20 / 26
20.大旋風
しおりを挟む
「ロージアス王国でクーデターがあったらしいぞ」
「シウニキス一家がまた大手の海賊団を傘下にいれたらしいな」
道行く人々の噂話を小耳にはさみながら、グレイとルナは闘技場への道を進む。
「チャンピオン。またもや危なげのない試合でしたね。それでは次の試合は……」
歓声が上がっていた試合は既に終わってしまったようだった。
「しまったな。もう少し早く来ればここのチャンピオンを見ることが出来たのか」
「次はルーキーの……」
客が席を立ち、出口へと向かい出した。
「終わっちまったみたいだな」
グレイはこの街には何度か来たことがあったが、闘技場に入ったのは初めてであった。そのため、チャンピオンの試合を一度も見たことが無い。
「せっかくなので見てみたかったですね、チャンピオン」
ルナが残念そうにつぶやいた。
(まさかスカウトする気だったんじゃねえだろうな?)
だとしたら先ほどの反省が全く生かされていない。ルナはしっかりしているようでどこか抜けている。これからのことを思うとグレイは軽くため息をついた。
「ぎゃははは! なんだそれは」
「さすがの『大旋風』様だな!」
観衆のあざける笑いが聞こえてきた。どうやらルーキーの試合が始まっていた様だ。ルーキーと言っても初参加の者を指すのではなく、闘技者のランクとしての呼称の様で、何度か試合に出ている者が現在戦っている様だ。選手にあだ名がつけられていることからもそれがうかがえる。
「くそっ‼ 当たれ! 当たれよ‼」
恐らく『大旋風』であろう闘技者が吠える。褐色の肌に紫色の髪をなびかせ、白と赤のビキニアーマーを身にまとう、彼(か)の女戦士は巨大な斧を振り回すが、相手に届かない。次第に疲れが溜まってきたのか、動きが鈍くなってきたところに対戦相手の剣を突き付けられ、あえなく降参した。
「なんだよ、またかよ~」
「アイツ、いつも降参しちまうんだよな~。そこまでは見ていて笑えるんだが」
「だが、殺されるにはもったいねえじゃねえか。あれはあれで良い体してるぜ?」
「馬鹿野郎‼ あんな斧を振り回してるんだぜ? 全身筋肉でガッチガチに決まってんだろう?」
観客が口々に勝手なことを言っている。
「ルーキー……の方みたいですね」
ルナがあまり興味無さそうに呟く。
「そうだな……」
だが、対象的にグレイは目を輝かせていた。
(あんな斧を振り回せる膂力……あんな奴、滅多にお目にかかれねえ)
かのシウニキス一家の船長が振り回していた武器ですら、『大旋風』と呼ばれる闘技者の斧に比べたら二回り以上も小さい。
「もしかしたら、掘り出し物かもしれねえぞ?」
闘技者としての地位は低く、恐らく収入も少ないであろう。現状に不満はあるはずだ。であれば、十分に交渉の余地はある。
「アイツに声をかけてみよう」
いぶかしむルナを横目にグレイはニヤリと笑った。
「シウニキス一家がまた大手の海賊団を傘下にいれたらしいな」
道行く人々の噂話を小耳にはさみながら、グレイとルナは闘技場への道を進む。
「チャンピオン。またもや危なげのない試合でしたね。それでは次の試合は……」
歓声が上がっていた試合は既に終わってしまったようだった。
「しまったな。もう少し早く来ればここのチャンピオンを見ることが出来たのか」
「次はルーキーの……」
客が席を立ち、出口へと向かい出した。
「終わっちまったみたいだな」
グレイはこの街には何度か来たことがあったが、闘技場に入ったのは初めてであった。そのため、チャンピオンの試合を一度も見たことが無い。
「せっかくなので見てみたかったですね、チャンピオン」
ルナが残念そうにつぶやいた。
(まさかスカウトする気だったんじゃねえだろうな?)
