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運とはズルく見えること
ナンバーワン
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大きな広場、芝生に小さな水場。ピーカンの良い天気で運動するのに適した状況だ。だが、実際は動き回れば誰かに当たるであろう人数がいた。
「えー、今年度の入学、誠におめでとうございます。皆さんが一年健やかに過ごしていくために」
先頭の台で入学式で見た人が話している。おそらく校長クラスの人だ。交流会で一体何をと思っていたが、今のところ入学式の延長のようだ。
クラスごとに固まって立っているので、フルーを目印に何となく注目を集めている。その中でも一番鋭い視線が学生の先頭から時々向けられた。
「あれ、誰か分かる?」
「ごめん、僕は分からないな。ソールは分かるかな?」
俺がチラチラと視線を向けながら尋ねると、フルーは隣に直立していたソールドに話を振った。ソールドはコクリと頷いた。
「トーキン家のタルタ様と把握しております」
「タルタ・トーキン? 初めて見たなぁ。態度の大きさと威厳の有無は紙一重なのかな」
フルーが堂々と胸を張っているタルタを眺めて呟いた。タルタは小さな体にきっちりと採寸されたジャケットを着込み、話しの隙間で周りやこちらに睨みをきかせている。
バチン! 様子をうかがっていたらタルタと目が合った。俺、フルー、ソールドを順に睨むと話をしている先生に向き直った。
「やっかいとはこういうことだよね」
フルーが和やかに笑っている。こういういざこざに慣れているのだろう。俺は会話もしたことが無い人間からの無言の圧に気疲れするしかなかった。
話が終わり、俺たちの元に担任のジウ先生がやって来た。クラスの六人を集めて説明を始める。
「これから班に分かれてのアイスブレイク、軽いゲームなんかをやる時間になります。私たちのクラスは二人一組で他のクラスと交流になります」
ジウ先生がペアを指名していく。まず、ショウカとエイテム。次に俺とフルー。最後がコルアとソールドだった。
ソールドは不服そうに動こうとしなかったが、フルーの手で払われて肩を落としながらコルアと歩いていった。
俺たちが指定された場所に向かうと何やら円が出来ていた。その中心で囲われていたのはタルタだった。
「あの人って、すげー人なの? 入学したばっかであの人だかり……」
歩みをゆっくりに切り替えながら尋ねた。
「タルタ本人は知らないけれど。実家は小売の店をやってて流行ってるって聞いたよ、何だっけ」
フルーは右後ろへ視線を向けて「おっと」と呟いた。いつもソールドが立つ位置だ。
「なんだか忘れたけど、うまく流行りに乗って商売してるみたいだよ」
「へぇ」
過剰なほどピリピリしているのは何故なんだろう。疑問を抱きながら集団の縁にたどり着くと、またタルタの目が向けられた。
パカーっと人だかりが割れていく。タルタの厳しい目つき故かと思ったが、フルーの顔を見て会釈をする人が多いところを見るとフルーの知名度故の部分が広そうだ。
「こんにちはフルーさん」「同じ時期に通えるなんて」「パーティー以来ですね」
「あぁ、今日はよろしくね」
あちこちからかかる声へフルーがにこやかに答えていく。タルタはただ背筋正しく立ち、つま先で規則正しく音を鳴らしていた。
一通り挨拶が終わって場が静まると、タルタの脇に立つ男がぴらぴらと紙を見せながら話し始めた。
「これー先生から預かったんだけど。自己紹介して、簡単なゲームやれって。誰からいきます?」
「僕から」
タルタがビシッと手を挙げた。近くに寄って分かったが、まあまあの厚底靴を履いている。その上でコルアより身長が低いので思っていたより年下なのかもしれない。
「タルタ・トーキン。僕はこの学園で一番の成績をもって卒業する!」
言い終わるとパラパラと拍手が起こる。俺も軽く手を叩きながら、タルタが眉間にシワをよせているのが気になっていた。高らかな宣言に反して苦しそうな表情に見えた。
そこから時計回りに自己紹介が続いていった。食堂で会った感じの悪い取り巻きは数人ほどだったので、俺とフルーが特設クラスを名乗ってもむしろ大きめの拍手がもらえたぐらいだった。
「すごーい! 特設クラスって何が違うの?」
「うーん。まだ、数日しか経ってないから。人数が少ないくらいかな?」
フルーと他クラスの人が楽しげに話している。説明だと簡単なゲームを、とのことだったが各々興味を持った人と雑談を始めていた。
俺もキョロキョロと周りを見渡した。出来ればタルタについて知っていそうな取り巻きの誰かと話がしたい。
「おい! そこの、特設クラス!」
