二度目の生き方を探してく

嬉野 巧

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新しい俺は何者なのだろうか

こつこつが実ることもあった

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 学校に着くと簡単な挨拶と説明があり、すぐさまテストがはじまるらしい。生徒数に加え種目も多いので時間がかかるそうだ。

(なんか健康診断みたいだ)

 種目ごとに場所が決まっていて指定された順に回っていく。基本クラスごとなので自然と俺、コルア、ショウカで話しながら、一番最初の魔術テストに向かうことになった。

「魔術のテストに使う器具はもしかしてシンガイ商会からだったりしますか?」

「うん、そう」

「うわーほんとになんでもあるな」

「まあ、大きさに見合った仕事をしないとね!」

 順番待ちの列の先にある球体を見つめながら談笑をする。列は長いが流れは早かったので、すぐに自分の番が回ってきた。

「はい、ここに手をかざしてー。記録するから紙もらうねー」

「分かりました」

 事前に配られた記録用の紙を渡して、言われた通り水晶に手をかざす。すると三色の淡い光を放った、と思ったらすぐにそれは消えていった。

「はい、終わりねー。次ー!」

 さっさと列から追い出されて紙を慌てて受け取る。記入された欄を見るとこう書かれていた。

『適性・火、土、闇。素質・平均』

(闇~!)

 わかりやすくロマンな属性の適性があったことに盛り上がるが、その次の項目にはこうべを垂れるしかない。魔術での強さはあまり望めなくなってしまった。
 どんどん進む列の方に顔を向けると、特設クラスは基本後回しにされるのかコルアの姿が見つからない。辺りを見渡して探していると、ショウカが寄ってきた。

「ねぇ、あんたの弟、コルア。なんかやらかしたのかい? 教師に連れられて行ったんだけど」

「え!? いやいやコルアに限ってそんなこと」

 見当たらなかったのはそもそもいなかったかららしい。焦って近くにいた先生に声をかけて訪ねる。

「あ、あの! コルア・タイラのことなんですが」

「ん? あのコルアくんに用かい? 残念だけど彼は特別なテストを受けなくてはいけなくなったから、用事があるなら後にするか言付けておくよ」

「……特別なテスト?」

「詳しくは言えないけれど、ひとまず君はテストをきっちり受けてきなさい。その後には終わっているだろうから」

 そう言うとそそくさと立ち去ってしまったので、仕方なくショウカの元に戻る。今聞いた話をそのまま伝えると、心当たりがあるようだった。

「そう言えば、フルーも特別テストを受けるとか言ってたね。もしかしたらコルアはそれに連れていかれたんじゃないかい」

「フルー……誰?」

「アルストーリア家の坊っちゃま。とにかく心配はいらないんじゃない? あたしたちはあたしたちでテストを終わらせた方がいいよ」

 坊っちゃまで頭に浮かんだ顔は、同じクラスの主人公ヅラ。おそらく彼がフルーなのだろうとあたりをつける。コルアのことは気になるが、今はショウカの助言に従って次のテストへ向かうことにした。

「次は武器……」

「そう、いろんな武器を試させて貰えるらしいね。これは素質とかスジってよりかは筋力や体格の問題ってところ!」

 例に漏れず説明を受けながら移動すると、次は道場のような所に着いた。誘導されるままに様々な武器を手にしていき、記録をして端まで終わるとまたすぐに追い出された。中身を確認すると、またまた平均まみれ。即座に目を逸らして、少し遅れてきたショウカの方に顔を向ける。

「どうだった? 俺は全滅」

「あたしもさ。多少の優劣はあるんだけどね、これといったのはなかったよ」

「そうかぁ……」

 またひとつ無双ルートが狭まっていくのを感じつつ、次のテストへ向かった。

「うぉ~……キックボクシング?」

「ん? それがなにかは知らないけど、ここは体術のテストをするんだ。殴ったり蹴ったり、それを受けたりね」

 二人で会場に入るとそのままペアにされて、軽い打ち合いをすることになった。防具をつけて、指示された通りのやり取りをしていく。一通り終わると、結果をもらいその場で確認することができた。

