孤島のリリア

無垢 れあ

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転校生と後輩と時々刺客。

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「あれあれあれ?先輩じゃないっすか。」
虚ろな気分で校舎を歩く僕に声をかけたのは、
「驚かせんなよ、かえで。」
にへへっと笑った女の子
「うっす!先輩大好きな可愛い後輩椛ちゃんですよー」
へっ。よく言ってくれるよ。
彼女は真加部 椛まかべ   かえで
会話から分かるように学校の後輩なわけだが、
何かにつけて僕に絡んでくるのである。
だがまあ彼女は人として賢いし、話してて飽きない。
大人びた発言をするのに幼さが残る見た目は魅力的だ。
まあなんというか妹にしかみえないんだけどね。
「それでですねお話があります先輩。」
彼女がこうやって小悪魔的に笑った時は
大体ろくでもないとを考えている時だ。
「僕様ちゃん聞いちゃったんですよぉ。」
やな予感しかしない。
「噂の美少女転校生と二人で先輩の家に入って行ったと。」
「嘘ではないが誤解だ。」
またまたそう言ってぇと椛は茶化す。

巫女服の少女に襲われたあの人。
真衣の傷の手当をするため僕は自分の家に彼女を招いたのだった。
そこで今後の方針、そして黒巫女への対策を考えたのだった。
真衣は基本的にいわゆる攻撃魔法を持たない。
戦闘で使えるとしたら防壁魔法、発火魔法、冷却魔法、そして浮遊力魔法ぐらいだった。
発火や冷却も漫画やアニメのように一瞬で効果が出るわけでも威力が高いわけでもない。
強いていえばものを浮かしてぶつけるという至って物理的な攻撃方法になる。
「ふむふむ。やっぱり先輩狙いですかねぇ。」
ま、そうだろう。リリアの力が欲しいという者は魔女以外にもいる。
おっと、言い忘れていた。
彼女は詳しくは僕でも知らないのだが魔女こちらの話にとても通じている。
本当にこいつは何なんだろうか。
まあおかげで包み隠さ無いでなんでも話せるのだからいいストレスの捌け口...いや話相手である。
ましてや僕は友達が少ないからね。
「例の残された遺産を探すんですってね先輩。」
本当に...どこで何を聞いて見てるんだこいつ。
「心当たりありますよ私。」
はいはいそうです...え?
「おいまて詳しく聞かせろっ!」
にっと笑って椛言った。
「ダメですよー。時間切れです。またメールしますね。」
大好きなせんぱーい。と彼女はからかう。

「おいっ!ちょっと...」
「蒼介君?どうしたんですか?」
そこに真衣が現れた。
「いやちょっと知り合いがっ」
もう既にそこには椛の姿はなかったのだった。





「まだ真衣さんにはあってあげない僕様ちゃんなのです。」
上機嫌で校舎を歩く椛。
遠くには憧れの蒼介の姿が見える。
「蒼介先輩は女運があるんだか無いんだか。」
苦笑を漏らす。
それはまるで思わぬ恋敵の出現と、それに気づかない愛しの人に向けた些細な嫉妬心。
それはともかく。そう言って軽く声を張り上げた。

「そろそろ出てきてもいいんじゃないっすか?」

鋭く睨んだ方向から数人の男が現れた。
「ぞろぞろと...ゴキブリかよ。」
椛は悪態をつく。
男どもが手を掲げると魔法陣のようなものが現れた。
「動いたら殺すぞ。」
リーダーらしき男が声をだした。
椛としては例の黒い巫女服を釣りたかったのだが、
どうやら別の集団らしい。
「あー確か現代の魔術師集団でしたっけ?」
へらぁっと彼女が笑うと男たちが一斉に魔法陣から光線を飛ばしていた。
ひょいっとそれを交わすのだが先程まで椛がいた場所がジュュウウウと焼ける音がした。
「あっぶなっ。何考えてるんですかねぇ...」
やれっと先程の男がいうと今度は拡散して光弾を飛ばして来る。
「やれやれっすね。全く。」
《スコル》
彼女がそういうと背後に大きなサソリが現れた。
ひっ...ひぃいいいいああああ
男どもが醜い悲鳴をあげ、サソリに向かい光線を乱射する。しかしサソリに当たった瞬間それは綺麗に蒸発して消えてしまう。
「なっ...なんだこいつはっっ...」
知らないんすか?サソリには魔除の効果があるんすよ?
そう言って笑う彼女に男どもは打つ手も無くあっさり膝をつくのだった。




「うん。誰も殺してない...はずっす。それじゃあ処理はよろしく頼みました。」
そう言って椛は電話を切った。
彼女は呪い師。
魔のつく力に呪いを持って挑むもの。
先程のように、魔法じみた攻撃には魔除けの力を。
霊寄りの力には塩を。ゾンビには炎を持って制する。
そういう類のもの。専門家。
彼女は笑って呟いた。

「真衣さんなんか頼りないっすからね。僕様ちゃんが守ってあげますよ。蒼介先輩。」



~続く~
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