宮廷画家令嬢は契約結婚より肖像画にご執心です!~次期伯爵公の溺愛戦略~

白妙スイ@書籍&電子書籍発刊!

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薔薇の庭と和解

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 レオンのほうもアマリアのことがすぐわかったらしい。

 すぐに二人の近くまでやってきて、アマリアの足元にまとわりついた。

 ふわふわした白い毛並みがアマリアの長いスカートに擦れる。

「こんにちは、お邪魔しております」

 アマリアはレオンの歓迎におかしくなってしまいつつ、挨拶をした。

 フレイディがかたわらにやってきて、膝をついてレオンの背中を撫でる。

「ほら、レオン。先日のことをお前からも謝るんだ」

 促すような手つきからか、言葉からか、レオンはそれを理解したらしい。

 顔を上げて、アマリアを見つめ、すっと腰を落として『おすわり』をした。

 そしてくぅん、と鳴いたのである。

 まったく、完璧な『謝罪』であった。

 アマリアの目元が緩む。

 ふっと笑って、スカートを持ち上げた。

 土につかないように気を付けてしゃがむ。

「もう良いのです。ありがとうございます」

 少しためらったが、手を持ち上げた。

 レオンの頭に触れる。

 白い毛並みはふわふわしていて、滑らかだった。

 アマリアの手の下で心地良く滑る。

「ありがとう、アマリア嬢。本当にすまなかった」

 フレイディのほうはレオンの背中を撫でていた。

 優しい手つきだ。

「これほど謝っていただいて、じゅうぶんすぎるほどです。もうおしまいにいたしましょう?」

 アマリアはフレイディ、レオン、二人に笑ってみせた。
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