24 / 46
運とはズルく見えること
準備に分析
しおりを挟む
「赤チームはパワー型、青チームはスピード型として組み分けしました。うまくコンビネーションが取れれば、相手によって二つの型を使い分けできます。こちらのチームは人数が少ない分、一人が動けるスペースも大きいのでそこも生かしていきたいですね」
「すご! まだちょっとしか経ってないけど、そこまで?」
俺が驚いて声を上げると、エイテムははにかんだ笑顔を浮かべた。
「得意だって言いましたけど、本当は好きなんです。こういう、考えること。的外れなことも言うかもしれないけれど……」
「それは誰にでもあるし! 俺だってね。思ったら色々言うから」
「そうですね……あの、誤解を招きたくないので疑問があれば言って頂きたいんですが」
俺が頷くとエイテムは続けた。
「アールさんは、あちらの四人に比べると特筆する特徴というのがあまり見受けられなくて。でも、だからこそ、アールさんには私と同じくらいチームを見て貰ってその上でチームの中に入って欲しいんです」
「うん、それはどうして?」
「赤チームと青チーム、得意なことが違いますよね。けれど、同じクラスとして一緒に戦います。その時に間をつないでグラデーションのようにする、そういう役目が必要だと思うんです。戦法のメイン二人だけじゃなく、五人チームで戦うには」
エイテムがいつになく熱い目をしている気がする。良かった、と俺は胸をなで下ろした。この行事に一番向いているのは彼女かもしれない。
後日、俺たちは各クラスに見学の申し入れをした。大体のクラスはすんなり了承してくれたが、肝心のAクラス・タルタチームが一筋縄ではいかなかった。
一応、関わりのある俺が向かったのだがタルタが考えるそぶりを見せた途端に取り巻きが反対し始めた。このチームも勝ちを目指しているようで、リーダー格が渋ったことで利敵になると判断されたらしい。
「あーの、難しければ引きますので……」
俺は「失礼しました」と背を向けた。
「待って」
タルタの声が俺を引き留める。振り向くと、タルタは後ろで手を組んでビシッと胸を張っていた。
「ただ単に見学させるわけにいかない。練習試合なら受けて立つ」
「OK!」
「スケジュール調整はこっちがする。連絡待ってて」
「いいの?」
ああ、と頷いたタルタに礼をして俺はAクラスをあとにした。
順序よく他チームの見学をしていくたびに、みるみるエイテムのノートが埋まっていく。何かあればと言われたものの、俺はノートの内容と試合を見て頷くばかりだった。ただ、よくまとまった分析のおかげで作戦ごとの動きは頭に入っていった。
こうして俺たちはAクラス・タルタチームとの練習試合を迎えた。
「すご! まだちょっとしか経ってないけど、そこまで?」
俺が驚いて声を上げると、エイテムははにかんだ笑顔を浮かべた。
「得意だって言いましたけど、本当は好きなんです。こういう、考えること。的外れなことも言うかもしれないけれど……」
「それは誰にでもあるし! 俺だってね。思ったら色々言うから」
「そうですね……あの、誤解を招きたくないので疑問があれば言って頂きたいんですが」
俺が頷くとエイテムは続けた。
「アールさんは、あちらの四人に比べると特筆する特徴というのがあまり見受けられなくて。でも、だからこそ、アールさんには私と同じくらいチームを見て貰ってその上でチームの中に入って欲しいんです」
「うん、それはどうして?」
「赤チームと青チーム、得意なことが違いますよね。けれど、同じクラスとして一緒に戦います。その時に間をつないでグラデーションのようにする、そういう役目が必要だと思うんです。戦法のメイン二人だけじゃなく、五人チームで戦うには」
エイテムがいつになく熱い目をしている気がする。良かった、と俺は胸をなで下ろした。この行事に一番向いているのは彼女かもしれない。
後日、俺たちは各クラスに見学の申し入れをした。大体のクラスはすんなり了承してくれたが、肝心のAクラス・タルタチームが一筋縄ではいかなかった。
一応、関わりのある俺が向かったのだがタルタが考えるそぶりを見せた途端に取り巻きが反対し始めた。このチームも勝ちを目指しているようで、リーダー格が渋ったことで利敵になると判断されたらしい。
