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第5話 敵に金取りに行くとかどっちが敵だよって話
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第5話 敵に金取りに行くとかどっちが敵だよって話
ある一軒家にゴンゴンゴンと扉を叩く男。
「はい……なんでしょうか……」
扉を開けた先には高校生の男が三人。
「払ってもらおうか。」
いかにもな服装の三人を見て扉を閉めようとするも力で抑えられる。
「閉めるな閉めるな……本物じゃねえから。」
それぞれが家族のスーツを着て、増井は胸元のシャツを開けており、それどころか三人ともサングラスをつけている。
これを知らない人からすれば本物と言わずしてなんというのだろうか。
とりあえず家に入った三人はゆっくり座る。
「ダメだよ……電車の作品描いて途中で終わらせるなんて……」
西口ブクロ。このペンネームで作家をやっている彼は趣味の鉄道を元に電車の作品を描き続けた作者である。
「すみません……けど、それぐらいしか思い浮かばないんですよね……。」
「まぁ……リアリティが面白いなんて言われると趣味にいっちゃうのは確かにそうなんだよな。(※ あくまで増井の考え方です。)」
増井は彼の作品をひとつずつ見ながら何かを見つける。
「あー、この作品とか知ってるぜ。えーっとたしかえーっと……」
「あ、それはカンパニックって作品で父が描いた船の作品です……」
「あぁ、ごめん……」
((何やってんだアイツゥゥゥゥゥ!))
思わず心の中で二人はツッコミを入れた。
「すみません……親子で似たような作品になって……」
「いえ、そこは別にいいんですよ……ほら、気にしない方が良いってなるじゃん?」
「いやぁ……あはは……」
一はなんとか話を戻そうとし、国から貰った書類を提出する。
「これ……各末省からの書類で、法律により罰金を我々に支払う制度となっておりまして――」
「やはり……払わなきゃいけないですかね。」
「えぇ……まぁ……実を言うとこの制度、僕もかつてそちら側でしたから。」
「えぇ……?」
「あぁ……いえ……こちらの話ですよ。」
「すみません、詳しくその話聞きたくて」
「こ・ち・ら・の・話!……ですので。」
「は、はぁ……」
増井も猪原も気になりはしたが、聞くのはやめた。
なにせこんな一を見るとは思わなかったからだ。まるでこれ以上何かを言うとこの街がタダではすまないのは確実であると確信したかのように。
同時刻、街の奥底にある場所にて。
「なぁ……ここまで来たんだ。そろそろ例のブツ出してくれてもいいんじゃねえの?」
一人の男がスーツに帽子といかにも悪そうな見た目の商人に取引を持ちかける。
「えぇ知ってますよ……養殖の各末ですね。でも……貴方が簡単にくれよと言ったところで私がはい分かりましたと渡すなんてそんなのタダではくれてやらんよ……。」
男は首元を掴み、脅す。
「てめぇここに来たってことは自分が今何出すべきかわかってんだよなぁ!あぁ!?」
「あー、わかってるよ、わかってる。あー今出すから」
「あーじゃねえんだよ!あーじゃ!さっさと出せよ!」
男は恐る恐る一万円を支払う。
「けっ……しけた金してやがる。こちとら若い作家にダメ出しして面白いと思った作品でもボツにしてやがるのによォ……商品売るならこれの5倍は必要だ。」
商人は男の首を掴むのをやめ、口を開かせ粉状の各末を飲ませる。
「そんなわけで……アンタにはこれしか出さねえよ。」
「な、なんですか……これは。」
「何って……お前が欲しがってた各末。手前の依頼で各末分けて犯罪に手染めてるなんて聞いたら……どっかの二世作家みたいな感じに高い金払わされて、悲しい思いするよりもっと酷い目にあっちまうだろ?だからさぁ……依頼者が各末になる……新たなビジネスの被験者になってもらうよ。」
