よくある転生のお話(仮)

紫崎

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もう……。

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 本格的に冬が始まってきたある日。
 桜庭このみはため息をつきながら学校から帰っていた。

「今日もけんかしてるよね……」

 このみの両親は、毎日けんかしている。

「ただいま」

 ドアを開けた瞬間、怒鳴り声が聞こえてきた。
 このみの声は聞こえていない様子だ。

「おい!またこんな高いカバン買って……!」

「大人なら、これくらい使わなきゃ!いいでしょ!?」

 このみの母は高級ブランドのカバンやら財布やらネックレスやら色々買っている。
 このみはその怒鳴り声を聞きながら、自室がある階段を上った。

「あーあ。大人って皆勝手だね……」

 部屋に入ってから1人呟く。

「少しはこのみのために使ってやれよ!」

 2人はまだけんかしている。

(出かけよ……)

 このみは何か辛いことがあったとき、公園に行く。

(とりあえず、スマホと財布だけ持っていけばいっか)

 制服からパーカーとパンツに着替えた。
 そして、階段を下りる。
 何か言ってもどうせ聞いてないのだから、何も言わずに靴を履き、ドアを開けて出かけた。

(えーと、確か……)

 前に行った記憶を頼って、公園へ向かう。

(はあはあ。着いた)

 帰宅部かつ運動不足の彼女は近い公園へ行くのも疲れる。
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