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努力の先に何を見る
真っ直ぐと立つ
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その夜、家に戻って俺が眠りにつくまでショウカの声は聞こえなかった。疲れもあって布団に沈み込むように寝た。
翌日、頭に照りつけた日差しの熱さに負けて寝床から這い出た。ジュウジュウと何かを焼く音と、醤油のような匂いにつられて食卓へ。
「おはよう! 暑さ以外はいい朝だね」
台所にはショウカが立っていた。彼女の頭上にある窓から入る日光で、顔には影が落ちていた。
おはよう、と挨拶を返してから、俺は昨日も使った箸が置かれたテーブルの前に座った。湯飲みにお茶を注いで飲んでいると、目の前にソーセージと目玉焼きの乗った皿が置かれた。
「おまち」
斜め前方にもう一つの皿が置かれショウカも腰を下ろした。はい、とお茶を手渡すとありがとうが返ってくる。黙々と、たまに「うまい」を言い交わしながら食事がすすんだ。
食べている間にも日が昇っていくのが分かる。日向になった場所から手をどけた。真昼になる前に馬車へ乗り込むべきか、夕方まで待つべきかが頭を巡った。
「今日空いてる?」
「遊びのお誘い?」
俺がそう、と答えるとショウカはやっと大きく笑った。
「まかせな、この街は庭といっても過言じゃないからさ!」
朝食を終えて家を出る。荷物はまとめて玄関先へ移動しておいた。タルタも誘おうかと提案したが、シンガイ商会との予定が入っているはずだとショウカに却下された。
店の並びに背を向けて歩いていくショウカについていきながら、「あっちじゃないの?」と広い通りを指さして尋ねた。
「商売の活気は二日間で存分に味わっただろう? 土産も荷物になるから最後のほうが良い。案内板に無い、アタシならではの道のりで行くよ!」
視界の端から人々の声が聞こえてくるなか、レンガ造りの街並みを歩く。ゆったりとした坂道を登ってだんだんと建物が見下ろせるようになると、生ぬるい風が首元を涼しくした。やがて緑と柵に囲まれた小高い公園に出た。
街がよく見える。自分を含め、やってくる人を迎える大きな入り口。そこから整った円形に広がる道と、でこぼこで色鮮やかな店たち。そこから通ってきた道を目でたどって、足を動かすと、踏んでいた草がピンと立ち上がった。
「アール、次はどこへ?」
同じように風景を眺めながら、ショウカがふっと聞いてきた。
「とりあえず家に帰る、けど」
そういうことじゃない気がして、何か続けようとしてみる。でも、「どこ」が一体何を指すのか、短い言葉の合間には見つけられなかった。
「アタシはね、きっとここにいるよ。だからまた遊びに来て! 何度でも歓迎するからさ!」
「わかった、また来るよ。弟とかクラスのみんなも来れたら楽しそう!」
「もちろん。なんなら、ご家族も一緒に連れてきな!」
「ありがとう! その次は俺の場所にも遊びにきて」
ショウカはそれにも、もちろんと頷いた。この街を見つめるショウカの立ち姿は胸を張っていて真っすぐだった。昨日の小さな疑問が頭をよぎったが、今のショウカにそんな様子はみじんも感じ取れない。
強いな、と思った。自分で言った「俺の場所」が分からなくて頭にモヤをかけた自分と比べてしまった。
翌日、頭に照りつけた日差しの熱さに負けて寝床から這い出た。ジュウジュウと何かを焼く音と、醤油のような匂いにつられて食卓へ。
「おはよう! 暑さ以外はいい朝だね」
台所にはショウカが立っていた。彼女の頭上にある窓から入る日光で、顔には影が落ちていた。
おはよう、と挨拶を返してから、俺は昨日も使った箸が置かれたテーブルの前に座った。湯飲みにお茶を注いで飲んでいると、目の前にソーセージと目玉焼きの乗った皿が置かれた。
「おまち」
斜め前方にもう一つの皿が置かれショウカも腰を下ろした。はい、とお茶を手渡すとありがとうが返ってくる。黙々と、たまに「うまい」を言い交わしながら食事がすすんだ。
食べている間にも日が昇っていくのが分かる。日向になった場所から手をどけた。真昼になる前に馬車へ乗り込むべきか、夕方まで待つべきかが頭を巡った。
「今日空いてる?」
「遊びのお誘い?」
俺がそう、と答えるとショウカはやっと大きく笑った。
「まかせな、この街は庭といっても過言じゃないからさ!」
朝食を終えて家を出る。荷物はまとめて玄関先へ移動しておいた。タルタも誘おうかと提案したが、シンガイ商会との予定が入っているはずだとショウカに却下された。
店の並びに背を向けて歩いていくショウカについていきながら、「あっちじゃないの?」と広い通りを指さして尋ねた。
「商売の活気は二日間で存分に味わっただろう? 土産も荷物になるから最後のほうが良い。案内板に無い、アタシならではの道のりで行くよ!」
視界の端から人々の声が聞こえてくるなか、レンガ造りの街並みを歩く。ゆったりとした坂道を登ってだんだんと建物が見下ろせるようになると、生ぬるい風が首元を涼しくした。やがて緑と柵に囲まれた小高い公園に出た。
街がよく見える。自分を含め、やってくる人を迎える大きな入り口。そこから整った円形に広がる道と、でこぼこで色鮮やかな店たち。そこから通ってきた道を目でたどって、足を動かすと、踏んでいた草がピンと立ち上がった。
「アール、次はどこへ?」
同じように風景を眺めながら、ショウカがふっと聞いてきた。
「とりあえず家に帰る、けど」
そういうことじゃない気がして、何か続けようとしてみる。でも、「どこ」が一体何を指すのか、短い言葉の合間には見つけられなかった。
「アタシはね、きっとここにいるよ。だからまた遊びに来て! 何度でも歓迎するからさ!」
「わかった、また来るよ。弟とかクラスのみんなも来れたら楽しそう!」
「もちろん。なんなら、ご家族も一緒に連れてきな!」
「ありがとう! その次は俺の場所にも遊びにきて」
ショウカはそれにも、もちろんと頷いた。この街を見つめるショウカの立ち姿は胸を張っていて真っすぐだった。昨日の小さな疑問が頭をよぎったが、今のショウカにそんな様子はみじんも感じ取れない。
強いな、と思った。自分で言った「俺の場所」が分からなくて頭にモヤをかけた自分と比べてしまった。
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