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第14話 特技は自信をもて
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第14話 特技は自信をもて
それからしばらくして中学生になった一は作家として物語に魂を注いでいた。
「絶対に……描く!」
作品を描いていると一はパタリと寝始める。
執筆中の作品のタイトルには『雷刃』と書いていた。
翌日、一は絶望した。
描いてる途中だった作品は唾液まみれになっており、一の机にあったコーヒーは零れ、作品は何を描いてるか分からない状態になっていた。
「う……う……」
一は思わず、大きな声を出そうとする。
「うわ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙!!!」
「なんだうるせえな!」
下の階からキュウムがやってきた。
「オイラの作品がァ……」
「知るか。それより大変なことになってんだよ。」
「大変なこと?」
「いいから来い。」
キュウムに連れられ、一は向かう。
そして現場を確認するや否や……全てを察した。雷が走る刀が地についている。
「……これ世間一般的にいう各末じゃん。」
「各末?はぁ……なんだそれ。」
「お前もそうだろうがよ!」
と言いながら一は刀を持とうとする。
「待て待てそれに触ると電気が発生して……」
「大丈夫だよ……これの製作者は俺だし。」
と言うと一は真顔で剣を持った。
その場にいた人達全員がその現場を見て、困惑した。
「なんでそんな冷静なの?」
「H……僕にそんなこと言われても分からないよ。」
電撃を使いこなしたように雷刃と描かれた刀を我がもののように持つと、その場は収まった。
それからしばらくして。
「一、これ。一のクラスメイトの裏垢。」
「凄いなF……君はここまで特定出来たのか。」
(Fは特定能力をスキルとしたか……内気な子だから戦闘は厳しいと思ったが、こんな方法もあるのか。)
武器を持てと言われ、しっかりと持った子はこのようにして一に自分の技を見せた。
(彼女達は戦闘向きではないが……ありとあらゆる情報戦や強みが存在する。)
一はそんな事を考えながら裏垢を確認する。
「……うげっ、これ俺の悪口かな。」
一は少し拗ねた。
翌日の学校。
あの一件以降、何かあるとすればYがひとつ上の先輩として小中にいるくらいだ。
「なぁ一……Y先輩って可愛いよな?」
「はぁ?突然何を言い出すんだ。」
虎太郎に対し首を傾げる一。
「な?お前もそう思うだろ……?」
「……ま、まぁな。」
一はそういう話が苦手である。
「そういや……今日、俺ん家にお前宛ての手紙が届いてさ。」
「おん?つーかなんで俺の手紙お前ん家に届くんだよ。」
「ほら。」
虎太郎が渡した手紙には風の剣士と記載されている。
「……厨二病?」
何故か一は彼の手紙のデザインを見るやそう思った。
そして一はその手紙を開く。
『貴様へ
この間、貴殿の家族が建てた研究所が破壊され、豪邸も下手に入れない状況であると判断できる……哀れですね。』
「おちょくってんのかてめぇ!」
『でも安心しろ、いや、安心してください。』
「なんで二回言った!?」
『実は我々の組織はあの一件で巻き込まれた君もろとも助けてえなと思っておりまして……ある大家さんに数件家を契約してるしクローンの女の子たちとかみんなで各物件どうかなぁと。』
「……確かに嬉しいが大丈夫だろうか。」
『いや特に住所教えて俺たちそんな趣味ない!安心しろよ!もう一くんったら変態だなぁ!』
「……会話してるつもりか?」
『てな感じで要件書いてるし一緒に地図も入れてるからもし良かったらみんなで住んだらどうかな。
怒琉雄堕 一番隊隊長 風の剣士 大城 祐太』
「……はぁ。」
『追伸 君の家が決まったらやましいことが起きないように風の剣士の後継者を送っときます。俺の息子だからよろしくね。まぁ俺の引退頃には間に合うくらい強くなるよね。』
「追伸の量じゃねえ……」
一は早く放課後になってこの事を伝えることしか考えなかった。
放課後、この日は猪原と帰ることにした。
「……はぁ。」
「どうしたんだよそんなに大変そうな顔して。」