「あっ! 見て俺、蹴りの結果いいんだけど!」

「お、良かったね。あたしは……殴りかあ。なんとも言えないねぇ」

「いいじゃん、強くて!」

 今回は初めて平均以外の結果をもぎとった。サッカー部の練習の成果だろうか、お遊びレベルでもきちんと取り組んでいて良かったと心底思う。ショウカの方は握力が強いのか、それとも才能なのか分からないが本人は大して嬉しそうではない。

「まぁ、無いよりはマシだね。で、次はどうする? あたしはここで終わりだけど、アールは?」

「次って確か、生産職希望の人だけやるんだよな?」

「そう。あたしは実家が商売してるからそこ継ぐつもりだし、必要ないんだけど。アールは特に決まってないなら参考に行ってくるといいよ」

「そっか、分かった。ありがとな!」

 紙に記載された予定を確認して行動を決める。ショウカとはここで戻ると言うので、一人で会場に向かうことになった。

(俺の家は農家だし、行っといて損は無いな)

 歩きながら用紙で細かいところを確認すると、生産職は種類が多いのでいくつかのカテゴリーに分けてテストをするそうだ。選んで受けてもいいし、全部受けてもいいし、基本自由。せっかくなので全部受けていくことにした。

「全部ね。じゃあ今はあそこが空いてるからそこに行ってくれるかな」

 指示された場所に移動して用意された課題をこなしていく。中身は家庭科や図工、生活でやるようなことだった。

「はい、お疲れ様でした。最後はあそこですね」

 四つをこなし、残り一つの場所へ行くとそこでは縫い物をしていた。空いてる場所に座ると右前の少女と目が合うが、気にせず作業に移行する。

(うわー……俺これ苦手じゃん)

 始めてすぐにわかったことがこれだ。まともな形に縫えないし、先程から指先がチクチクする。多分刺さっている。それでもめげずに進めていると、前の方から声が掛かる。

「あの、それ危ないです……」

「え? あ、俺?」

「そうです、貴方です。すいません口出ししてしまって。でも本当に危ないです」

 そう言うと席を移して俺の目の前にやってくる。アドバイスをしながら身振り手振りで丁寧に教えてくれた。

「針の下に指を置いていたら刺さります。これを付けてこんな風に、私の真似をしてやってみて下さい」

「こんな感じ?」

「そうです。それならさっきよりは刺さらないと思います」

「おぉー! ほんとだ」

 言われた通りに真似をしていくと本当に上手くいくようになる。そうして残りを終えることが出来た。

「ありがとう」

「いえ……怪我した指、大丈夫ですか? 血が出てます」

 下を見ると、確かに血が出ていた。何個か穴が出来ているので普通に気持ち悪い。

「あー……痛くはないな。大丈夫でもないけど」

「保健室の場所、わかりますか? 血を出しっぱなしにするのは良くないですから、行った方がいいですよ」

「あ、ここにも保健室はあるんだ」

「……私が案内します。すぐに済むので時間の心配はいりませんよ」

「あ、悪い……ありがとう」

 少女の申し出を有難く受けて頭を下げると、素早く先生に話をつけてくれて直ぐに保健室へ連れていってくれた。

「あの、同じクラスの方ですよね」

「……そ、そうだね」

「覚えていらっしゃらないかも知れませんが、エイテム・ハーラといいます」

「エイテムさん、俺はアール・タイラです。案内してくれてありがとう」

「いえ案内をしただけなので、気になさらないでください。タイラさん」

「あ、弟もタイラだからアールで頼むよ」

「分かりました、アールさん。ではお大事に」

「ほんとにありがとう! エイテムさん」

 綺麗にお辞儀をして去っていく背中に声をかけると、丁寧に振り返って反応をくれた。それを見届けると、俺は保健室に入って穴だらけの指をどうにかしてもらうことにする。
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