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報告、祝福、僅かな不安

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 早いほうがいいと言われたので、その夜ライラは父の書斎を訪ねた。多大に緊張しながら。書類をたくさん広げて仕事をしていた父は、立派な肘掛け椅子から振り向いて、ライラの「ご報告があります」という言葉に、ちょっと眉根を寄せる。
「あの幼馴染か」
 数秒黙って、ふぅっとため息をつかれた。
「庭師な……理想的ではないが、まぁ最悪でもないだろう」
 ぼそりとではあったが、そして全面肯定ではなかったが。少なくとも否定はされなかった。ライラの胸が歓喜に湧いた。
 まぁいいだろう、などと言ってもらえたが、次に言われた言葉にライラは仰天して、また真っ赤になってしまった。
「ただし、嫁入り前に交渉は許さん。そうなろうものなら即刻、縁を切らせるからな」
 交渉とは。
 それがわからないほど初心でも子どもでもない。性的な行為を指しているのだ。
「リゲルは、……そのような男のひとではありません」
 やっと言った。恥ずかしさのあまり、俯いてぼそぼそとなってしまったが。
 本心だった。信じている。
 リゲルは誠実なひとだ。そのようなこと、するはずがないと思った。
 大体、今まで考えたことがなかったのだ。結婚前にそういうことをするとはみじんも考えたことがなかった。それでも、もしも結婚したらそういうこともあるのだろうなとは少しだけ考えたことがあったので、それに恥ずかしくなってしまう。
「そうか。そうだといいがな」
 それで父親への報告も済んでしまった。あっさり済み、また受け入れられたことに、少し拍子抜けしてしまったくらいだ。
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