「は、はぁ?……何言って……」
その現場をうっすら覗く男の影。
「……あぁ、君は見なくていい。」
「そうかい……」
この取引は長いようで短く、一瞬にして終わった。
そんな事も知らず、家から出た三人。
「とりあえずこれで依頼解決ってのがルーティン?」
一に問いかける猪原。
「そそ、依頼出る、退治する、責任者と会話する……俺はいつもこれを繰り返してるって訳。」
「そしてその結果、取り立ての粼なんて呼ばれるわけだ……。」
「そうそう……ってなんだその当て字!?」
そんな三人の前にはゾンビでありふれた町である。
「は?……なんだこれ。」
「なんで落ち武者の次にゾンビ見なきゃいけねえんだよ!和から用の入れ替わりなんて飯だけにしとけよ!」
「言ってる場合か……」
慌てながらも冷静にツッコミを入れながら刀を抜く一と体が入れ替わり斧を持つメイちゃん。
「待てお前ら……この各末、ゾンビだよな?」
「と言うと?」
「人ってゾンビに噛まれてゾンビは増えてくじゃん……って事はさぁ……」
「あぁ……なるほど……つまり……」
三人は走り出す。
「「「元が人だから倒せねえぇぇえええ!!!!!!」」」
「ゾンビって倒したら何?殺人?殺ゾンビ?どういう罪になるかなぁ?ちなみにメイちゃんの場合は殺人形かなぁ!?」
「言ってる場合じゃねえでしょうが!どうでもいいから貴方の刀でやっちまいなさいよ!」
「それがどうなるか分かんねえから聞いてるんでしょぉぉおおおがあぁぁぁあ!!!!!!」
なんて言いながらも逃げてもどうしようもないと思い始める増井はそんな二人の会話を聞きながらも策を考える。
「頭を使うってのは俺の仕事じゃねえが……やってみますか」
と言いながら自分の腕を真っ直ぐと横に伸ばし、鼻息を荒くする増井。
「おい……何をするつもりだ……?」
「俺が生かせるパワータイプの役割といえばこれだろ!」
増井は自らの腕を広げ、ゾンビ達の群れにくるくると回転しながら自らの身を突っ込む。
「ダブルラリアットォォォォォ!!!!!」
「ゾンビにプロレス技してんじゃねえぇぇぇぇ!!!!!」
増井の奇行にツッコミを入れるも、少しでも周りのゾンビが感覚を開けたことにより、逆にありだと思った。
「これで開いた……俺だって頭良いだろ?」
「脳筋じゃねえか!」
「けどおかげで可能性が増えたわ……。」
なんて言うとメイちゃんは斧を振り回して誰も近づけないようにしてる。
「避けるだとか考える頭はあるのね……。」
「典型的なゾンビじゃないって感じかな?」
「だとしたら……なんだっていうの?」
「きっと何か……ゾンビに設定をつけて……」
「その通り」
謎の男が急に声を出して彼らの元に現れた。
「あ?なんだお前。」
「アサナシア……俺は物語を描く時、そう名乗ってる。」
名乗ると突然、ゾンビの方を向き始めた。
「デリート」
アサナシアが能力を発動するとゾンビになっていた人達は正気を取り戻したかのようにいつもの人間に戻っていた。
「お前らはざっと見た感じ、各末を手に入れた人間と各末に取り憑かれた人間……ってとこか。あ、でもそこの筋肉……おめぇは俺と同じ臭いがするぜ?おめぇさんがどうやって能力手に入れたか聞かせてもらうか。」
「食べた。」
「……ほら!食べた!……やっぱ各末食べてるやつは同じ匂いがすると思ったんだァ!さぁてと……」
不敵な笑みを浮かべどこかへと消えるアサナシア。
「また会おうぜ……俺はちと用事がある……」
何者かも分からない謎の男を追うのをやめ、一は二人と家に戻ることにした。
家に戻ると一はいつも通りパソコンのキーボードをカタカタと叩き始める。
「なぁお前……アサナシアのこと調べてんのか?」
「なんの事?」
「は?」
「ガチャ石貯めてるだけだよ。」
