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いじめっ子との言い合い

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 言ってフロアの中を見た莉瀬だったが、朱里だけでなくこのあいだ悪口を言っていたグループ。

 気づいているだろうに誰もこちらへきてくれなかった。

 また顔を見合わせて、悪い笑顔を浮かべている。

 莉瀬はむっとした。

 悪口を言うだけでもどうかと思うのに、こんなレッスン全体を邪魔するようなこと。

 なにか言おうかと思ったけれどその前にほかの子が、たたっとこちらへやってきてくれた。

 Cクラスから一緒にあがった子たちだ。

「ごめんね、手伝うよ」

「……ありがとう!」

 莉瀬はほっとした。

 みんながみんな、朱里たちのような子じゃない。

 でも、その子たちもちょっと不思議そうに朱里たちを見た。

 このまま放っておけば、悪いほうへ進むのは明らかだった。

 朱里たちになにか、吹き込まれていじめがはじまってしまうかもしれない。

 なにしろこの子たちは朱里より年下だ。

 なにか言われたら、朱里たちには逆らえないかもしれない。


 なんとかしないと。


 莉瀬は決意した。

 なにをどうするのかは思いつかなかったけれど、今はそんなことを考えている場合じゃない。

 レッスンがもうすぐはじまる。

 自分に言い聞かせて、「ありがと!」とその子たちに笑ってみせて準備を終えた。


 レッスン中は乙津先生が見ているからか、なにも起こらなかった。

 けれど、レッスンが終わってそうじをする時間になったとき。

 また朱里たちグループはそうじに加わろうとしなかった。

 さすがに莉瀬は文句を言おうかと思った。

 そのとき、うしろからすっと莉瀬の横を通って朱里たちのところへ行こうとした子。

 莉瀬の近くでぼそっと言った。

「村娘」

 どきんとしてしまう。

 それはあのときこの子たちがこそこそ言っていたことそのままだった。
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