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仲たがい

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 フレイディはそのアマリアを残して、サンルームを出ていってしまう。

 サンルームのドアが閉まってから、アマリアは小さく息をついた。

 怖かった、と思った。

 フレイディのあんな様子は初めて見て、接した。

 気分を害した様子は恐ろしさすら感じられたけれど、多分自分が悪いのだ。

 勝手に資料を見て、気軽に話題にしてしまったから。

 それがフレイディには気に入らなかったのだろう。

 やっぱりやめておくべきだったのね。

 アマリアは今更すぎる後悔をした。

 倉庫に入ることを許してもらったとはいえ、なんでも好きに見ていいとは言われていなかったのだ。

 だから自分が軽率で不躾だった。

 ……悪いことをしてしまったわ。

 アマリアはしゅんとしてしまった。

 フレイディに謝らなければ、と思った。

 けれど、きっと今の状態のフレイディにはなにを言っても通じない気しかしないし、そもそももう二度、謝った。

 時間を置いて、落ち着いてから改めて謝るのが無難だろう。

 楽しかったお茶の時間が、急に妙な空気になってしまった。

 でも自分が悪いのだ。

 そう思い知り、アマリアはもう残りのお茶もスコーンも手をつける気になれなくて、そのまま自分もサンルームをおいとまするしかなくなってしまった。
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