二度目の生き方を探してく

嬉野 巧

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努力の先に何を見る

きりきり働く

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 朝、八時うっすら暑い。店にいくと既にタルタがいて、昨日片付けた電卓などを配置した。一回、来客シミュレーションをして俺たちは椅子に腰を落ち着けた。


「朝飯は食ってきたよな?」


「おう」


 俺は家で出して貰ったおにぎりと味噌汁の定食を思い出して答えた。お腹が満足感と温かさで満たされている。タルタもかみ応えのあるサンドイッチを食べてきたらしく「腹は十分」と言った。


「場合によっては昼飯の時間、取ってやれないかもしれないからな。隙ができたら菓子でもつまんどけ」


「分かった!」


 椅子の近くに保冷箱が置かれていて、中に昨日のゼリーに加えクッキーなどが入っていた。言葉に甘えてゼリーを食べながら周りを伺うと、他の店舗も旗を立てたりしていた。通りにもチラチラとショーケースを見て回るお客さん候補が見え始めている。

 朝九時。「開けるぞ」というタルタの宣言が聞こえて、俺は手元の会計機を操作する順番に沿って目で追った。シュミレーションが二通り済んだとき「いらっしゃいませ」と声がしたので俺も顔を上げ、通りに向かって挨拶をした。


「いらっしゃいませー」


 お客は奥から声をかけた俺にも会釈を返してくれ、タルタの商品説明を笑顔で聞いていた。「どんな香りなんですか?」「刺激的でとんがった、特徴的な香りがするものになります」とすらすら進む会話に耳を傾ける余裕が俺にもあった。


「じゃあこれとこれを下さい」


「かしこまりました」


 タルタが注文を受け、俺の元に値段と個数が書かれた伝票が渡された。ポチポチと金額を入力し終えると今度は硬貨がやってきて、数えると丁度同じ金額だったので印刷されてきた領収書だけをタルタに返した。


「ありがとうございました」「ありがとうございました~!」


 タルタの挨拶をオウムのように繰り返してお客を見送ると、また次の来客があった。今度は静かに商品説明を読んで、「これを三つ」と注文が入る。その伝票を打っているうちにまたタルタの「いらっしゃいませ」が聞こえてきて「おすすめは?」と接客が始まった。その間にも「こちらお預かりいたします」と紙幣がやってきて、間を置かずに次の伝票もやってくる。一つお釣りを出して商品を包み、渡したら次の会計をしてまた包んだ。挨拶もタルタに続いて声を出してはいるものの、顔を向ける余裕はなくなってきた。だが、ちらっと見えたタルタの横顔は涼しそうに笑っていたので、俺は安心して仕事に専念した。

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