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あなたに恋をしたから

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 フレイディはただ、アマリアを見つめて聞いてくれる。

 まるでひとことも聞き逃すまいという視線だった。

 その視線を見つめ返して、アマリアは大きな緊張を感じつつも、はっきり口に出した。

 ここは本来の気質、大胆で何事にもきっぱりしている自分らしく。

「それはフレイディ様に、恋として惹かれているからです」

 口に出したことで、アマリアの胸の中、その気持ちはすとんと落ちてきた。

 腑に落ちる、といった心持ちだった。

 ああ、私はこの方に恋をしたのだ。

 言葉にして初めて実感になるなんて、遅すぎるし、子供すぎる。

 自分のことをわかっていなさすぎたのだと思う。

 でも遅すぎることなんてきっとなかった。

 むしろ、今で良かったのかもしれない。

 気持ちを実感するのも、伝えるのも。

 フレイディはしばらくアマリアをただ見つめていたけれど、不意に表情が変わった。

 ふわりと優しい笑みが顔中に広がる。
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