宮廷画家令嬢は契約結婚より肖像画にご執心です!~次期伯爵公の溺愛戦略~

白妙スイ@書籍&電子書籍発刊!

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二人きりの一夜

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 アマリアはきょとんとした。

 てっきりフレイディが眠るのだと思っていたのだ。

 だってベッドは一台しかないのだから、フレイディが使うのが道理だろう。

「え、いえ、フレイディ様がお使いくださいませ」

 戸惑って言ったのに、フレイディは何故か笑みの表情になった。

「きみのほうが体力はないだろう。しっかり休んでおかなければ、明日辛いよ」

「それはそうかもしれませんけど……」

 確かにその通りだ。

 女性と男性という体力の違い、十歳ほども差がある年齢による違い……。

 どれをとってもアマリアのほうが疲労は強いはずだ。

 でもだからといって、すぐにお礼を言って借りるというのは図々しいのでは。

 アマリアはためらってしまう。

 そこは大胆な気質よりも、ひとを思いやる優しい心が強く出ていただろう。

「それに暖炉があるとはいえ、寒い季節なのだよ。明日無事だろうと、帰ってから寝込むことになっては困る」

 フレイディはもうひとつ、理由を口にする。

 真冬であるし、外は強い雨風。

 真夜中になれば、冷え込むに決まっている。

 疲れているところにそれでは、帰ってから熱のひとつも出してしまうかもしれない。

 自分でも「大丈夫」という確信はなかったし、できれば回避したい。
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