宮廷画家令嬢は契約結婚より肖像画にご執心です!~次期伯爵公の溺愛戦略~

白妙スイ@書籍&電子書籍発刊!

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薔薇の庭と和解

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 本当にもう怒ってなどいない。

 それよりも……。

「それに、私こそ申し訳ございませんでした。突然のことにかっとなったとはいえ、あれほど声を上げて睨みつけるなんて……」

 今思えば、激高してしまったことに恥ずかしくなってくる。

 どれほど度量の狭いことだっただろう。

 ちょっと眉を下げ、謝ったアマリアにフレイディは驚いたようで、手を軽く横に振った。

「なにを、きみに非はまるでないだろう。怒られて当然だったよ」

「ですが……」

 アマリアが声を濁らせたのを途中で止めて、フレイディが続ける。

「それにきみに叱られて、なんだか嬉しかったんだ」

 ……嬉しかった?

 アマリアは疑問を覚えた。

 顔を上げてフレイディを見ると、彼はにこっと微笑んできた。

「こういった身分で、成人もしていると、悪いことを悪いとはっきり言ってくれるひとは少ないからね。先ほどのハリソンなどは身内のようなものだからともかく、よその方は皆、当たり障りなくおっしゃるだろう、そういったものを感じなかったのだから」
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