場の最上階にあるプライベート・バーで30分だけ深夜の乾杯を共にする権利。
深海の死闘を終えたばかりのサラと直接言葉を交わすことができるのは、この5名の中から事前予約した1名のみ。
サラの「生命の鍵」:
サラが潜水中に使用する、バイタルモニターのマスター・レプリカを提供。
彼女の心拍が止まりかけた時、その振動がパス保持者の手元に直接伝わるデバイス。
プライベート・ジェット・シャトル:
世界中のどこにいても、毎週土曜日の公演に合わせてブラックドッグ社の
プライベート・ジェットが送迎。
ケアンズ空港から「NUCLEUS」までは、黒崎所有の装甲リムジンが直行します。
「VANTABLACK(ヴァンタブラック)」の原盤権への関与:
このVANTABLACK(ヴァンタブラック)の全オリジナルデータを保管する
金庫の「鍵(デジタル・キー)」を分割所有。
このプロジェクトの「歴史そのもの」を黒崎と共に守る守護者としての地位。
—————————————————————————————————————
浮かび上がるホログラムの青白い光が、サラの端正な横顔を冷たく照らし出していた。
1000万豪ドル、あるいは1回の公演で数百万という狂った数字が、夜の潮風に吹かれながら彼女の瞳の中をスクロールしていく。
サラは、吸い込まれそうなほど深い海の色をした瞳を細め、小首をかしげた。
その視線は、自分を商品として切り売りする冷徹なビジネスモデルを見ているのではない。
まるで、遠い銀河の観測データを眺める天文学者のように、あるいは、自分とは無関係な異国の神話でも読み耽る少女のように、あまりにも無垢で、あまりにも他人事だった。
自分の命が、秒刻みで数千万円の価値に換算され、心臓の鼓動一つまでが富豪たちの愉悦のために切り売りされるというのに。
「……ふーん」
彼女の唇から、小さな吐息がこぼれる。 自分がその「深淵の真珠(アビス・パール)」として、文字通り命を削って暗黒の底を舞う主役であるという自覚など、そこには欠片も存在しなかった。
彼女にとって重要なのは、数字の羅列でも、投じられる巨額の私財でもない。
ただ、その光り輝く設計図の底にある「漆黒の闇」に、誰でもない黒崎の手によって、美しく、深く、沈めてもらえるかどうか。
ただそれだけだった。
舞い上がる夜の砂が、ホログラムの光を乱反射させ、彼女の輪郭を一瞬だけ曖昧にする。
その刹那、黒崎の目には、サラがすでにこの現実の世界から離れ、設計図の中にある200メートルの深淵へと、魂だけ先に潜り込ませているように見えた。
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