寝ても醒めても異世界で!

£しゃな

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第1幕 初めの始まり

第2話 されてもし返すな!

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ガチャ……


夕暮れの日差しが一気に入り込んで、一瞬目を細める。


そしてしっかりと前を見た時、


彼女はいた。


手すりに両手を乗せ、楽しそうに部活をしている校庭の生徒を見ていた。


俺は勇気を振り絞り、彼女に質問することにした。



「あなたが、俺に手紙をくれた人ですか?」



緊張で声が震えていたのが自分でも分かった。

すると、彼女は振り返ってこちらを見た。





その顔を見た時、俺は不意にも見とれてしまった。


凛々しい顔立ちに、綺麗で見透かすような瞳。


綺麗な長い銀髪が春の風でゆっくりとなびいていた。


正直、こんな美少女がいるなら噂にもなるし、学校では人気者になるはずなのだが。



俺はその顔をまるで知らなかった。

                             

そして彼女は、まるで機械のような真顔でこちらを見ながらこう言った。



「あなたが、桐島 瑛介ですか?」



透き通る声で、なんの抑揚もなく彼女は聞いてきた。



「そうですけど。あの、それで、要件とは?」



俺の心臓はこれ以上にない鼓動をしていた。



「あなたのデータを検出します。」



「…………は?」



期待していた言葉の右斜め上をぶっ飛んだので反応に遅れてしまった。



「もう一度言います。あなたのデータを検出します。」



「いや、別に聞こえてなかった訳では無いんですけ
ど…  なんというか、イマイチ理解できないのですが?」



「理解してもらわなくても結構ですので、私の指示
に従ってもらえれば良いのです。」



彼女は淡々とそう言った。


いや、ホント意味が分からない。


呆気に取られていると、彼女は俺のズボンのポケットを指さしながら



「一緒に入れておいた指輪。持っていますね?」



「…あぁ、一応持ってはきたが。」



「では、それを右手の中指にはめてください。」



言われるがまま、俺はポケットから指輪を取り出し中指にはめた。



「はめた、けど。」



「それでは私と手を繋いでください。」



「……………………は?」



今度はもっと反応が遅れた。


手を繋げ…だと!?

母と凛花以外の女性と繋いだことがないのに!?



「いやいやいや!急に手を繋げって言われても…」



「いいから早く手を繋ぎなさい。」



「そもそも何の為に繋ぐんだよ!」



「もう、焦れったいですね。優柔不断な男は嫌われると博士は言ってましたよ?」



「だから誰だよっ!その博士は!」



納得出来ない反面、少しの照れ隠しはあったのかもしれない。

が、本当に理解出来なかったのは確かだ。

見知らぬ美少女の手を握るなんて思ってもいなかったからな。



「分かりました。そちらが握らないというなら、こちらにも手段はあります。」



そう言うと刹那。
俺との間を1歩近づき、無理やり手を握ってきた。



「っ!! お、おい!やめ…」



やめろよ!と言いたかったのだが、それが出来なかった。



なぜなら、



口にやわらい感触があったからだ。


目と鼻の先に彼女の顔が見えた。



どこからどう見ても、これはキスだった。



彼女の唇が俺から離れると、彼女は舌なめずりをしてこう言った。



「検出完了。桐島 瑛介。あなたのデータは記録しました。」



…もう、何が何だか。


考えるのをやめて、ただただ立ち尽くしていた。



「これにて任務完了。データを送ります。」



そう言って屋上から出ていこうとしていた。


俺は最後の力を振り絞って質問した。



「…おい、任務ってなんだ。それに君は…」



そう言うと、彼女は振り返りこう言った。




「それはこれから分かること。」




▷▶︎◀︎◁▷▶︎◀︎◁▷▶︎◀︎◁




…散々だ。ほんと。


その後、彼女のあとを追おうとしたが、すぐにどこかに行ってしまった。

新学期早々なんなんだよ…


マンガでありそうな展開ではあったが、実際に自分の身に降り掛かってみると混乱しかない。


美少女とキスできた事より、他のことで頭がいっぱいだった。


あの子は誰だ?博士ってなんだ?データとか任務とか言ってたな…それにこの指輪。

あれから何回も抜こうとしたのだが、一向に指輪が抜けないのだ。
俺の指にピッタリと引っ付いている感じだった。



バスに乗ることを忘れて歩いて帰ってしまい、いつもより随分遅く家に帰宅した。



玄関で靴を脱いでいると、後ろから凛花が問いかけてきた。



「お兄ちゃんどうしたの?部活もしてないのにいつもより遅く帰ってきて、疲れ果ててるよ?」



「…おん、お兄ちゃん。今、色々と立て込んでるんだ。母さんに飯は後でいいって言っといて。」



そう言いながら俺はとぼとぼと階段を上がり自室に向かった。

凛花はそれ以上何も聞いてこなかった。



そしてそのままベットに寝転んだ。

枕に顔をうずめる。



もう疲れたよ。パト〇ッシュ。



馬鹿なことを考える力は残っているらしい。


とりあえず、明日学校でもう一度あの女の子を探そう。

聞きたいことが山ほどあるし。




…うん、そうしよう…





そうしていつの間にか

俺は深い眠りについていた。



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