孤島のリリア

無垢 れあ

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女の争い

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「あと一年…」
きっと自分と一心同体の彼女の言うことに嘘は無いのだろう。
ただ、今は死への恐怖と妹のことで冷静になることが出来ない。
本当に死んでしまうにしても、はいそうですかとあっさり死ぬわけにはいかない。
身震いを何とか隠すも、どうやら彼女にはバレバレのようで。
「ま。怖いのも分かるけどね。」
金髪を揺らし彼女はそう吐き捨てた。
「逆に言えば一年は意地でも生かさせてあげるわ。」
小悪魔的に右の口角を吊り上げた彼女はまさに鬼だった。
ただでさえ困難な望みに一年という期限までついてしまった。
正直魔女の部屋はもう怖い。
だが、そう言っていられる余裕など無い。

「そんなに悩まないほうがいいわよ今は。」
ぶっきらぼうに言う相方とはまだちょっとの付き合いだがなんだかやさしさが感じられた。
「とりあえずアノ坊やに告白でもしてみたら?」
今度は恐怖なんて忘れて真衣は真っ赤になるのだった。


「はぁっ・・蒼介さん…待っていてくださいましぃ。すぐ迎えに…」
色めく黒亜は初島に戻る船の中にいた。
そんな黒亜を心配そうに見つめながらオレンジジュースをちゅうちゅうと吸う小さな少女
がひとり。
「あのごめんねぇ。お譲ちゃん。ここは飲食禁止なんだぁ。ジュース飲むならあっちの…」
どうやらその少女、亜科と黒亜のいた場所は飲み物を飲んではいけないところだったらしく、乗組員の青年が注意を促してきた。その注意を聞いて亜科はにっこり笑って。
「誰に指図しているんですかこのいっぱんじん。」
そうやって毒を吐いて、目を合わせる。
すると見る見るうちに青年は失神してしまった。
「殺さねぇだけいいとおもえです。」
そしてジュースを飲みなおす。
しばし静寂が流れたがそれはハスキーな声で破られた。
「あなた方はほんと、害悪ですね。先輩も厄介なものに目をつけられたものです。」
圧倒的後輩力。
不機嫌そうに面をかぶる二人をにらみつけたのは、
蒼介の少ない友人、優しく知的な後輩。椛その人だった。
「あらぁ?蒼介さんのただの後輩さんが何の用でしてぇ?」
ただのところを強調して言う黒亜。
「悪役でしかないメンヘラ女がよく言いますね。」
ここで一歩も引かないのが椛節。
まっすぐと目を見て言い返す。
「ちょっとしつれーじゃないですかいっぱんじん。」
それを見ていた亜科はそういって上蹴りを椛に繰り出す。
しかしその細い足は椛の背後から現れた大きな骨の鋏に止められるのだった。
「生憎一般人じゃないんですよ。ちょっと静かにしていてもらえますかクソ餓鬼。」
黒亜はふふっと軽く微笑んで黒い影を伸ばす。
真衣を殺したアノ攻撃である。
しかし椛はたんったったたんと軽快なテンポでそれを避けて
くるっとポケットから西洋柄のナイフを出してその影を祓った。
そしてナイフの先を黒亜に向けて言うのだった。
「手を引くか、死ぬか選べよ化け物が。」



亜科や黒亜とともにいたメガネの青年は自室でパソコンに送られてきたデータを見ていた。
それはまるでカルテのような…いやカルテそのものだった。
「これはかなり上等な…あぁ…なるほど。いやはや奇縁というかなんと言うか。」
男は薄ら笑みを浮かべていた。
月明かりと小さなデスクトップライトに照らされるパソコンの画面に表示されるカルテ。
書かれていた名前は…


久遠 麻里くおん まり


                     続く。
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