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お礼はキャラメル

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 そこで彼の格好に目をとめる。

 今日は制服ではない。

 カジュアルなジーンズとシャツを着ていた。

 土曜日なのだから私服で当たり前かもしれないが。

 自分だって制服ではなく私服姿であるし。

 ちょっと気になった。

 適当に着てきたTシャツとスカートだけど、おかしくないだろうか。

「これ、お礼です」

 すっとさし出されたものに、莉瀬はきょとんとしてしまう。

 だってそれは、一箱のキャラメルだったのだから。

「あれ、これ……」

 前に彼が買っているのを見たのと同じ商品で、莉瀬がいつも食べているもの。

 今もレッスンバッグに箱が入っている。

 もう食べてしまってカラになっていたけれど。

 新しいのを買おうと思っていたところだったのだと思い出して、なんだかどきっとした。

 なんというタイミングのよさだろう。

「前にコンビニで買うところを見たんです。……あっ、ぐ、偶然です」

 言ったあとに、彼は慌てた様子でつけ加えた。
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