用心棒はいかがですか?~タダ飯食らいの用心棒と才能なしの祓い屋~

海ノ樹

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序章 タダ飯を食らう者

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「ただいまー」

 学校帰りに一仕事終えて帰宅した佐崎さざき源太郎げんたろうの表情は何時ものように曇っていた。
 ボロっちい色の褪せた表の暖簾をくぐり店内に入る。
当然、客なんぞいるわけもなく、煙草臭のする店内に居たのは煙草を咥えた中年のオッサンだけ。

「おぅ、源太郎お疲れぇ」

 中年は白い煙を鼻やら口から吹き出し手を上げる。
 中年の手元の灰皿を見ると、朝には綺麗だった灰皿には山のように煙草の吸殻が積まれている。

「親父、いい加減煙草なんて止めろよ。そんなんだから店に依頼が来ないんだぞ?」
 
 このヘビースモーカーは俺の親父の源信げんしんだ。
 
「協会からの依頼だけで食ってけとるんだから、別にこんな店が繁盛する必要もねぇよ」

「・・・」

 じゃぁ、なんで店なんぞやっとるじゃボケ。

「源太郎~?」

 店内を抜け奥の居間に向かおうとしていると、源信に呼び止められ振り返る。

「何?」

「お前またミスったろ?」

 源信の源太郎の心を見透かすような一言は、確実に俺の深いところまで一瞬にして届く。

「は、はぁ?みみみ、ミスってねぇしぃ?ちょっと、ほんのちょっとだけ手間取っただけだし?」

 ちょっとばかり噛んでしまい親父に完全にミスったと見抜かれ、源太郎は吹けもしない口笛を吹く真似事でごまかそうとする。

「ハハハ、お前は動揺しすぎだっつうの~。そんなんじゃ立派な祓い屋にはなれんぞぉ~」

 「バレバレだっつーの」と鼻をほじり出てきた糞を小指で弾きニヤニヤしながら言う。
 こちらを馬鹿にした源信の一言にカッときた源太郎は中指を立てる。
 
「うるせぇ!この職無し中年ニート!!」

 源太郎が叫び奥に走っていくと、苦笑いで煙草を咥えたままの源信は立ちすくむ。

「誰が無職だ!これは歴とした自営業だ!!」

 夕方になっても騒がしい祓い屋『佐崎屋』の一幕であったとさ。
 
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