許せなかった僕たちへ

古川ゆう

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一章

1.2 日常

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僕達が学校帰り毎日の様に通っている
学校から15分程歩いた所に駄菓子屋はあった。

1日の業務を果たし、疲れきった顔をしたサラリーマン達は仕事帰り導かれるようにして行きつけの居酒屋へ行く様に僕達も小学生ながらに、1学期の学業を終了し導かれるようにして行きつけの駄菓子屋へと行くのであった。

疲労しきった体に糖分は良く染みるのだ。

道中、蓮の提案で「なぁ、暇だしグリコしようぜ!」と言い出した。

結人、葵、共に口を揃え「暑いのに嫌だ~!」と即否定した。

だが、2人が拒否したところでもう遅く
蓮はじゃんけんを颯爽と開始したのだ。

「さいしょはグー、じゃんけんっ!」
蓮はそう言うと右手を握り僕達の体の前へ突き出してきた。

結人、葵は
「ええ~⁉︎」と困惑した表情を浮かべ自らの手を前に出した。

「ぽんっ‼︎」と2人共後出しの様にも見えたが
蓮はグーを出し結人、葵はチョキを出していた。

「いえ~い、俺の勝ちい!」

そう言うと蓮は今立っている場所から3歩大股で進むのだった。

他の2人は悔しそうに「もう一回じゃんけんしよう。」と言い出したのだ。

結人、葵は負けず嫌いであった。

それを知っていて勝負を繰り出し、まんまと他の2人は蓮の策略に陥ったのだった。

普段は15分歩いたら着くであろう駄菓子屋も
「グリコ」をした事で予定より30分もかかってしまった。

暑さにやられ体力も消耗し疲労困憊の3人だったが、なんとか駄菓子屋に着く事ができた。

駄菓子屋の入り口付近に着くと
「暑いのによく来たねぇ~いらっしゃっい。今日は学校終わるの早いねえ。」
今年で80歳を迎える駄菓子屋の白石智子しらいしともこが僕達3人を出迎えてくれた。

白石智子はこの駄菓子屋を古くから営んでいるおばちゃんだ。

3年前までは 白石健三しらいしけんぞうと2人で店を営んでいたが、智子の夫は他界し現在は智子1人で駄菓子屋を続けている。

白石健三は近所の子供達や僕達にとても親身になって接してくれていた事もあり
当時、他界したと聞いた時僕達はその現実を受け止めきれず泣いた。

智子の主人が他界し、もう駄菓子屋も閉めるだろうと近所では噂されていたが葬儀が終わった3日後には駄菓子屋は再開していた。

その日、僕達が駄菓子屋に行くと智子はいつもと変わらない顔で「いらっしゃい。」と出迎えてくれた。

子供ながらに「大丈夫なの?」と心配そうに聞いた。

「大丈夫じゃないけど、あの人の為にもこの駄菓子屋は畳まない事にしたよ。」

「私はあの人の事が好きな様に、この駄菓子屋の事も好きだからね。子供達もね。」そう涙ながらに語ったのを今でも覚えている。


「今日は1学期が終わってね、明日から夏休みなんだよ。」葵は嬉しそうに智子に話した。

「だぁぁぁぁ~、暑いよ~。」
蓮は駄菓子屋に入るや否や店の奥にある3人程座れる椅子へと腰を掛けた。

「おばあちゃん、こんにちは。」
結人は智子に挨拶をした。

葵は店の常連客かのように
「おばあちゃん、今日のおすすめは何?」
と智子に聞いたのだ。


智子は眉間にシワを寄せ、ひと段落置き
「今日は終業式だったんだろ?頑張ったご褒美にアイスをタダにしてあげようかね?」と言った。

それを聞いた3人は自分達の目の前に神様でもいるのかの様な顔付きで手を合わせ智子のを崇めた。

「ああ、神よ。 ありがたき幸せ。」
3人は口を揃えて言った。

そうして3人は当たり付きの棒アイスを智子からもらった。

アイスを無我夢中で頬張り、渇ききった口の中にシャリシャリとした食感が体に伝わってくるのが分かる。

一度にたくさん食べたせいか三叉神経が刺激され、3人は同時に頭を押さえた。

それに見兼ねた智子は「急いで食べるからだよ。」と呆れた顔で言った。

アイスを食べ終えた3人は
未だ棒に書いてある「あたり」を見ずに
3人で一斉に見る事にしたのだ。

「せーのっ!!」
3人はアイスの棒を握り
口を揃え棒を上へ掲げた。

「うわっ!」俺当たりじゃん!
そう言ったのは蓮だった。

「わたし、はずれ~」
葵は残念そうに舌打ちをした。

「僕もはずれ~」
結人は予想通りといった表情だ。

蓮は嬉しそうに
「智子ばあちゃん、もう一本ちょうだい!」
と言った。

「やれやれ、仕方ないねぇ。」
そう言うと、智子は呆れた顔で蓮にもう一本同じアイスを渡すのだった。

「俺今日は、良い事ありそうだな!」
嬉しそうに蓮はまたそのアイスを黙々と食べ再び頭痛が蓮を襲うのだった。


その後、智子も含め椅子に座って駄菓子屋の中で談笑をしていた。

「なぁ、明日から俺ら夏休みじゃん?」
蓮は結人と葵に問いかけた。

「そうだねー」
結人は頷く。

「なんか、面白い事しようぜ!」
と蓮は言う。

「例えば?」
葵は冷静に返事を返す。

「うーん、そこに見える山に探検しに行くとか、秘密基地作るとか?」

「良くないか?時間もたっぷりあるし!」
蓮の瞳はキラキラと輝いていた。

「僕はいいけど…。」
結人は唇を触りながらそう答えた。

「え~わたし虫とか嫌いだも~ん。」
葵は乗り気ではなかった。

「虫は大丈夫だ、俺が倒す!」
「結人もいるしな。」
蓮は葵の方を向き、自らの手を握り親指を立てた。

「え?僕も?」
結人は困惑していた。

「蓮、男だろ~」

「もう、蓮はそういうときばっかり~。」
結人は呆れた表情で蓮を見た。

「まあ、2人がいるなら別にいいけど…。」と葵は、渋々頷いた。

「よし、決まりだな。」
壁に掛けてある時計を見ると
時刻は13時30分になっていた。


蓮は「どうする?今から山に下見に行ってみるか?」と2人に聞いた。

結人は「いいよ、どうせ僕らが行きたくないって言っても行くんでしょ?」
と言った。

3人の会話を側で聞いていた智子は心配そうに「あんまり山の中まで入ってはダメだよ。」と言った。

蓮は智子に
「分かってる、まだお昼だし大丈夫だよ。」
と言った。

直ぐにでも駄菓子屋を出て山に探索に行きたい蓮の顔が結人の瞳には映った。

3人はランドセルと荷物を駄菓子屋に置いていく事にした。

「1時間くらいで帰ってくるよ。」と智子に言い残して駄菓子屋を出た。

3人は智子に駄菓子屋を出る際「気をつけるんだよ。これ持っていきなさい。」とペットボトルのジュースをもらったのだ。

駄菓子屋を出ると
再び、僕達に夏の日差しが照りつける。

僕達は山へと歩みを進めた。

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