二度目の生き方を探してく

嬉野 巧

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運とはズルく見えること

確証のない疑い

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「ナイスファイトでした……!」


 コートから出ると真っ先にエイテムが拍手をくれた。


「いやいや負けちゃったし。けど、結構粘れたよね?」


「はい。データ収集が捗りました」


 エイテムが書き込んだページをパラパラッと見せてくれる。数えてはいないが確実にページ数が増えていた。役目は果たせたか、と一息ついてお茶を飲んでいるとAチームの会話が聞こえてしまった。


「おかしいですよ、あんな」


「なんかズルしてんじゃないっすか。じゃなきゃマグレであそこまで残れないっしょ」


 耳が痛い。俺のことを言っているのだろうと予想がついた。せめて俺たちが出て行ってからにしてくれ、と思うがAチームの使用時間にお邪魔しているのはこちら側だ。


「戻って反省会しよっか」


「だな」


 雰囲気を察してか、タイミング良く放たれたフルーの提案に乗った。「ありがとうございました」と礼をして、運動場を後にする。背中にタルタの声が聞こえた。


「やってたら、僕が見抜く」


 そのあとには誰の言葉も続かなかった。

 教室に戻ってすぐ、練習試合の振り返りが始まった。俺のモヤモヤとした頭も切り替わって、試合中の動きや気になったことなど作戦会議に熱中した。


 寮に戻り、食事を取って、部屋に入る。コルアは疲れたのか「先に寝ますね」とすぐベッドに潜り込んだ。


「おやすみ」


 俺はベッド脇の小さなライトだけ残して部屋の明かりを消した。


(見抜く、かあ……)


 さっさと眠れば良いものを、ベッドに横にならず腰掛けてしまったせいでつい考え事をしてしまう。「運」のスキルがズルだと言われたら、俺はなんと返せばいいんだろうか。

 スキルの性質上、効果は常時発生している。なので、スキルの効果を受けること自体は全く反則に当たらない。どのチームにも試合中、スキルの恩恵を受けていた人は居るはずだ。だから、正しい答えは「違います」と否定することだろう。


(でも、俺もよく分かってない)


 理論上はそうらしい。けれど、自分の感覚ではノーと言い切れないと思った。これで勝ったとして俺は曇り無く喜べるんだろうか。ズルだと言われたとしても「勝った」んだと主張出来るか。


「ふぅ……」


 まとまらない頭に一息ついた。シーンと静まって、やっとコルアが身動きしていないことに気がつく。


「もう俺も寝るよ。おやすみ」


 寝たふりで返事は帰ってこないが、電気を消して少しすると寝息が聞こえはじめた。
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