「あーの、難しければ引きますので……」
俺は「失礼しました」と背を向けた。
「待って」
タルタの声が俺を引き留める。振り向くと、タルタは後ろで手を組んでビシッと胸を張っていた。
「ただ単に見学させるわけにいかない。練習試合なら受けて立つ」
「OK!」
「スケジュール調整はこっちがする。連絡待ってて」
「いいの?」
ああ、と頷いたタルタに礼をして俺はAクラスをあとにした。
順序よく他チームの見学をしていくたびに、みるみるエイテムのノートが埋まっていく。何かあればと言われたものの、俺はノートの内容と試合を見て頷くばかりだった。ただ、よくまとまった分析のおかげで作戦ごとの動きは頭に入っていった。
こうして俺たちはAクラス・タルタチームとの練習試合を迎えた。
0
あなたにおすすめの小説
転生能無し少女のゆるっとチートな異世界交流
犬社護
ファンタジー
10歳の祝福の儀で、イリア・ランスロット伯爵令嬢は、神様からギフトを貰えなかった。その日以降、家族から【能無し・役立たず】と罵られる日々が続くも、彼女はめげることなく、3年間懸命に努力し続ける。
しかし、13歳の誕生日を迎えても、取得魔法は1個、スキルに至ってはゼロという始末。
遂に我慢の限界を超えた家族から、王都追放処分を受けてしまう。
彼女は悲しみに暮れるも一念発起し、家族から最後の餞別として貰ったお金を使い、隣国行きの列車に乗るも、今度は山間部での落雷による脱線事故が起きてしまい、その衝撃で車外へ放り出され、列車もろとも崖下へと転落していく。
転落中、彼女は前世日本人-七瀬彩奈で、12歳で水難事故に巻き込まれ死んでしまったことを思い出し、現世13歳までの記憶が走馬灯として駆け巡りながら、絶望の淵に達したところで気絶してしまう。
そんな窮地のところをランクS冒険者ベイツに助けられると、神様からギフト《異世界交流》とスキル《アニマルセラピー》を貰っていることに気づかされ、そこから神鳥ルウリと知り合い、日本の家族とも交流できたことで、人生の転機を迎えることとなる。
人は、娯楽で癒されます。
動物や従魔たちには、何もありません。
私が異世界にいる家族と交流して、動物や従魔たちに癒しを与えましょう!
神様の忘れ物
mizuno sei
ファンタジー
仕事中に急死した三十二歳の独身OLが、前世の記憶を持ったまま異世界に転生した。
わりとお気楽で、ポジティブな主人公が、異世界で懸命に生きる中で巻き起こされる、笑いあり、涙あり(?)の珍騒動記。
悪役令息、前世の記憶により悪評が嵩んで死ぬことを悟り教会に出家しに行った結果、最強の聖騎士になり伝説になる
竜頭蛇
ファンタジー
ある日、前世の記憶を思い出したシド・カマッセイはこの世界がギャルゲー「ヒロイックキングダム」の世界であり、自分がギャルゲの悪役令息であると理解する。
評判が悪すぎて破滅する運命にあるが父親が毒親でシドの悪評を広げたり、関係を作ったものには危害を加えるので現状では何をやっても悪評に繋がるを悟り、家との関係を断って出家をすることを決意する。
身を寄せた教会で働くうちに評判が上がりすぎて、聖女や信者から崇められたり、女神から一目置かれ、やがて最強の聖騎士となり、伝説となる物語。
おいでよ!死にゲーの森~異世界転生したら地獄のような死にゲーファンタジー世界だったが俺のステータスとスキルだけがスローライフゲーム仕様
あけちともあき
ファンタジー
上澄タマルは過労死した。
死に際にスローライフを夢見た彼が目覚めた時、そこはファンタジー世界だった。
「異世界転生……!? 俺のスローライフの夢が叶うのか!」
だが、その世界はダークファンタジーばりばり。
人々が争い、魔が跳梁跋扈し、天はかき曇り地は荒れ果て、死と滅びがすぐ隣りにあるような地獄だった。
こんな世界でタマルが手にしたスキルは、スローライフ。
あらゆる環境でスローライフを敢行するためのスキルである。
ダンジョンを採掘して素材を得、毒沼を干拓して畑にし、モンスターを捕獲して飼いならす。
死にゲー世界よ、これがほんわかスローライフの力だ!
