宮廷画家令嬢は契約結婚より肖像画にご執心です!~次期伯爵公の溺愛戦略~

白妙スイ@書籍&電子書籍発刊!

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これからは、未来を見て

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「やっと絵画を上回れたような気がするな」

 また少しふざけたように言うので、アマリアは今度、はっきりくすくす笑ってしまう。

 その通り過ぎたのだから。

 自分は絵のことばかりだった。

 少し前に自覚した通りだ。

 そのために遠回りになったのかもしれない。

 でも、きっとその絵画によって引かれ、結びつけられた面も確かにある。

「それは失礼いたしました」

 アマリアは笑みをこぼしたまま、そっとフレイディに身を寄せた。

 これ以上は必要なかった。

 ただ、もう少し墓石と白百合を見つめていた。

 春の終わりの風が、そよそよと心地良く体を撫でる。

「帰ろう」

 ぽん、とアマリアの肩を叩き、フレイディは言った。

「はい」

 アマリアも答える。

 帰る。

 もう、一年の仮住まいの場所ではない。

 これからはずっと、かりそめではなく、本当の夫婦として過ごす場所へ、共に帰っていくのだ。
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