「いやさ、普通に……疲れたわ。疲れましたわ。主にツッコミ疲れでさ。」
「あね……まぁでもこれでさ、一つの問題は解決したんじゃないかな。」
「確かにその点は感謝してるけど……はぁ、なんだかなぁ。」
一はあの手紙を思い出し、嫌な感じを思い出す。
「あの手紙さ、なんか嫌なんだよ。」
「……」
「イタズラみたいつーかなんつーかね。」
と言うと猪原は少し笑う。
「逆にのってみよーぜ、その話。」
「……は?」
「興味本位でやってみろよ。毛嫌いするよりまずはゲームだって遊んでみると面白いもんだろ。」
「一理あるな……。」
一は自信をもって家に帰った。
家に帰るや否や、AGSの彼女達は軍隊のように整列していた。
「……という訳で、以上が報告。」
報告をする間に彼女達はそれぞれの家をもう決めていた。それどころか一の家まで決められていた。
「……え?」
渡された地図を見ると個性豊かなマークをされており、一は思わずフフっと笑った。
「わかったよ……」
(……とは言ったものの、ここまですぐ決まるとは思わなかった。さすがは女子特有のチームワークの素晴らしさ……。)
更に彼女達はもう整理整頓まで済ませており、風の剣士に一の家が決まったとまで電話で即報告した。
そこまでの間に活躍したのは主にRだろう。彼女ほど電話番が務まる人間はなかなかに存在しない。例としてイラついている相手を前に落ち着かせる技を持つ彼女電話の主とも言える。
そしてそれをノートにまとめ、メモとしてMが全てを記載したことで彼女達の書記としての実力が尚更わかる。
(正直ここまでやってくれるのはいいけど……日頃それ仕事にして金稼げんのかねこの人たちは。)
一はYが持ってきた紅茶を飲みながらふとそう思った。
それから、翌日。一は彼女達にまとめてもらった荷物を持って大家の元へ行った。
「ったく…よりにもよって男の子じゃないか。しかも二人。」
大家はそう嫌そうな言い方をする。しかし一は怒るというより疑問を持った。
「もしかして……もう一人ってもう来てます?」
「来てるも何も昨日からいるよ?」
「……え?」
「少し変わった子だよ、アンタも見たらわかるがお前も大概って言いたくなりそうだが。」
恐る恐る上の階へと登る一。
(最悪問題が起きたら一番近くにいるのはY先輩だ!いざとなれば彼女に相談しよう!)
そう思って恐る恐る部屋の扉を開ける。
「……やぁ。」
「……」
「風の噂でここだと聞いてね……。合ってたようで良かったよ、粼。」
「あんたが風の剣士の末裔でいいのか……?」
「そう……あ、自己紹介を忘れていた。僕の名前は大城祐四……年は同じなんだからタメでいい。」
「あ、やっぱり?敬語使わなくていいなら気楽。」
一は切り替えの速さがボクサーのパンチくらい早かった。
「え!?ちょっと切り替え早くない?なんでそんな!?」
「まぁ気にするなよ、剣士なんだからとか言って偉そうな態度するやつじゃねえだろ?な?」
「ま、まぁ……そうなんだけど。」
なんて言いながら、残金を確認してため息をつく一。
「大城、生活費払える?」
「無一文です。」
「最悪だ……俺の金は……っても30円のチーズ買えば終わる。」
「30円で良くない!?なんでチーズ挟んだ!?チーズサンドじゃねえんだぞ。」
「ツッコミ長ぇよ……ま、そうと決まればキュウムに教えてもらった方法でやるか。」
「……ん?」
「首かしげるなよ、俺とお前ができるめちゃくちゃ簡単な儲かる仕事だぜ……」
「ん?なんだい?あんなのやこんなのは嫌だよ!」
「各末狩り……」
「……悪くない」
つづく
それからしばらくして中学生になった一は作家として物語に魂を注いでいた。
「絶対に……描く!」
作品を描いていると一はパタリと寝始める。
執筆中の作品のタイトルには『雷刃』と書いていた。
翌日、一は絶望した。
描いてる途中だった作品は唾液まみれになっており、一の机にあったコーヒーは零れ、作品は何を描いてるか分からない状態になっていた。
「う……う……」
一は思わず、大きな声を出そうとする。
「うわ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙!!!」
「なんだうるせえな!」
下の階からキュウムがやってきた。
「オイラの作品がァ……」
「知るか。それより大変なことになってんだよ。」
