各末

蟹虎 夜光

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第13話 過去は歳を重ねると思い出しにくい

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第13話 過去は歳を重ねると思い出しにくい

 あの一件から翌日。ウィンドクリエイションを一はただただ墓地で見つめていた。

「ボロボロだな……。」

 あの一戦からしばらくしてウィンドクリエイションは剣からただの鉄くずになっていた。

 そこに増井が現れた。増井は偶然にも墓参りに来ていた。

「昨日今日ってなんでお前とは……墓場で出会っちまうんだろうな。」

「それは俺の台詞だよ……。」

「はは、まぁな……んで、一。お前、誰の墓に来てるんだ?粼家って訳じゃなさそうだし……。」

「あぁ……実はね……。」

 一はウィンドクリエイションを墓場に置いた。

「おい!いいのかそれ!」

「あぁ……元々この剣は彼のなんだ。」

 墓場に書かれていた性を見ると『大城』と書かれていた。

「大城祐四……彼は風の剣使いの末裔だった。」


 今から数年前。一は後にこの日を厄日と言うほどの悲劇に出会った。

「なぁ……一。」

 虎太郎は一に話しかける。

「なんだよ。」

「お前の家ってなんでお父さんが参観日に来ないんだ?」

「おま、俺じゃなきゃ嫌われてんぞ……まぁいいよ、教えてやる。」

「いや、無理に教えなくていいよ……デリカシー無かったな。ごめん、まじでごめん、俺でコラ画像作っていいから許してくれ。」

「いや別にそこまでじゃ……。」

 一はそう言うと廊下に背をつける。

「パパは……今、研究してる。」

「研究?」

「あぁ……。」

「それってあれか?重力だとか電力だとか発明したり……。」

「それはもう……いるし俺ら今どうやって生活してんだよ。」

「へぇ……んじゃ、なんの?」

「死者蘇生。」

「やべえなそれ!」


 一はその日の放課後、一人で豪邸と言われる自分の家に入り、ゴロゴロとカーペットの周りを転がっていた。

「だらしないな……一。」

「お前ほどじゃねえよ。」

「実の父親をお前呼ばわりするな。……まぁいい、お前に見せておきたいものがある。」
 

 一の父親は一を車に乗せて自分の研究所に連れた。

「ここは……?」

「俺の研究所だ。凄いだろ?」

「う、うん……。」

 なんでこの人は偉そうに自慢するのだろうと一は子供ながらに呆れながら研究所内を父親と共に散策した。

「……」

「どうした?凄すぎて黙っちまったか?」

「別に……。ただ……。」

「なんだ?」

「思ったよりここは……良くない。」

「……どういうことだ?パパの研究所に何か問題でもあるか?」

「言葉では言いにくいんだけど……ここの人達ってどうしてみんなどこか辛そうなの?」

「……えぇ?そうか?」

 一は見る人見る人の顔を見つめる。

 ある人は泣きながら歩き、別の人は喉を抑えながら歩く。

 そんな彼らを見て一はなにか裏があると思ってしまった。

「みんなどこか苦しんでる。なんで?」

「母さんに似て勘が鋭くなったな。……だからあの女は嫌だったんだ。」

「え……?」

「いや、こっちの話だ……気にするな。」

 一はそんな父に着いていきながらそんな父を疑い始めた。

「……ついた、ここだ。」

 一は父の足に合わせて進む足を止めた。

「ついた……。」

 そこには多くの女の子が液体の中に閉じ込められており、眠るようにじっとしていた。

「……この女の子達はそれぞれ誘拐されて殺されたり事故にあって亡くなったりした女の子達だ。みんなお前と歳が近い子ばかりだよ。」

 一は彼女達の額を見つめる。そこには『T』や『H』と描かれており一は彼女達のこれからを推測し、絶望する。

「男の子はいないの?」

「お前は女より男に興味があるのか?」

「違う……こんなに女の子がいる中で平等に実験をしないなんてあパパは何を考えて……。」

「ふん……俺はただ単に男のガキに興味はない。無論、お前もだ。」

