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第9話 大男でも恋がしたい!
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第9話 大男でも恋がしたい!
その日、増井は悩んでいた。
決して将来のことやこれからのことではない。明日地球が無くなっても別にどうでもいいぐらいのレベルだ。
「なんでだ……なんでなんだ……」
一人のクラスメイトが話しかける。
「なんでって何がなんだよ。」
「なんで俺にはヒロインがいねぇえええんだああ!!!」
思わず大男の魂の叫びにクラスメイトは慌てて逃げ出す。
昼休み、大男……増井は一のクラスに物凄い勢いで飛び込んでやってきて、女の子が集まってる中で新作を描く一の前に隕石のごとく飛んできた。
「なぁおかしいよな!なんでお前や猪原にはヒロインと呼べる存在がいて俺には女の色がひとつもないんだ!女っ気がないのか?無さすぎるのか?」
「あ、いや……さっきその私のヒロイン、貴方に怯えて逃げ回ってたんですが……」
「じゃーなーくーてーも!君はそもそも女子が多すぎるし額にいつもイニシャルかなにか分からんアルファベットを描いているじゃないか!」
「……まぁ。」
「まぁじゃねーよ。つーか、お前じゃなくても猪原だよ、あいつ。あいつだって学校生活はわかんねぇけど少なからずメイちゃんってヒロインがいる。んじゃ俺には?俺にはいないんですか!ヒロイン!」
「………キュウム。」
「ありゃヒロインじゃねえしマスコットじゃボケ!あんなおばあちゃんいじりならまだしもおじいちゃんいじりされてるマスコットとどうやって青春ラブコメでも過ごせってんだよ!出来るわきゃねえだろ!」
珍しくツッコミでここまで騒ぐ増井に思わず苦笑いするもそれなりに相談に乗ろうと思った一。
「そもそもさ……ヒロインってくれだとか作れだとかではいできたじゃないんだよ……。」
「え、んじゃよォ……一さん……あそこまでやってくれるあの可愛い女の子達はどうやって……。」
「え?……勝手に俺の元にやってきただけですが?」
「うっせぶっ飛ばすぞボケ。」
思わずツッコミも汚くなった。
それから放課後もそんな愚痴を言ってくるので一はせっかくなので彼と飯を食うことにした。
「悪いな……クラスであんなに騒いだりとかした挙句、今日の夜飯に誘っちまってよぉ。」
「構わねえよ……家で飯食うよりたまにはこんな食事した方がいいだろ。」
なんて言いながらガッツリ夜飯を食べる一と小腹程度で済ませようとする増井。
「てかさぁ……小中の頃って女子と会話したことってあるの?」
「いや……」
増井は嫌そうな顔で過去を思い出そうとする。
「近づいてきゃー来ないでー……とか。物落としたから拾ってあげたら触らないでー……とか」
「酷いな……」
「いや、いいんだ……いいんだけどさ……なんかみんなヒロインいると逆に嫌になって……」
「なるほどな……」
ドリアを食べながら増井はため息をつく。
そんな増井を見ながらハンバーグをガッツリと食べる一。
「まぁ……案外、身近にいるかもな。」
その言葉を聞いた途端、増井の頭に電撃が走った。
「……い、いや……どう……だろうな。」
「どうした急に。」
食事を終え、二人はそれぞれ自分の家に戻る。
(身近にいるってどういう感じなのかな?幼なじみ的な?いやいや……俺に限ってそんなのいたか……?)
「……増井くん、久しぶり。」
脳内に聞こえた声に少し期待する。
そう思って後ろを振り返るもそこには自分の家の扉しか存在しない。
時間を確認すると時計はもう寝ろと言っているかのような時刻だった。
「寝るとしますかな……。」
増井は布団に入る。
しかしなんだか今日は寝れない。増井は布団の中で震えながらも必死に寝ようとする。
(なんで!?なんで寝れないの!?)
増井はがくがくと体が震えるも季節は夏。こんなにも暑い季節なのに何故かヒンヤリとしている空気に疑念を抱くも実際にこうなんだ……理由は分からない。
「なんでだ!なんでなんだ!クソォ!もう出てくるなら出てこい!各末でも幽霊でも!」
「……みぃつけた。」
女性の声が増井の耳元に直接声をかけてきた。
「ひぃ!」
「……うふふふ。」
増井は反射神経で女性の頭を直接掴み押さえつけた。
「テメェ!どっから入ってきた!あ?何?聞こえねぇな!どこから入ってきた!!!!」
「……え、いや、あの離して!頭押さえつけられすぎて喋れませんの!話してくださいまし!」
……数分後、増井は女性?と共に正座で向き合った。
「あの……そもそもなんでこの家基……俺ん家なんですか?」
「いいですわ!教えて差し上げますとも!」
「そういうのいい……」
「私は本来ここに建てられていた白尾家で後に将軍の娘という看板を持つ女として恥じぬように育って参りましたわ。」
「へーじゃあここ元々城か何か?」
「えぇ……それに父は……」
「ちょっと待て!城なの!?なんでここの歴史判明してないの?え?」
「……えぇ、その件なのですが」
白尾の娘はコホンと咳をする。
「我が家だけでなく白尾城は……歴史の証拠が全て全焼しましたわ……」
「なんてこったい……」
「その結果、世間一般で騒がせてる各末ではなく幽霊として……この世界で佇んでますわ。」
「へぇ……よりにもよってこの世界で幽霊……紛らわしい。いやむしろ……紛らわしすぎる。」
思わず増井は頭を抱える。
「というか……そもそも我が家に勝手に無許可で家を建ててなんという人たち!」
「え?んじゃ……えーっと貴女は地縛霊的な感じの……認識でいいか?」
増井の問いかけに白尾家の娘は口を閉じる。
「はぁ……このまま家にいられても問いかけに答えて貰えんなら内心困るしお祓い頼むか。」
「え!いやちょっと待ってよ!」
「んじゃ……おやすみ。」
増井は何とか寝ようとしたが、この日は摩訶不思議な出来事を過ごした興奮により寝れなかった。
「ダメだ……やっぱ寝れねぇわ。」
幽霊はその間に金縛りを仕掛けたり電気を点けたり消したり繰り返したが、結局増井が意地でも眠りについたため拗ねてどこかへ消えた。
翌日の朝。
「……すっげぇ疲れた。」
増井は目ん玉を真っ赤にしてまで疲れていたものの、寝れたという圧倒的勝利を確信した。
「……もう嫌だ。」
学校に向かう途中、街の人の声が耳に直接届きやすい。
「ねぇ……知ってます?元々ここに白尾城って城が経ってて武将様がいらしたそうよ……。」
「へぇ、なんでその話今まで出てこないのよ!」
「それがね……偶然ある人が歴史の資料を見つけたらしくてそれで――」
あくまで噂か……なんて言いながら増井はフッと笑った。
学校にて。
「おい!増井……さん。赤い目をした大男が増井さんとこの地域でさまよってるんだとさ!」
「……いや、それ俺。」
「あ……すみません。」
増井は「ったく」と言いながら自分の机に座る。
昼休み、増井は一を呼んで一緒に雑談した。
「なぁ増井……お前の地域ってかつて将軍がいたらしいな。」
「あぁ……そういや、近所の人もそんな会話してたな。」
「その将軍って娘さんと一緒に城が焼けて亡くなったんだとか……」
一はふふっと笑いながらある事を思った。
「わんちゃんお前ん家にいたりしてな!」
「……どうだかな。」
増井はそう言ってその場を去った。
放課後、真っ直ぐに家に帰ると珍しく母がいた。
「あら、おかえり……そういえば不審者情報で赤い目をした大男が……」
「はぁ……お母さん、それは俺だ。」
「え?」
増井はそう言って自分の部屋に入る。
自分の部屋に入ると丁寧に掃除されていて、増井は即荷物を置いた。
「いるか分かんねぇけど……ひとつ。」
増井は前を向く。
「いい知らせ……持ってきたぞ。」
つづく
その日、増井は悩んでいた。
決して将来のことやこれからのことではない。明日地球が無くなっても別にどうでもいいぐらいのレベルだ。
「なんでだ……なんでなんだ……」
一人のクラスメイトが話しかける。
「なんでって何がなんだよ。」
「なんで俺にはヒロインがいねぇえええんだああ!!!」
思わず大男の魂の叫びにクラスメイトは慌てて逃げ出す。
昼休み、大男……増井は一のクラスに物凄い勢いで飛び込んでやってきて、女の子が集まってる中で新作を描く一の前に隕石のごとく飛んできた。
「なぁおかしいよな!なんでお前や猪原にはヒロインと呼べる存在がいて俺には女の色がひとつもないんだ!女っ気がないのか?無さすぎるのか?」
「あ、いや……さっきその私のヒロイン、貴方に怯えて逃げ回ってたんですが……」
「じゃーなーくーてーも!君はそもそも女子が多すぎるし額にいつもイニシャルかなにか分からんアルファベットを描いているじゃないか!」
「……まぁ。」
「まぁじゃねーよ。つーか、お前じゃなくても猪原だよ、あいつ。あいつだって学校生活はわかんねぇけど少なからずメイちゃんってヒロインがいる。んじゃ俺には?俺にはいないんですか!ヒロイン!」
「………キュウム。」
「ありゃヒロインじゃねえしマスコットじゃボケ!あんなおばあちゃんいじりならまだしもおじいちゃんいじりされてるマスコットとどうやって青春ラブコメでも過ごせってんだよ!出来るわきゃねえだろ!」
珍しくツッコミでここまで騒ぐ増井に思わず苦笑いするもそれなりに相談に乗ろうと思った一。
「そもそもさ……ヒロインってくれだとか作れだとかではいできたじゃないんだよ……。」
「え、んじゃよォ……一さん……あそこまでやってくれるあの可愛い女の子達はどうやって……。」
「え?……勝手に俺の元にやってきただけですが?」
「うっせぶっ飛ばすぞボケ。」
思わずツッコミも汚くなった。
それから放課後もそんな愚痴を言ってくるので一はせっかくなので彼と飯を食うことにした。
「悪いな……クラスであんなに騒いだりとかした挙句、今日の夜飯に誘っちまってよぉ。」
「構わねえよ……家で飯食うよりたまにはこんな食事した方がいいだろ。」
なんて言いながらガッツリ夜飯を食べる一と小腹程度で済ませようとする増井。
「てかさぁ……小中の頃って女子と会話したことってあるの?」
「いや……」
増井は嫌そうな顔で過去を思い出そうとする。
「近づいてきゃー来ないでー……とか。物落としたから拾ってあげたら触らないでー……とか」
「酷いな……」
「いや、いいんだ……いいんだけどさ……なんかみんなヒロインいると逆に嫌になって……」
「なるほどな……」
ドリアを食べながら増井はため息をつく。
そんな増井を見ながらハンバーグをガッツリと食べる一。
「まぁ……案外、身近にいるかもな。」
その言葉を聞いた途端、増井の頭に電撃が走った。
「……い、いや……どう……だろうな。」
「どうした急に。」
食事を終え、二人はそれぞれ自分の家に戻る。
(身近にいるってどういう感じなのかな?幼なじみ的な?いやいや……俺に限ってそんなのいたか……?)
「……増井くん、久しぶり。」
脳内に聞こえた声に少し期待する。
そう思って後ろを振り返るもそこには自分の家の扉しか存在しない。
時間を確認すると時計はもう寝ろと言っているかのような時刻だった。
「寝るとしますかな……。」
増井は布団に入る。
しかしなんだか今日は寝れない。増井は布団の中で震えながらも必死に寝ようとする。
(なんで!?なんで寝れないの!?)
増井はがくがくと体が震えるも季節は夏。こんなにも暑い季節なのに何故かヒンヤリとしている空気に疑念を抱くも実際にこうなんだ……理由は分からない。
「なんでだ!なんでなんだ!クソォ!もう出てくるなら出てこい!各末でも幽霊でも!」
「……みぃつけた。」
女性の声が増井の耳元に直接声をかけてきた。
「ひぃ!」
「……うふふふ。」
増井は反射神経で女性の頭を直接掴み押さえつけた。
「テメェ!どっから入ってきた!あ?何?聞こえねぇな!どこから入ってきた!!!!」
「……え、いや、あの離して!頭押さえつけられすぎて喋れませんの!話してくださいまし!」
……数分後、増井は女性?と共に正座で向き合った。
「あの……そもそもなんでこの家基……俺ん家なんですか?」
「いいですわ!教えて差し上げますとも!」
「そういうのいい……」
「私は本来ここに建てられていた白尾家で後に将軍の娘という看板を持つ女として恥じぬように育って参りましたわ。」
「へーじゃあここ元々城か何か?」
「えぇ……それに父は……」
「ちょっと待て!城なの!?なんでここの歴史判明してないの?え?」
「……えぇ、その件なのですが」
白尾の娘はコホンと咳をする。
「我が家だけでなく白尾城は……歴史の証拠が全て全焼しましたわ……」
「なんてこったい……」
「その結果、世間一般で騒がせてる各末ではなく幽霊として……この世界で佇んでますわ。」
「へぇ……よりにもよってこの世界で幽霊……紛らわしい。いやむしろ……紛らわしすぎる。」
思わず増井は頭を抱える。
「というか……そもそも我が家に勝手に無許可で家を建ててなんという人たち!」
「え?んじゃ……えーっと貴女は地縛霊的な感じの……認識でいいか?」
増井の問いかけに白尾家の娘は口を閉じる。
「はぁ……このまま家にいられても問いかけに答えて貰えんなら内心困るしお祓い頼むか。」
「え!いやちょっと待ってよ!」
「んじゃ……おやすみ。」
増井は何とか寝ようとしたが、この日は摩訶不思議な出来事を過ごした興奮により寝れなかった。
「ダメだ……やっぱ寝れねぇわ。」
幽霊はその間に金縛りを仕掛けたり電気を点けたり消したり繰り返したが、結局増井が意地でも眠りについたため拗ねてどこかへ消えた。
翌日の朝。
「……すっげぇ疲れた。」
増井は目ん玉を真っ赤にしてまで疲れていたものの、寝れたという圧倒的勝利を確信した。
「……もう嫌だ。」
学校に向かう途中、街の人の声が耳に直接届きやすい。
「ねぇ……知ってます?元々ここに白尾城って城が経ってて武将様がいらしたそうよ……。」
「へぇ、なんでその話今まで出てこないのよ!」
「それがね……偶然ある人が歴史の資料を見つけたらしくてそれで――」
あくまで噂か……なんて言いながら増井はフッと笑った。
学校にて。
「おい!増井……さん。赤い目をした大男が増井さんとこの地域でさまよってるんだとさ!」
「……いや、それ俺。」
「あ……すみません。」
増井は「ったく」と言いながら自分の机に座る。
昼休み、増井は一を呼んで一緒に雑談した。
「なぁ増井……お前の地域ってかつて将軍がいたらしいな。」
「あぁ……そういや、近所の人もそんな会話してたな。」
「その将軍って娘さんと一緒に城が焼けて亡くなったんだとか……」
一はふふっと笑いながらある事を思った。
「わんちゃんお前ん家にいたりしてな!」
「……どうだかな。」
増井はそう言ってその場を去った。
放課後、真っ直ぐに家に帰ると珍しく母がいた。
「あら、おかえり……そういえば不審者情報で赤い目をした大男が……」
「はぁ……お母さん、それは俺だ。」
「え?」
増井はそう言って自分の部屋に入る。
自分の部屋に入ると丁寧に掃除されていて、増井は即荷物を置いた。
「いるか分かんねぇけど……ひとつ。」
増井は前を向く。
「いい知らせ……持ってきたぞ。」
つづく
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