だとしたら先ほどの反省が全く生かされていない。ルナはしっかりしているようでどこか抜けている。これからのことを思うとグレイは軽くため息をついた。
「ぎゃははは! なんだそれは」
「さすがの『大旋風』様だな!」
観衆のあざける笑いが聞こえてきた。どうやらルーキーの試合が始まっていた様だ。ルーキーと言っても初参加の者を指すのではなく、闘技者のランクとしての呼称の様で、何度か試合に出ている者が現在戦っている様だ。選手にあだ名がつけられていることからもそれがうかがえる。
「くそっ‼ 当たれ! 当たれよ‼」
恐らく『大旋風』であろう闘技者が吠える。褐色の肌に紫色の髪をなびかせ、白と赤のビキニアーマーを身にまとう、彼(か)の女戦士は巨大な斧を振り回すが、相手に届かない。次第に疲れが溜まってきたのか、動きが鈍くなってきたところに対戦相手の剣を突き付けられ、あえなく降参した。
「なんだよ、またかよ~」
「アイツ、いつも降参しちまうんだよな~。そこまでは見ていて笑えるんだが」
「だが、殺されるにはもったいねえじゃねえか。あれはあれで良い体してるぜ?」
「馬鹿野郎‼ あんな斧を振り回してるんだぜ? 全身筋肉でガッチガチに決まってんだろう?」
観客が口々に勝手なことを言っている。
「ルーキー……の方みたいですね」
ルナがあまり興味無さそうに呟く。
「そうだな……」
だが、対象的にグレイは目を輝かせていた。
(あんな斧を振り回せる膂力……あんな奴、滅多にお目にかかれねえ)
かのシウニキス一家の船長が振り回していた武器ですら、『大旋風』と呼ばれる闘技者の斧に比べたら二回り以上も小さい。
「もしかしたら、掘り出し物かもしれねえぞ?」
闘技者としての地位は低く、恐らく収入も少ないであろう。現状に不満はあるはずだ。であれば、十分に交渉の余地はある。
「アイツに声をかけてみよう」
いぶかしむルナを横目にグレイはニヤリと笑った。
0
あなたにおすすめの小説
妻からの手紙~18年の後悔を添えて~
Mio
ファンタジー
妻から手紙が来た。
妻が死んで18年目の今日。
息子の誕生日。
「お誕生日おめでとう、ルカ!愛してるわ。エミリア・シェラード」
息子は…17年前に死んだ。
手紙はもう一通あった。
俺はその手紙を読んで、一生分の後悔をした。
------------------------------
愛していました。待っていました。でもさようなら。
彩柚月
ファンタジー
魔の森を挟んだ先の大きい街に出稼ぎに行った夫。待てども待てども帰らない夫を探しに妻は魔の森に脚を踏み入れた。
やっと辿り着いた先で見たあなたは、幸せそうでした。
神々の愛し子って何したらいいの?とりあえずのんびり過ごします
夜明シスカ
ファンタジー
アリュールという世界の中にある一国。
アール国で国の端っこの海に面した田舎領地に神々の寵愛を受けし者として生を受けた子。
いわゆる"神々の愛し子"というもの。
神々の寵愛を受けているというからには、大事にしましょうね。
そういうことだ。
そう、大事にしていれば国も繁栄するだけ。
簡単でしょう?
えぇ、なんなら周りも巻き込んでみーんな幸せになりませんか??
−−−−−−
新連載始まりました。
私としては初の挑戦になる内容のため、至らぬところもあると思いますが、温めで見守って下さいませ。
会話の「」前に人物の名称入れてみることにしました。
余計読みにくいかなぁ?と思いつつ。
会話がわからない!となるよりは・・
試みですね。
誤字・脱字・文章修正 随時行います。
短編タグが長編に変更になることがございます。
*タイトルの「神々の寵愛者」→「神々の愛し子」に変更しました。
【完結】捨て去られた王妃は王宮で働く
ここ
ファンタジー
たしかに私は王妃になった。
5歳の頃に婚約が決まり、逃げようがなかった。完全なる政略結婚。
夫である国王陛下は、ハーレムで浮かれている。政務は王妃が行っていいらしい。私は仕事は得意だ。家臣たちが追いつけないほど、理解が早く、正確らしい。家臣たちは、王妃がいないと困るようになった。何とかしなければ…
【完結】精霊に選ばれなかった私は…
まりぃべる
ファンタジー
ここダロックフェイ国では、5歳になると精霊の森へ行く。精霊に選んでもらえれば、将来有望だ。
しかし、キャロル=マフェソン辺境伯爵令嬢は、精霊に選んでもらえなかった。
選ばれた者は、王立学院で将来国の為になるべく通う。
選ばれなかった者は、教会の学校で一般教養を学ぶ。
貴族なら、より高い地位を狙うのがステータスであるが…?
☆世界観は、緩いですのでそこのところご理解のうえ、お読み下さるとありがたいです。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる