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第7話 探し物はだいたい身近にある
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第7話 探し物はだいたい身近にある
サッカーグラウンドで試合終了の笛が鳴り響く。汗だくになる選手を前に堂々としている男がいた。
「はぁ……はぁ……」
目の前の化け物に驚く彼ら。それもそのはず、目の前の男は汗ひとつないのだから。
「ナイスファイト……とか言いてぇけど、ぬるすぎる。」
「なん……だと……」
「ま、ありがとうございましたー……ってな訳で俺に一滴でも汗足らせるぐらい強くなっとけよ。」
男はそう言い、その場を去った。
とそんな男を見つめ、唖然とする猪原。
「まずいまずいまずい……これじゃあうちの学校は勝ち目が……」
猪原はこの時、青ざめた。次の相手に挑めば確実に傷一つじゃすまないほどの戦いになると。
「ってな訳なんだよ!ほら!今日の飯奢るから頼むよ!」
他校であるとはいえ不思議と彼らに頼み出す猪原。
「頼むなんて言われても……俺たち、サッカー経験ないしそれどころかサッカー部なんて……あった?」
「いや……俺ら生徒会が潰した気が。」
一と増井の学校である真田高校は共学化になってまもなくサッカー部に関してはそもそも女子生徒が少しいてそこに男子が加わったもののあまりの少人数により試合にすらならず、そのまま部活的にも物語的にも終わった。
「……てなわけだ。」
「そうか……」
そして猪原がいる伊達学園は学習に力を入れた学校、部活をする人間は……稀なのである。
「なるほどな……それで少数だからこそギリ試合が出来る人数だとしてそもそも話にならんから俺らが出ろって話なのか……」
「いや……そもそもさぁ、うちの高校と真田高校が合同チームなんだよ」
「「……え?」」
「だーかーら!合同チームで仲良く俺達は次の高校を倒さないといけませーんって話。」
いきなりの話で一は物凄い速さでサッカー部に入っていた男に通話で聞き出す。
「おい粼だ……サッカー部って今どうなってる?」
「よぉ粼……そりゃお前伊達学園と一緒に……」
「そんな話聞いてないぞ……だいたい俺らの学校のサッカー部は廃部になったんじゃ……」
「あーそれな、なんか今回の試合で勝てたら……部活継続って先生達で賭事してる感じでさぁ……マジで嬉しいんだけど」
「あのクソ教師どもがァァァァァ!!!!!」
電話を切り一は困惑し出す。
「な?」
「なじゃねーよ。まぁとにかく合同チームで戦ってたんだな……んで、その上で人数とかそこらに問題があると……」
などと言いながら分析しだし、その日は終わった。
それから試合当日。
「なんでだあぁぁぁぁ!!!!!」
何故か一と増井は試合に出場することになった。
「きゃー!粼さん頑張ってぇ!」
「粼!あんたなら出来るって期待してる……!」
クラスの女子がどこかから聞き出したのかやってきた。
「ほーら声援が聞こえてるぞぉ粼くぅん。」
そして先程の電話の声の主である梅宮は粼の体を擽りながらからかい始める。
「るっせぇ……なんでこんなことに。」
「まぁいいじゃん……それにしても出てくれるなんてここまで学校に貢献する生徒会もいるもんだなぁ。」
「なんとでも言ってろよ……それに俺、サッカーなんて授業程度でしか経験ないよ?」
そんなふたりの会話に自慢げに入ってくる猪原。
「大丈夫だよ……うちの粼ちゃんは経験は無いけど素質はある。うん、素質はある……。」
「なんでお前まで自慢げなんだよ……」
「ただ……アレだけどな。」
「そう、ただアレ……。」
そんな会話が聞こえる中で一人でひたすらにストレッチしてる男がいた。
「もうやるしかねえな……。」
「おい増井……お前、よりにもよって……」
一は増井のユニフォームに驚く。
「キーパーじゃねえか!!!」
「おう……何故かキーパー任されちゃったよ。」
「そ、そうか……まぁ無理するなよ。」
「おう……」
一はもう今日が終われと思うようにしかならなかった。
「へぇ……次の相手、君たちか?」
そこに現れた堂々とした男。彼こそが今回の目的である。
「あ、なんかそうなったみてぇで……。」
「あのキーパーと君さぁ、サッカー経験なんて全く無さそうに見えるけど……大丈夫なの?」
「あはは……んなわけねえじゃねぇすか。」
一も増井も真面目そうに見えて実はかなり緊張している。
「何弱気なことを言ってる!お前のイメージを体現しろ!」
熱血的なキャプテンがそんな一の肩を叩く。
「伊達学のキャプテン……初対面だよな!?」
「うちのキャプテンは体現しろしか言わないちょっと変わった人だよ。」
むちゃくちゃだ。一は呆れて何も言う気がなくなった。
「ま、そんな感じだから……ま、頑張ってくれよ。」
「えぇ……」
なんて話をしていると試合開始の笛が鳴る。
よろしくお願いしますの声と同時に試合は始まった。
ボールは相手から始まり、猪原を中心に動く。
(やっぱ……予想してたけど……流れはこうなるよね。)
しかしそんなのも気にせず自分達のボールに変えるように梅宮を中心に自分たちのチームは動く。
(させへんでぇ!ってな!)
「一ちゃん!」
梅宮はボールを一にパスするが、アレが気になる。
「もしかしてアレって……」
「あぁ、分かっただろう?粼一は……。」
「「運動神経が悪い!」」
絶望的な二人の一言により、試合は絶望的になった。
ボールをキャッチできない一の前に現れた例の男。
「はーい、マイネームイズ……ボブでぇす!」
ボブと名乗った男はそのままボールをゴールまで運んだ。
1-0……試合の点数が変わった。
「はぁ……?ボブデェス強すぎ。」
「いやボブデェスじゃねぇし……そもそもボブじゃなくて戊部ね?」
「へぇ……ボブデェスね……」
「間違い直さねえし!」
戊部は悪い顔をしながらやはり汗をかかずに次へと進もうとする。
「なぁ猪原……あいつ、動き的に考えても……現実じゃ有り得ねえ……俺らが狩るべき各末そのものだ。」
「へぇそれリアリー?だとしたら遠慮要らないよね?」
「そ、けど残念なお知らせだ……俺は各末が刀だしお前はメイちゃん……武器は斧。つまりよ猪原さん……」
「……?」
「ここで強いのはうちのメンツじゃあのキーパーのみ。」
そう、武器なんて出せば試合になりゃしないのである。
「そういう訳だから……増井!お前の各末ならだせるべ。」
「おうよ……」
増井は突然放たれたボールに大きな手を使って止める。
「おいおいそれってズルじゃねえの?」
「いや……アンタが使ったんだ……フェアだよ。」
と言いながら増井は一を見てニヤける。
「ウチには……持ってるヤツがいる。」
なんて言いながらクルクルと回ったボールは一の方に飛んでった。
「すっげ……ボール止めれた……」
「粼!俺にボールパスしろ!」
そう言われ一はボールを飛ばすもそのボールは真っ直ぐと相手チームのところに飛んでった。
「なんかボールゲットできたァ……」
しかしそれを弾くように奪った選手がいた。
「俺の事忘れてんじゃねえの?」
「わりぃ……俺と一と同中で合同チームのエース……岩田 虎太郎……忘れてたわ。」
「ひでえよな!」
そしてボールは相手のネットに向かって、そのまま入る。
試合は同点になった。
「てな感じで……うちもバケモンづくしなのよ。」
猪原は自慢げにそう言った。
「まぁ実を言うと岩田に関してはアンタらの高校の生徒だけどうちのユニフォーム着せたら……何故かうちのチーム認定しちゃったので……うちのチームです……ってへ。」
「そういやなんでだあ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"!!!」
相手チームのはずの……上杉高校の岩田は思いっきり発狂した。自分の今の謎すぎる立場に。
つづく
サッカーグラウンドで試合終了の笛が鳴り響く。汗だくになる選手を前に堂々としている男がいた。
「はぁ……はぁ……」
目の前の化け物に驚く彼ら。それもそのはず、目の前の男は汗ひとつないのだから。
「ナイスファイト……とか言いてぇけど、ぬるすぎる。」
「なん……だと……」
「ま、ありがとうございましたー……ってな訳で俺に一滴でも汗足らせるぐらい強くなっとけよ。」
男はそう言い、その場を去った。
とそんな男を見つめ、唖然とする猪原。
「まずいまずいまずい……これじゃあうちの学校は勝ち目が……」
猪原はこの時、青ざめた。次の相手に挑めば確実に傷一つじゃすまないほどの戦いになると。
「ってな訳なんだよ!ほら!今日の飯奢るから頼むよ!」
他校であるとはいえ不思議と彼らに頼み出す猪原。
「頼むなんて言われても……俺たち、サッカー経験ないしそれどころかサッカー部なんて……あった?」
「いや……俺ら生徒会が潰した気が。」
一と増井の学校である真田高校は共学化になってまもなくサッカー部に関してはそもそも女子生徒が少しいてそこに男子が加わったもののあまりの少人数により試合にすらならず、そのまま部活的にも物語的にも終わった。
「……てなわけだ。」
「そうか……」
そして猪原がいる伊達学園は学習に力を入れた学校、部活をする人間は……稀なのである。
「なるほどな……それで少数だからこそギリ試合が出来る人数だとしてそもそも話にならんから俺らが出ろって話なのか……」
「いや……そもそもさぁ、うちの高校と真田高校が合同チームなんだよ」
「「……え?」」
「だーかーら!合同チームで仲良く俺達は次の高校を倒さないといけませーんって話。」
いきなりの話で一は物凄い速さでサッカー部に入っていた男に通話で聞き出す。
「おい粼だ……サッカー部って今どうなってる?」
「よぉ粼……そりゃお前伊達学園と一緒に……」
「そんな話聞いてないぞ……だいたい俺らの学校のサッカー部は廃部になったんじゃ……」
「あーそれな、なんか今回の試合で勝てたら……部活継続って先生達で賭事してる感じでさぁ……マジで嬉しいんだけど」
「あのクソ教師どもがァァァァァ!!!!!」
電話を切り一は困惑し出す。
「な?」
「なじゃねーよ。まぁとにかく合同チームで戦ってたんだな……んで、その上で人数とかそこらに問題があると……」
などと言いながら分析しだし、その日は終わった。
それから試合当日。
「なんでだあぁぁぁぁ!!!!!」
何故か一と増井は試合に出場することになった。
「きゃー!粼さん頑張ってぇ!」
「粼!あんたなら出来るって期待してる……!」
クラスの女子がどこかから聞き出したのかやってきた。
「ほーら声援が聞こえてるぞぉ粼くぅん。」
そして先程の電話の声の主である梅宮は粼の体を擽りながらからかい始める。
「るっせぇ……なんでこんなことに。」
「まぁいいじゃん……それにしても出てくれるなんてここまで学校に貢献する生徒会もいるもんだなぁ。」
「なんとでも言ってろよ……それに俺、サッカーなんて授業程度でしか経験ないよ?」
そんなふたりの会話に自慢げに入ってくる猪原。
「大丈夫だよ……うちの粼ちゃんは経験は無いけど素質はある。うん、素質はある……。」
「なんでお前まで自慢げなんだよ……」
「ただ……アレだけどな。」
「そう、ただアレ……。」
そんな会話が聞こえる中で一人でひたすらにストレッチしてる男がいた。
「もうやるしかねえな……。」
「おい増井……お前、よりにもよって……」
一は増井のユニフォームに驚く。
「キーパーじゃねえか!!!」
「おう……何故かキーパー任されちゃったよ。」
「そ、そうか……まぁ無理するなよ。」
「おう……」
一はもう今日が終われと思うようにしかならなかった。
「へぇ……次の相手、君たちか?」
そこに現れた堂々とした男。彼こそが今回の目的である。
「あ、なんかそうなったみてぇで……。」
「あのキーパーと君さぁ、サッカー経験なんて全く無さそうに見えるけど……大丈夫なの?」
「あはは……んなわけねえじゃねぇすか。」
一も増井も真面目そうに見えて実はかなり緊張している。
「何弱気なことを言ってる!お前のイメージを体現しろ!」
熱血的なキャプテンがそんな一の肩を叩く。
「伊達学のキャプテン……初対面だよな!?」
「うちのキャプテンは体現しろしか言わないちょっと変わった人だよ。」
むちゃくちゃだ。一は呆れて何も言う気がなくなった。
「ま、そんな感じだから……ま、頑張ってくれよ。」
「えぇ……」
なんて話をしていると試合開始の笛が鳴る。
よろしくお願いしますの声と同時に試合は始まった。
ボールは相手から始まり、猪原を中心に動く。
(やっぱ……予想してたけど……流れはこうなるよね。)
しかしそんなのも気にせず自分達のボールに変えるように梅宮を中心に自分たちのチームは動く。
(させへんでぇ!ってな!)
「一ちゃん!」
梅宮はボールを一にパスするが、アレが気になる。
「もしかしてアレって……」
「あぁ、分かっただろう?粼一は……。」
「「運動神経が悪い!」」
絶望的な二人の一言により、試合は絶望的になった。
ボールをキャッチできない一の前に現れた例の男。
「はーい、マイネームイズ……ボブでぇす!」
ボブと名乗った男はそのままボールをゴールまで運んだ。
1-0……試合の点数が変わった。
「はぁ……?ボブデェス強すぎ。」
「いやボブデェスじゃねぇし……そもそもボブじゃなくて戊部ね?」
「へぇ……ボブデェスね……」
「間違い直さねえし!」
戊部は悪い顔をしながらやはり汗をかかずに次へと進もうとする。
「なぁ猪原……あいつ、動き的に考えても……現実じゃ有り得ねえ……俺らが狩るべき各末そのものだ。」
「へぇそれリアリー?だとしたら遠慮要らないよね?」
「そ、けど残念なお知らせだ……俺は各末が刀だしお前はメイちゃん……武器は斧。つまりよ猪原さん……」
「……?」
「ここで強いのはうちのメンツじゃあのキーパーのみ。」
そう、武器なんて出せば試合になりゃしないのである。
「そういう訳だから……増井!お前の各末ならだせるべ。」
「おうよ……」
増井は突然放たれたボールに大きな手を使って止める。
「おいおいそれってズルじゃねえの?」
「いや……アンタが使ったんだ……フェアだよ。」
と言いながら増井は一を見てニヤける。
「ウチには……持ってるヤツがいる。」
なんて言いながらクルクルと回ったボールは一の方に飛んでった。
「すっげ……ボール止めれた……」
「粼!俺にボールパスしろ!」
そう言われ一はボールを飛ばすもそのボールは真っ直ぐと相手チームのところに飛んでった。
「なんかボールゲットできたァ……」
しかしそれを弾くように奪った選手がいた。
「俺の事忘れてんじゃねえの?」
「わりぃ……俺と一と同中で合同チームのエース……岩田 虎太郎……忘れてたわ。」
「ひでえよな!」
そしてボールは相手のネットに向かって、そのまま入る。
試合は同点になった。
「てな感じで……うちもバケモンづくしなのよ。」
猪原は自慢げにそう言った。
「まぁ実を言うと岩田に関してはアンタらの高校の生徒だけどうちのユニフォーム着せたら……何故かうちのチーム認定しちゃったので……うちのチームです……ってへ。」
「そういやなんでだあ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"!!!」
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つづく
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