孤島のリリア

無垢 れあ

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動き出す。

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「鬼と言う漢字の原義は、死者の魂。要はかつて中国から漢字が流れてきたときは、鬼という漢字、イコール死者の魂だったのですよ。そして日本特有の「オニ」と混ざったのです。日本特有の「オニ」は邪なるもの、なんていう風な意味で、どちらかと言うと神様に近いものだったそうですね。また、かつて京都の大江山に住んでいたとされる鬼の親分、酒呑童子をはじめとする鬼の好物を知っていますか?」

僕は今、生意気な後輩。椛の鬼講座を受けていた。
鬼のような講座、と言う意味ではなく言葉のとおりに「鬼」についての講座。

「それぐらいは僕でも知っている。若い女の肉だろ?」
「おー。良く知っていましたね。正解です正解。エクセレントです。」
絶対馬鹿にしている。
「つまりあの時。香さんがしたのは再生でもなんでもなくただの捕食です。」

洞窟から僕らを助けてくれた後に香さんは瀕死の真衣を見て、助けられると言った。
方法は二つ。
「彼女をリリアにして彼女自身が自分の強大な魔法で生き返る」か、
「彼女に香さんの血を分け与え、生き返る」か。
前者の場合すべて綺麗さっぱり元に戻ることが出来るが、記憶をすべて失う。
後者の場合彼女は人間には戻れず、後遺症が残る。

僕は…
「先輩は記憶を失ってほしくはなかった。っていうだけじゃないですか」
相変わらず、心を見抜いてくるかわいげの無い後輩だ。
そう。僕は後者を選んだ。
それを受け、香さんは彼女に自分の血を飲ませ、彼女を鬼、死者の魂の器にして、若い人間の部分であった死んでしまった真衣の体を捕食し、完全な鬼とした。
「あのレベルの鬼だから出来た諸行ですね。普通の鬼にはあんな芸当は無理ですよ。」

そうなのか。
やっぱりあの人はとんでもない化け物のようだ。
「それにしてもなぜ真衣は二週間以上も目を覚まさなかったんだ?」
真衣は二週間ちょっとばかり目を覚まさなかった。
香さんは心配するなと言っていたし、現在は普通に目を覚ましたので問題は
無いのだが…
「人が鬼になったあとは自我の崩壊や気が狂ってしまうことが多いらしいのでその対策でしょう。」
そんなこと聞いてないのだが…。
「まあいい。最後にひとつ。」
「ええ。いいですよ?何ですか先輩。」
ニヤニヤと笑う彼女はもう僕の質問をきっと分かっているのだと思う。
だがそれでもあえて聞こう。
いや聞かずにはいられない。
「お前は何者だ。」と。
ふっとカッコをつけて彼女は一回転。
「まだ秘密です。」


真衣には目覚めてからまだ蒼介に言うことが出来ていないことがあった。
「ここなら出てきても問題ない…はずです。」
校舎の片隅でそうやってつぶやいた真衣の影が揺らめいた。
そしてそこから白く細い腕が伸びた。
そしてそれは真衣の首に絡みついた。
「んーーーー!外の空気はおいしいわね!」
現れた少女はそういった。
金髪の少女。
レースの多い、シースルーのワンピースを着た彼女の長い髪の中には小さい角。
詰まるとこ彼女は鬼である。
「それで話って何かしら?昼間はあまり現れたくないのだけれど。」
苑怜シュンレイ…さん。あの私…」
苑怜。それが真衣の中に住み着いた鬼の名前だった。
「そう怖がらないで頂戴。あなたと私は一心同体なのだから。」
「は…はい。」
そして真衣は問う。

「私はあと、どのぐらい生きられますか。」と。


某日東京都。

「そもそもリリアとはどんな魔女だったのかな。」
白衣の男はそう疑問を呟いた。
「さあ?そんな何百年も前の人の事分かりませんよ。」
そう答えたのは赤い狐面を頭にひっかけた幼い子供だった。
その子供は巫女服を着ていて。
「いい加減おねーさまを引っ張ってきますね。」
「黒亜にもやさしくするのだよ?」
というと、はぁいという気の抜けた返事が返ってきた。
それを白衣の男は優しくにこりと微笑み見つめるのだった。



「くろあおねーさま。もう一月ですよぉ。いい加減すねてないでくださぃ」
「すっ…すねてませんわっ!!!えぇ。えぇ。必ず蒼介さんを…」

次は亜科あかもいっしょにいきます。と言った無垢な瞳には。
しっかりとした狂気が混ざっていた。











「ま、色々かわってきたっすね。先輩が心配ですなぁ。こっからが本番って感じですかい師匠ー。」
椛は蒼介と分かれた後、師匠と彼女が呼ぶひとと会っていた。

「そうだね。ここからだよね。まあ椛は好きにすればいいと思う。」
りょーかいっす。そういってその場を立ち去る椛。

師匠の前だとこういうしゃべり方のようだ。


色々な人や組織が動き出す。
リリアの力をめぐって。
そして、真衣は。

「ん。そうね。あと一年かしら。真衣ご主人様愁傷様。」
続く。
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