宮廷画家令嬢は契約結婚より肖像画にご執心です！～次期伯爵公の溺愛戦略～

本当の夫婦に

7

　アマリアはどきどきする気持ちの中でも、確かにこの感触を心地良く感じて、意識しないうちに目を細めていた。

　そのアマリアの表情を見たからか、フレイディは包んだ頬を優しく撫でて、そしてすっと顔を寄せてきた。

　触れたのはたった数秒だった。

　目を閉じたアマリアのくちびるに、やわらかな初夏の風が撫でたような、優しい感触が触れていった。

　あたたかな吐息が口元を軽くくすぐった。

　その熱から、アマリアは思い知る。

　もう寂しく思う必要なんてない。

　寒さに凍えることなんてない。

　このあたたかさを持ったひとは、これからずっとアマリアと共にいると誓ってくれたのだから。

　幸せと安心をたっぷり感じられたから、触れ合ったのが離れたあと、アマリアは目を開けて、フレイディを見つめた。

「フレイディ様。ずっとおそばにいてくださいませ」

　自然に出てきた言葉。

　これまでずっと胸の中で抱え込み、外に出すことなんてできないと思っていた言葉だ。

　なのに今、するっと出てきてしまった。