「……」
増井は粼一という男の性格が冷静かただの変な人かあるいはその両方であると確信した。
つづく
ある一軒家にゴンゴンゴンと扉を叩く男。
「はい……なんでしょうか……」
扉を開けた先には高校生の男が三人。
「払ってもらおうか。」
いかにもな服装の三人を見て扉を閉めようとするも力で抑えられる。
「閉めるな閉めるな……本物じゃねえから。」
それぞれが家族のスーツを着て、増井は胸元のシャツを開けており、それどころか三人ともサングラスをつけている。
これを知らない人からすれば本物と言わずしてなんというのだろうか。
とりあえず家に入った三人はゆっくり座る。
「ダメだよ……電車の作品描いて途中で終わらせるなんて……」
西口ブクロ。このペンネームで作家をやっている彼は趣味の鉄道を元に電車の作品を描き続けた作者である。
「すみません……けど、それぐらいしか思い浮かばないんですよね……。」
「まぁ……リアリティが面白いなんて言われると趣味にいっちゃうのは確かにそうなんだよな。(※ あくまで増井の考え方です。)」
増井は彼の作品をひとつずつ見ながら何かを見つける。
「あー、この作品とか知ってるぜ。えーっとたしかえーっと……」
「あ、それはカンパニックって作品で父が描いた船の作品です……」
「あぁ、ごめん……」
((何やってんだアイツゥゥゥゥゥ!))
思わず心の中で二人はツッコミを入れた。
「すみません……親子で似たような作品になって……」
「いえ、そこは別にいいんですよ……ほら、気にしない方が良いってなるじゃん?」
「いやぁ……あはは……」
一はなんとか話を戻そうとし、国から貰った書類を提出する。
「これ……各末省からの書類で、法律により罰金を我々に支払う制度となっておりまして――」
「やはり……払わなきゃいけないですかね。」
「えぇ……まぁ……実を言うとこの制度、僕もかつてそちら側でしたから。」
「えぇ……?」
「あぁ……いえ……こちらの話ですよ。」
「すみません、詳しくその話聞きたくて」
「こ・ち・ら・の・話!……ですので。」
「は、はぁ……」
増井も猪原も気になりはしたが、聞くのはやめた。
なにせこんな一を見るとは思わなかったからだ。まるでこれ以上何かを言うとこの街がタダではすまないのは確実であると確信したかのように。
同時刻、街の奥底にある場所にて。
「なぁ……ここまで来たんだ。そろそろ例のブツ出してくれてもいいんじゃねえの?」
一人の男がスーツに帽子といかにも悪そうな見た目の商人に取引を持ちかける。
「えぇ知ってますよ……養殖の各末ですね。でも……貴方が簡単にくれよと言ったところで私がはい分かりましたと渡すなんてそんなのタダではくれてやらんよ……。」
男は首元を掴み、脅す。
「てめぇここに来たってことは自分が今何出すべきかわかってんだよなぁ!あぁ!?」
「あー、わかってるよ、わかってる。あー今出すから」
「あーじゃねえんだよ!あーじゃ!さっさと出せよ!」
男は恐る恐る一万円を支払う。
「けっ……しけた金してやがる。こちとら若い作家にダメ出しして面白いと思った作品でもボツにしてやがるのによォ……商品売るならこれの5倍は必要だ。」
商人は男の首を掴むのをやめ、口を開かせ粉状の各末を飲ませる。
「そんなわけで……アンタにはこれしか出さねえよ。」
「な、なんですか……これは。」
「何って……お前が欲しがってた各末。手前の依頼で各末分けて犯罪に手染めてるなんて聞いたら……どっかの二世作家みたいな感じに高い金払わされて、悲しい思いするよりもっと酷い目にあっちまうだろ?だからさぁ……依頼者が各末になる……新たなビジネスの被験者になってもらうよ。」
「は、はぁ?……何言って……」
その現場をうっすら覗く男の影。
「……あぁ、君は見なくていい。」
「そうかい……」
この取引は長いようで短く、一瞬にして終わった。
そんな事も知らず、家から出た三人。
「とりあえずこれで依頼解決ってのがルーティン?」
一に問いかける猪原。
「そそ、依頼出る、退治する、責任者と会話する……俺はいつもこれを繰り返してるって訳。」
「そしてその結果、取り立ての粼なんて呼ばれるわけだ……。」
「そうそう……ってなんだその当て字!?」
そんな三人の前にはゾンビでありふれた町である。
「は?……なんだこれ。」
「なんで落ち武者の次にゾンビ見なきゃいけねえんだよ!和から用の入れ替わりなんて飯だけにしとけよ!」
「言ってる場合か……」
慌てながらも冷静にツッコミを入れながら刀を抜く一と体が入れ替わり斧を持つメイちゃん。
「待てお前ら……この各末、ゾンビだよな?」
「と言うと?」
「人ってゾンビに噛まれてゾンビは増えてくじゃん……って事はさぁ……」
「あぁ……なるほど……つまり……」
三人は走り出す。
「「「元が人だから倒せねえぇぇえええ!!!!!!」」」
「ゾンビって倒したら何?殺人?殺ゾンビ?どういう罪になるかなぁ?ちなみにメイちゃんの場合は殺人形かなぁ!?」
「言ってる場合じゃねえでしょうが!どうでもいいから貴方の刀でやっちまいなさいよ!」
「それがどうなるか分かんねえから聞いてるんでしょぉぉおおおがあぁぁぁあ!!!!!!」
なんて言いながらも逃げてもどうしようもないと思い始める増井はそんな二人の会話を聞きながらも策を考える。
「頭を使うってのは俺の仕事じゃねえが……やってみますか」
と言いながら自分の腕を真っ直ぐと横に伸ばし、鼻息を荒くする増井。
「おい……何をするつもりだ……?」
「俺が生かせるパワータイプの役割といえばこれだろ!」
増井は自らの腕を広げ、ゾンビ達の群れにくるくると回転しながら自らの身を突っ込む。
「ダブルラリアットォォォォォ!!!!!」
「ゾンビにプロレス技してんじゃねえぇぇぇぇ!!!!!」
増井の奇行にツッコミを入れるも、少しでも周りのゾンビが感覚を開けたことにより、逆にありだと思った。
「これで開いた……俺だって頭良いだろ?」
「脳筋じゃねえか!」
「けどおかげで可能性が増えたわ……。」
なんて言うとメイちゃんは斧を振り回して誰も近づけないようにしてる。
「避けるだとか考える頭はあるのね……。」
「典型的なゾンビじゃないって感じかな?」
「だとしたら……なんだっていうの?」
「きっと何か……ゾンビに設定をつけて……」
「その通り」
謎の男が急に声を出して彼らの元に現れた。
「あ?なんだお前。」
「アサナシア……俺は物語を描く時、そう名乗ってる。」
名乗ると突然、ゾンビの方を向き始めた。
「デリート」
アサナシアが能力を発動するとゾンビになっていた人達は正気を取り戻したかのようにいつもの人間に戻っていた。
「お前らはざっと見た感じ、各末を手に入れた人間と各末に取り憑かれた人間……ってとこか。あ、でもそこの筋肉……おめぇは俺と同じ臭いがするぜ?おめぇさんがどうやって能力手に入れたか聞かせてもらうか。」
「食べた。」
「……ほら!食べた!……やっぱ各末食べてるやつは同じ匂いがすると思ったんだァ!さぁてと……」
不敵な笑みを浮かべどこかへと消えるアサナシア。
「また会おうぜ……俺はちと用事がある……」
何者かも分からない謎の男を追うのをやめ、一は二人と家に戻ることにした。
家に戻ると一はいつも通りパソコンのキーボードをカタカタと叩き始める。
「なぁお前……アサナシアのこと調べてんのか?」
「なんの事?」
「は?」
「ガチャ石貯めてるだけだよ。」
「……」
増井は粼一という男の性格が冷静かただの変な人かあるいはその両方であると確信した。
つづく
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