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宮廷への帰宅

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 そんな不安と疑問が、胸の奥を小さく刺してきたような感覚を覚える。

「そうですわね。ですからより喜ばしいことですわ」

 でもハンナは結婚が契約だということなど知らない。

 だから喜ばしいとしか思わないらしい。

 きっとにこにこしているだろう様子で、バスルームのほうへ行ってしまった。

 バスルームは掃除済みだろうし、お湯も溜めてくれていただろうから、最後の支度ができればすぐに入れるはずだ。

 アマリアも自身でできる支度はしておこうと、身につけていた髪飾りやネックレスを外したり、ジャケットを脱いでソファに置いたり、そのようなことをはじめた。

 けれどなんとなく気分は少しもやっとしてしまった。

 この結婚は契約。

 なのに自分は思いのほか、フレイディに心寄せてしまっているように思う。

 こんなことで良いのだろうか。
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