寝ても醒めても異世界で!

£しゃな

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第1幕 初めの始まり

第1話 青春到来!?

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・・・・・・・ジリリリリリリリリリリ!





俺は目覚まし時計を左手で止めた。


目を開けると、俺の右手は天井に向かって何かを掴もうとしている。

まただ。

最近の寝相はどうも酷いらしい。

毎朝起きるたびに右手が天井に向かって伸びているのだ。

俺はベットから降りてカーテンを開け、朝の日差しをあびてから階段で下に降りる。


リビングに向かうと、テーブルで朝食を待っている中学生の妹と目が合った。



「ん~…お兄ちゃんおはよう…」



「なんだ凛花。目にクマができてるぞ?」



すると、小声で俺にこそこそと話してきた。



「実は、昨日、夜中までゲームしててさ。」



それを言うと、テヘペロと言わんばかりに舌を出した。

相変わらずの妹だ。

うん、可愛いと思います。(真顔)




俺の家族は、自分と妹の凛花、母の3人暮らしだ。

父は数年前に行方不明になり、未だ見つかっていない。

なぜこんなにも普通に暮らしているのかというと。

母が言うに、


「もし父さんが帰ってきたらいつもの日常で迎えてあげたいでしょ?」という考えらしい。


俺も反対はしなかったし、凛花も同意見のようだ。

だから、今は普通に、いつも通りすごしている。



凛花の対面に座り、テレビを付けた。
いつものチャンネルに変え、朝のニュースを見る。



”昨日、新たに行方不明者が15人増え、これで89人目となります”



またこのニュースか。

父がいなくなってから行方不明者がこの日本で増えているのだ。

日本各地でバラバラにこの現象が起きているらしく、政府も混乱している。



「最近多いわねぇ、このニュース。」



母が朝食を運びながら言った。

すると凛花が



「悪の仕業…とか?」



ニヤリとして俺を見てくる。



「んなわけねーだろ。お前はゲームのしすぎな。」



どれだけ影響受けてるんだこの妹は。

と、思っていると能天気な母が言う。



「確かに!ありえるのかも…」



「でしょ~!可能性はあるよね!」



…うん、まぁ、いつもの事だし。
この2人はこんな感じなのだ。ほんとやってられない。

話についていけないので、そそくさと朝食を済ませて身支度をし、家を出た。





バス停まで徒歩3分、バスに乗って10分のところに俺の通っている高校はあった。

今日から新学期が始まり、この春から俺は高校2年生となる。

友達はいるものの彼女は1度も出来たことがなく、帰宅部のため、それほど目立ったことはしていない。

だが!この新学期からはモテまくり青春ライフを謳歌したい!と思っているのだ!
新たなクラスでしっかりとアピールして、今年こそ彼女を…

そう意気込みながら校門をくぐり、下駄箱へと向かう。



自分の下駄箱を見た瞬間、俺は硬直してしまった。

明らかに自分の下駄箱の扉から白い紙が覗いているのだ。


も、もしや!

これはいわゆる、ラヴレターというやつではないか!?
早速俺にも巡ってきたキャンパスライフゥ!

だが待て!友達のイタズラの可能性も無きにしも非ず…


ここまで考えて数秒後、
意を決して扉を開け、白い紙を取り出した。

2つ折りにしていて、中にはこう書かれてあった。

                   
               

                〝今日の放課後、屋上で待つ″




明らかに字は可愛い女の子文字なのだが、文章がどう見ても「果たし状」にしか見えない。
 
上履きをとった時に中に小さな指輪が入っていた。

どうやら、この手紙と一緒に入れたと思われる。

一応カバンの中に隠し、急いで教室に向かった。



▷▶︎◀︎◁▷▶︎◀︎◁▷▶︎◀︎◁



それからというもの、手紙が気になりすぎてぼーっとしていた。

委員会決めがあったが、自分が何の委員会に入ったか全く覚えていない始末である。


その日の授業が終わり、放課後を迎えた。
もう夕暮れ近い。
時計の針はもう4時をさしていた。


ドキドキすればいいのか、ハラハラすればいいのか。

いろいろ考えていると、ついに屋上のドアの前まで来てしまった。




正直言って期待はしていない。と言えば嘘になる。


はぁ…とうとう俺にもこんな日が来るとは…


そこに男ではなく、女の子がいることを願いながら。




俺はゆっくりと屋上のドアを開けた──




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