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薔薇の庭と和解
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本当にもう怒ってなどいない。
それよりも……。
「それに、私こそ申し訳ございませんでした。突然のことにかっとなったとはいえ、あれほど声を上げて睨みつけるなんて……」
今思えば、激高してしまったことに恥ずかしくなってくる。
どれほど度量の狭いことだっただろう。
ちょっと眉を下げ、謝ったアマリアにフレイディは驚いたようで、手を軽く横に振った。
「なにを、きみに非はまるでないだろう。怒られて当然だったよ」
「ですが……」
アマリアが声を濁らせたのを途中で止めて、フレイディが続ける。
「それにきみに叱られて、なんだか嬉しかったんだ」
……嬉しかった?
アマリアは疑問を覚えた。
顔を上げてフレイディを見ると、彼はにこっと微笑んできた。
「こういった身分で、成人もしていると、悪いことを悪いとはっきり言ってくれるひとは少ないからね。先ほどのハリソンなどは身内のようなものだからともかく、よその方は皆、当たり障りなくおっしゃるだろう、そういったものを感じなかったのだから」
それよりも……。
「それに、私こそ申し訳ございませんでした。突然のことにかっとなったとはいえ、あれほど声を上げて睨みつけるなんて……」
今思えば、激高してしまったことに恥ずかしくなってくる。
どれほど度量の狭いことだっただろう。
ちょっと眉を下げ、謝ったアマリアにフレイディは驚いたようで、手を軽く横に振った。
「なにを、きみに非はまるでないだろう。怒られて当然だったよ」
「ですが……」
アマリアが声を濁らせたのを途中で止めて、フレイディが続ける。
「それにきみに叱られて、なんだか嬉しかったんだ」
……嬉しかった?
アマリアは疑問を覚えた。
顔を上げてフレイディを見ると、彼はにこっと微笑んできた。
「こういった身分で、成人もしていると、悪いことを悪いとはっきり言ってくれるひとは少ないからね。先ほどのハリソンなどは身内のようなものだからともかく、よその方は皆、当たり障りなくおっしゃるだろう、そういったものを感じなかったのだから」
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