 そう言うと一に銃を突き出す父親。

「俺は可愛い可愛い女の子に産まれるのを期待してた……じゃあな、バカ息子。」

 銃口をから弾が出ようとする。それを一は爆発物があるのを確認し、避け始める。

「死なば諸共って好きなヒーローが教えてくれた……」

「なん……だと!」

 火の元であるガスは爆発し、研究所は跡形もなくなった。


 一は死んだ父親だった人の姿を確認しながら自分が無事であることを身をもって確認した。

「……ラッキー。」

 一はそう言うと再び眠るように目を閉じた。


 同刻、研究所内の爆散を確認する一人の男がただただ街を見つめた。

『さっきの爆発はなんだったんだ……風の剣士。』

「あぁ……ありゃ、粼一族のガキ達がやらかした跡だ。」

『そうか……戻ってこい、風の剣士。』

「その呼び方……いい加減やめてくれねえか。だせぇ。」

 風の剣士はキレながら電話を閉じる。

「ったく、こちとらてめえと違ってガキもいるってのに風向きが……悪いぜ。」

 風の剣士は各末でないと確認するとその現場を去る。


 数時間後、一が目を覚ました場所には沢山の額にアルファベットが描かれた女の子がいた。

「起きた!」

「起きたね!」

「この子に料理作ったけどお口に合うかな……。」

 そんな声が聞こえる中でゆっくりと目を覚ます。

「……ん?」

「よう、起きたか。お前すげぇな……こんなに可愛い女の子をいっぱい連れてきて……何があったんだ?」

「え……?」

 一はキュウムの家で周りを見つめる。

「ねぇ君……」

「は、はい!」

「うふふ、なんでもなーい」

 Yはそう言うとクスクスと笑った。

「……なんだあの人。」

「あはは、いやぁお前も苦労してるな。んで……どうするんだこれから。」

 キュウムは苦笑いしながら、一に問う。

「これからも何もここまで起きた経緯が分からないんですが……」

「何も……そりゃねぇ。」

 笑いながらそう言うとキュウムは大きな胸を見ながらMに説明しろと促す。

「粼さん……こちらを見てね。」

 大きなノートを渡されて、一は小さな手でそれを開く。

「なになに……」

『研究所内にて。第三研究室にて生命解放火薬破壊後ALPHABETGIRLSSYSTEM起動開始。

 1時間後、AGSの全機体がマスターコントロールプレイヤーを粼一様に認識。応急処置が必要なため、連絡表の中から可能性のある候補者に連絡。

 キュウム様に反応アリ。現在に至る。』

(……なにこれ。)

 一はノートからイメージを作った。

「まぁ……イメージはついた……。」

 おそらく父親の考えは想像がついた。自分を始末した後に彼女らを使ってうふふあははな……そんな薄汚い日々を送ろうとしたのだろう。

「どうしたの……そんな悩み出して。」

 Tが問いかける。

「いや……なんとなく君達が誕生した経緯だとか色んな事を想像すると……嫌だなって思って。」

「そう……でも安心して。」

「……え?」

「私達は……あの科学者が嫌い。だから、貴方が想像してる邪なことは起きないわ。」

「……そうか。」

「ところで……」

 Tはそう言うとニヤリとする。

「あんた好きな子いるの?」

「急にどうした!?」

 思わず一は困惑する。

「ねぇねぇ……粼さん。」

「今度はなんだよ。」

 と言いRと書かれた子の方を見るとビスケットを口に入れられた。

「……どう?」

「……美味しいです。」

 一はあまりの勢いにそう答えた。


 数分後、一はキュウムの家の裏庭に彼女達を集める。

「えー……このままキュウムの家にいるのもあれなので……一人ずつに課題を与えようと思います。」

 ザワザワとし始める一同。

「……で、なにするの?」

 一に最初に疑問を振ったのはしっかり者のK。

「みんなには……武器を持ってもらいたいなぁって。」

 一はそう言うと群れを率いるボスとして彼女達の前で不動を貫いた。

 彼女達はそれに応じるようにそれぞれの武器を考え、それぞれが動き出した。

 つづく
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