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第一章
1.7 ひとすじの光
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何故、結衣は突然涙を流したのか。
それは、結衣の感情ではなく秋の感情であった。
「大丈夫。」のその一言がきっかけだったのかもしれない。
奥底に固く閉ざされていた秋の心は少しずつだが取り戻され結衣の感情とは意に反し涙を流していた。
結衣はこの時気づいていた。
「今、涙を流しているのは私の感情ではないと。」
だが、秋と直接会話できるわけではない為、今の秋が何を思っているのかまでは分からない。
それでも、間接的ではないものの「秋の心が取り戻されている、これは秋の涙だと。」結衣はそう感じていた。
少女は「たすけて。」と弱々しくも縋る思いでこの一言だけを誰かに伝えたかった。
狭い鳥籠の様な部屋に閉じ込められ苦痛を強いられていた少女。
悪逆な行為を幾度となく繰り返し、1人の少女の言葉を選ぶ選択肢さえも失わせていた親達を結衣は自分の事のように恨みいっそ地獄にでも落ちてしまえばいいんだとそう思っていた。
結衣は生前、父親に感じていた憎悪をあの親達にも向けていた。
結衣は自然と秋と自分を重ねていた。
「この子が救われるなら私は何でもする覚悟はある。」と。
配達員の男は、目の前の小さな少女が咽び泣きながら「たすけて。」と言ったらどんな事を思っただろうか。
「もう、相手がどんなに困った表情をしていても構わない。」
「私の目の前に立っている男の姿は涙で滲み男の表情など一切分からないのだから。」
「伝えれただけで良いんだ。助けてほしいだけなんだ。」
「この子をどうか。秋ちゃんを助けてほしい。」
男は戸惑った様子だったが一度深呼吸し冷静な態度で口を開いた。
「お嬢ちゃん、ちょっと待ってね。とりあえず落ち着こう。大丈夫。大丈夫。ゆっくり深呼吸してごらん。大丈夫だから。」そう言って泣いている秋の背中を優しく摩り落ち着かせた。
それから少しの時間が経ち少女の体は徐々に落ち着きを取り戻していた。
「とりあえず、どうしたものか。」
「ちょっと話しできるかな?」
畠中は秋に問う。
秋は首を縦に振った。
「ありがとう。」
「お嬢ちゃんの名前は?」
「あき…。です。」
「秋ちゃんね。」
「秋ちゃん、さっきは何で僕に助けてって言ったのか理由を教えてくれないかな。」
「ゆっくりで良いから教えてほしい。」
「僕は君の味方だから。」
結衣は畠中の秋に対しての真剣な表情と物言いを聞きこの人は信用しても大丈夫だと思い秋の年齢に合わせた口調で畠中にゆっくりと事の経緯を話した。
「自分は本当は秋でないということは隠して。」
結衣には秋が両親から受けていた以前の虐待の記憶はないが畠中が家に来る前に受けた虐待のことや食事もろくに食べらせてもらっていないこと体中にできている痣を見せた。
痣を見せると畠中は今まで見せていた顔色を変えて「こんなにも、酷すぎる。」と言葉を詰まらせた。
少女の体にある無数の痣を見て畠中は現実とは思えなかったか思いたくなかったのだろう。
畠中は続いて「秋ちゃん。辛かったよね。よく頑張ったよ。」
「もう大丈夫だからね。」
そう言って少女の頭を優しく撫でた。
「今両親はどこに?」
「かいものにいってくるってでていった。」
「そっか。」
「秋ちゃん、今僕が君をここから連れ出したら大変な事になるだろうから今日は待ってほしい。」
「ごめんよ。」
「僕は今から警察へ行って話してくるよ。」
「だからそれまではここで待ってて。」
「それと、2人が帰ってきても今僕に話した事は内緒にできるかな。」
結衣は「わかった。」と伝えた。
「明日絶対ここへ来る。秋ちゃんを助けに来るからね。」
「秋ちゃん、僕はここに来て本当に良かったと思うよ。」
「またね。」
そう言い残した畠中は父親宛ての荷物を置き家を後にした。
「良かった。これで助かるんだ。」
「もう大丈夫だよ秋ちゃん。もう少しだからね。」
