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二人の蜜月

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 春という良い陽気も手伝って、アマリアの肖像画製作は順調だった。

 既にほぼ完成状態になり、気が済めばいつ終わっても良い段階まできていた。

 しかしアマリアとしては時間があるならもっと、もっと良いものにしたいと思う気持ちがある。

 よって「もう少し描き込みます」とフレイディに伝えていた。

 フレイディは「もうじゅうぶん完成に見えるがねぇ」と、しげしげと絵を見ても不思議そうにしていた。

 絵には詳しくないと自分で言っていたので、そう感じるのは自然だ。

 ただ、子供の頃から肖像画は何枚も描かれているのだ。

 画家がそういうこだわりを持つものだということは知っているようで、「気が済むまで描き込んでおくれ」と言ってくれた。

 フレイディの爵位継承式典用肖像画。

 晴れ舞台に相応しい出来のものにするのだ。

 その決意がアマリアをより集中し、またやる気を出させていた。

 これまで以上にアトリエにこもることになった。

 また、頻繁にフレイディを呼び出した。

「光の具合を見たいのです」とか「お顔の造形を照らし合わせさせてください」とか、色々と要求することもあった。

 フレイディは「宮廷画家様は仕事熱心だ」と苦笑しつつも、大抵それに応えてくれた。
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