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白薔薇のサンプル画

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 それでも、頼まれたのだから一生懸命描くだけだ。

 自分の腕前と感性で、堂々と「こちらはいかがでしょう」と言えるような作品を作り上げたい。
 
 そう心に気合を入れて、アマリアは休憩を終えることにした。

 キャンバス前に置いた椅子に腰掛ける。

 鉛筆を手に取った。

 やわらかな芯で、最初のデッサン向けのものである。

 少し先に置いたモチーフを見ながら、キャンバスの上に形を写し取っていく。

 すぐアマリアは集中状態に入り込んだ。

 純粋に描くことを楽しみつつも、真剣に。

 サッサッと鉛筆をキャンバスに滑らせること、数時間。

「アマリア様、お夕食のお時間ですよ」とメイドが呼びに来て、やっとハッとした。

 その時間には既に、デッサンはほぼ完成になっていて、キャンバスの上にはモノクロで花瓶の白薔薇が描かれていた。
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