結衣は自ずと安心しきっていた。
畠中が家を後にしてから10分後の出来事である。
それは、結衣の感情ではなく秋の感情であった。
「大丈夫。」のその一言がきっかけだったのかもしれない。
奥底に固く閉ざされていた秋の心は少しずつだが取り戻され結衣の感情とは意に反し涙を流していた。
結衣はこの時気づいていた。
「今、涙を流しているのは私の感情ではないと。」
だが、秋と直接会話できるわけではない為、今の秋が何を思っているのかまでは分からない。
それでも、間接的ではないものの「秋の心が取り戻されている、これは秋の涙だと。」結衣はそう感じていた。
少女は「たすけて。」と弱々しくも縋る思いでこの一言だけを誰かに伝えたかった。
狭い鳥籠の様な部屋に閉じ込められ苦痛を強いられていた少女。
悪逆な行為を幾度となく繰り返し、1人の少女の言葉を選ぶ選択肢さえも失わせていた親達を結衣は自分の事のように恨みいっそ地獄にでも落ちてしまえばいいんだとそう思っていた。
結衣は生前、父親に感じていた憎悪をあの親達にも向けていた。
結衣は自然と秋と自分を重ねていた。
「この子が救われるなら私は何でもする覚悟はある。」と。
配達員の男は、目の前の小さな少女が咽び泣きながら「たすけて。」と言ったらどんな事を思っただろうか。
「もう、相手がどんなに困った表情をしていても構わない。」
「私の目の前に立っている男の姿は涙で滲み男の表情など一切分からないのだから。」
「伝えれただけで良いんだ。助けてほしいだけなんだ。」
「この子をどうか。秋ちゃんを助けてほしい。」
男は戸惑った様子だったが一度深呼吸し冷静な態度で口を開いた。
「お嬢ちゃん、ちょっと待ってね。とりあえず落ち着こう。大丈夫。大丈夫。ゆっくり深呼吸してごらん。大丈夫だから。」そう言って泣いている秋の背中を優しく摩り落ち着かせた。
それから少しの時間が経ち少女の体は徐々に落ち着きを取り戻していた。
「とりあえず、どうしたものか。」
「ちょっと話しできるかな?」
畠中は秋に問う。
秋は首を縦に振った。
「ありがとう。」
「お嬢ちゃんの名前は?」
「あき…。です。」
「秋ちゃんね。」
「秋ちゃん、さっきは何で僕に助けてって言ったのか理由を教えてくれないかな。」
「ゆっくりで良いから教えてほしい。」
「僕は君の味方だから。」
結衣は畠中の秋に対しての真剣な表情と物言いを聞きこの人は信用しても大丈夫だと思い秋の年齢に合わせた口調で畠中にゆっくりと事の経緯を話した。
「自分は本当は秋でないということは隠して。」
結衣には秋が両親から受けていた以前の虐待の記憶はないが畠中が家に来る前に受けた虐待のことや食事もろくに食べらせてもらっていないこと体中にできている痣を見せた。
痣を見せると畠中は今まで見せていた顔色を変えて「こんなにも、酷すぎる。」と言葉を詰まらせた。
少女の体にある無数の痣を見て畠中は現実とは思えなかったか思いたくなかったのだろう。
畠中は続いて「秋ちゃん。辛かったよね。よく頑張ったよ。」
「もう大丈夫だからね。」
そう言って少女の頭を優しく撫でた。
「今両親はどこに?」
「かいものにいってくるってでていった。」
「そっか。」
「秋ちゃん、今僕が君をここから連れ出したら大変な事になるだろうから今日は待ってほしい。」
「ごめんよ。」
「僕は今から警察へ行って話してくるよ。」
「だからそれまではここで待ってて。」
「それと、2人が帰ってきても今僕に話した事は内緒にできるかな。」
結衣は「わかった。」と伝えた。
「明日絶対ここへ来る。秋ちゃんを助けに来るからね。」
「秋ちゃん、僕はここに来て本当に良かったと思うよ。」
「またね。」
そう言い残した畠中は父親宛ての荷物を置き家を後にした。
「良かった。これで助かるんだ。」
「もう大丈夫だよ秋ちゃん。もう少しだからね。」
結衣は自ずと安心しきっていた。
畠中が家を後にしてから10分後の出来事である。
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