タマルを異世界に呼び込んだ謎の神ヌキチータ。
様々な道具を売ってくれ、何でも買い取ってくれる怪しい双子の魔人が経営する店。
世界の異形をコレクションし、タマルのゲットしたモンスターやアイテムたちを寄付できる博物館。
地獄のような世界をスローライフで侵食しながら、タマルのドキドキワクワクの日常が始まる。
妻からの手紙~18年の後悔を添えて~
Mio
ファンタジー
妻から手紙が来た。
妻が死んで18年目の今日。
息子の誕生日。
「お誕生日おめでとう、ルカ!愛してるわ。エミリア・シェラード」
息子は…17年前に死んだ。
手紙はもう一通あった。
俺はその手紙を読んで、一生分の後悔をした。
------------------------------
【㊗️受賞!】神のミスで転生したけど、幼児化しちゃった!〜もふもふと一緒に、異世界ライフを楽しもう!〜
一ノ蔵(いちのくら)
ファンタジー
※第18回ファンタジー小説大賞にて、奨励賞を受賞しました!投票して頂いた皆様には、感謝申し上げますm(_ _)m
✩物語は、ゆっくり進みます。冒険より、日常に重きありの異世界ライフです。
【あらすじ】
神のミスにより、異世界転生が決まったミオ。調子に乗って、スキルを欲張り過ぎた結果、幼児化してしまった!
そんなハプニングがありつつも、ミオは、大好きな異世界で送る第二の人生に、希望いっぱい!
事故のお詫びに遣わされた、守護獣神のジョウとともに、ミオは異世界ライフを楽しみます!
カクヨム(吉野 ひな)にて、先行投稿しています。
クラス転移したけど、皆さん勘違いしてません?
青いウーパーと山椒魚
ファンタジー
加藤あいは高校2年生。
最近ネット小説にハマりまくっているごく普通の高校生である。
普通に過ごしていたら異世界転移に巻き込まれた?
しかも弱いからと森に捨てられた。
いやちょっとまてよ?
皆さん勘違いしてません?
これはあいの不思議な日常を書いた物語である。
本編完結しました!
相変わらず話ごちゃごちゃしていると思いますが、楽しんでいただけると嬉しいです!
1話は1000字くらいなのでササッと読めるはず…
転移先で日本語を読めるというだけで最強の男に囚われました
桜あずみ
恋愛
異世界に転移して2年。
言葉も話せなかったこの国で、必死に努力して、やっとこの世界に馴染んできた。
しかし、ただ一つ、抜けなかった癖がある。
──ふとした瞬間に、日本語でメモを取ってしまうこと。
その一行が、彼の目に留まった。
「この文字を書いたのは、あなたですか?」
美しく、完璧で、どこか現実離れした男。
日本語という未知の文字に強い関心を示した彼は、やがて、少しずつ距離を詰めてくる。
最初はただの好奇心だと思っていた。
けれど、気づけば私は彼の手の中にいた。
彼の正体も、本当の目的も知らないまま。すべてを知ったときには、もう逃げられなかった。
毎日19時に更新予定です。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる