上 下
81 / 276
初夜は甘くて、ほろ苦く……?

4

しおりを挟む
 それを読み取ったように、フレイディのほうから続けてくれた。

「本当に『初夜』を過ごすつもりはないよ。だって契約結婚なのだからね。きみだって困るだろう?」

 言われたことはきっぱりしていて、『決定』だった。

 だがアマリアにとってはとても助かることだ。

 内容としても、明言してもらえたということも、安心できた。

「そう、ですわね。そういうことに……なりますね」

 少し曖昧になってしまったが、答えた。

 やはりはっきり言うのは恥ずかしく、ためらわれたのだから。

 本当に、そういったことは起こらないのだ。

 実感して、アマリアは心からほっとしたのだけど、しかしなんとなく、手放しで「都合がいい」とか「嬉しい」とか感じて良いのかはわからなくなった。

 だって少し寂しいことではないだろうか?

 夫婦になるというのに、なにも関係がないというのは。

 いや、契約結婚なのだからそれで普通?

 色々浮かんだものの、契約結婚など直面するのは初めてで。

 そもそもそんな結婚の形があるなど知らなかったのだから、わかるはずもなかった。
しおりを挟む
1 / 5

この作品を読んでいる人はこんな作品も読んでいます!

可哀想な私が好き

恋愛 / 連載中 24h.ポイント:3,664pt お気に入り:542

真面目系眼鏡女子は、軽薄騎士の求愛から逃げ出したい。

恋愛 / 完結 24h.ポイント:1,665pt お気に入り:243

最初に私を蔑ろにしたのは殿下の方でしょう?

恋愛 / 完結 24h.ポイント:3,516pt お気に入り:1,958

運命の番を見つけることがわかっている婚約者に尽くした結果

恋愛 / 完結 24h.ポイント:16,393pt お気に入り:262

堅物監察官は、転生聖女に振り回される。

恋愛 / 完結 24h.ポイント:1,175pt お気に入り:149

妖精と初恋

恋愛 / 連載中 24h.ポイント:7pt お気に入り:8

処理中です...