呼びかけに足を止める。フルーは既に離れたところに行っているので自分のことだと思って振り返った。
「タルタさん。俺かな?」
後ろにいたのはタルタだった。俺の問いかけにコクリと頷く。
「あぁ。お前のこと質問させて貰う」
「えー、今年度の入学、誠におめでとうございます。皆さんが一年健やかに過ごしていくために」
先頭の台で入学式で見た人が話している。おそらく校長クラスの人だ。交流会で一体何をと思っていたが、今のところ入学式の延長のようだ。
クラスごとに固まって立っているので、フルーを目印に何となく注目を集めている。その中でも一番鋭い視線が学生の先頭から時々向けられた。
「あれ、誰か分かる?」
「ごめん、僕は分からないな。ソールは分かるかな?」
俺がチラチラと視線を向けながら尋ねると、フルーは隣に直立していたソールドに話を振った。ソールドはコクリと頷いた。
「トーキン家のタルタ様と把握しております」
「タルタ・トーキン? 初めて見たなぁ。態度の大きさと威厳の有無は紙一重なのかな」
フルーが堂々と胸を張っているタルタを眺めて呟いた。タルタは小さな体にきっちりと採寸されたジャケットを着込み、話しの隙間で周りやこちらに睨みをきかせている。
バチン! 様子をうかがっていたらタルタと目が合った。俺、フルー、ソールドを順に睨むと話をしている先生に向き直った。
「やっかいとはこういうことだよね」
フルーが和やかに笑っている。こういういざこざに慣れているのだろう。俺は会話もしたことが無い人間からの無言の圧に気疲れするしかなかった。
話が終わり、俺たちの元に担任のジウ先生がやって来た。クラスの六人を集めて説明を始める。
「これから班に分かれてのアイスブレイク、軽いゲームなんかをやる時間になります。私たちのクラスは二人一組で他のクラスと交流になります」
ジウ先生がペアを指名していく。まず、ショウカとエイテム。次に俺とフルー。最後がコルアとソールドだった。
ソールドは不服そうに動こうとしなかったが、フルーの手で払われて肩を落としながらコルアと歩いていった。
俺たちが指定された場所に向かうと何やら円が出来ていた。その中心で囲われていたのはタルタだった。
「あの人って、すげー人なの? 入学したばっかであの人だかり……」
歩みをゆっくりに切り替えながら尋ねた。
「タルタ本人は知らないけれど。実家は小売の店をやってて流行ってるって聞いたよ、何だっけ」
フルーは右後ろへ視線を向けて「おっと」と呟いた。いつもソールドが立つ位置だ。
「なんだか忘れたけど、うまく流行りに乗って商売してるみたいだよ」
「へぇ」
過剰なほどピリピリしているのは何故なんだろう。疑問を抱きながら集団の縁にたどり着くと、またタルタの目が向けられた。
パカーっと人だかりが割れていく。タルタの厳しい目つき故かと思ったが、フルーの顔を見て会釈をする人が多いところを見るとフルーの知名度故の部分が広そうだ。
「こんにちはフルーさん」「同じ時期に通えるなんて」「パーティー以来ですね」
「あぁ、今日はよろしくね」
あちこちからかかる声へフルーがにこやかに答えていく。タルタはただ背筋正しく立ち、つま先で規則正しく音を鳴らしていた。
一通り挨拶が終わって場が静まると、タルタの脇に立つ男がぴらぴらと紙を見せながら話し始めた。
「これー先生から預かったんだけど。自己紹介して、簡単なゲームやれって。誰からいきます?」
「僕から」
タルタがビシッと手を挙げた。近くに寄って分かったが、まあまあの厚底靴を履いている。その上でコルアより身長が低いので思っていたより年下なのかもしれない。
「タルタ・トーキン。僕はこの学園で一番の成績をもって卒業する!」
言い終わるとパラパラと拍手が起こる。俺も軽く手を叩きながら、タルタが眉間にシワをよせているのが気になっていた。高らかな宣言に反して苦しそうな表情に見えた。
そこから時計回りに自己紹介が続いていった。食堂で会った感じの悪い取り巻きは数人ほどだったので、俺とフルーが特設クラスを名乗ってもむしろ大きめの拍手がもらえたぐらいだった。
「すごーい! 特設クラスって何が違うの?」
「うーん。まだ、数日しか経ってないから。人数が少ないくらいかな?」
フルーと他クラスの人が楽しげに話している。説明だと簡単なゲームを、とのことだったが各々興味を持った人と雑談を始めていた。
俺もキョロキョロと周りを見渡した。出来ればタルタについて知っていそうな取り巻きの誰かと話がしたい。
「おい! そこの、特設クラス!」
呼びかけに足を止める。フルーは既に離れたところに行っているので自分のことだと思って振り返った。
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