「大変なこと?」
「いいから来い。」
キュウムに連れられ、一は向かう。
そして現場を確認するや否や……全てを察した。雷が走る刀が地についている。
「……これ世間一般的にいう各末じゃん。」
「各末?はぁ……なんだそれ。」
「お前もそうだろうがよ!」
と言いながら一は刀を持とうとする。
「待て待てそれに触ると電気が発生して……」
「大丈夫だよ……これの製作者は俺だし。」
と言うと一は真顔で剣を持った。
その場にいた人達全員がその現場を見て、困惑した。
「なんでそんな冷静なの?」
「H……僕にそんなこと言われても分からないよ。」
電撃を使いこなしたように雷刃と描かれた刀を我がもののように持つと、その場は収まった。
それからしばらくして。
「一、これ。一のクラスメイトの裏垢。」
「凄いなF……君はここまで特定出来たのか。」
(Fは特定能力をスキルとしたか……内気な子だから戦闘は厳しいと思ったが、こんな方法もあるのか。)
武器を持てと言われ、しっかりと持った子はこのようにして一に自分の技を見せた。
(彼女達は戦闘向きではないが……ありとあらゆる情報戦や強みが存在する。)
一はそんな事を考えながら裏垢を確認する。
「……うげっ、これ俺の悪口かな。」
一は少し拗ねた。
翌日の学校。
あの一件以降、何かあるとすればYがひとつ上の先輩として小中にいるくらいだ。
「なぁ一……Y先輩って可愛いよな?」
「はぁ?突然何を言い出すんだ。」
虎太郎に対し首を傾げる一。
「な?お前もそう思うだろ……?」
「……ま、まぁな。」
一はそういう話が苦手である。
「そういや……今日、俺ん家にお前宛ての手紙が届いてさ。」
「おん?つーかなんで俺の手紙お前ん家に届くんだよ。」
「ほら。」
虎太郎が渡した手紙には風の剣士と記載されている。
「……厨二病?」
何故か一は彼の手紙のデザインを見るやそう思った。
そして一はその手紙を開く。
『貴様へ
この間、貴殿の家族が建てた研究所が破壊され、豪邸も下手に入れない状況であると判断できる……哀れですね。』
「おちょくってんのかてめぇ!」
『でも安心しろ、いや、安心してください。』
「なんで二回言った!?」
『実は我々の組織はあの一件で巻き込まれた君もろとも助けてえなと思っておりまして……ある大家さんに数件家を契約してるしクローンの女の子たちとかみんなで各物件どうかなぁと。』
「……確かに嬉しいが大丈夫だろうか。」
『いや特に住所教えて俺たちそんな趣味ない!安心しろよ!もう一くんったら変態だなぁ!』
「……会話してるつもりか?」
『てな感じで要件書いてるし一緒に地図も入れてるからもし良かったらみんなで住んだらどうかな。
怒琉雄堕 一番隊隊長 風の剣士 大城 祐太』
「……はぁ。」
『追伸 君の家が決まったらやましいことが起きないように風の剣士の後継者を送っときます。俺の息子だからよろしくね。まぁ俺の引退頃には間に合うくらい強くなるよね。』
「追伸の量じゃねえ……」
一は早く放課後になってこの事を伝えることしか考えなかった。
放課後、この日は猪原と帰ることにした。
「……はぁ。」
「どうしたんだよそんなに大変そうな顔して。」
「いやさ、普通に……疲れたわ。疲れましたわ。主にツッコミ疲れでさ。」
「あね……まぁでもこれでさ、一つの問題は解決したんじゃないかな。」
「確かにその点は感謝してるけど……はぁ、なんだかなぁ。」
一はあの手紙を思い出し、嫌な感じを思い出す。
「あの手紙さ、なんか嫌なんだよ。」
「……」
「イタズラみたいつーかなんつーかね。」
と言うと猪原は少し笑う。
「逆にのってみよーぜ、その話。」
「……は?」
「興味本位でやってみろよ。毛嫌いするよりまずはゲームだって遊んでみると面白いもんだろ。」
「一理あるな……。」
一は自信をもって家に帰った。
家に帰るや否や、AGSの彼女達は軍隊のように整列していた。
「……という訳で、以上が報告。」
報告をする間に彼女達はそれぞれの家をもう決めていた。それどころか一の家まで決められていた。
「……え?」
渡された地図を見ると個性豊かなマークをされており、一は思わずフフっと笑った。
「わかったよ……」
(……とは言ったものの、ここまですぐ決まるとは思わなかった。さすがは女子特有のチームワークの素晴らしさ……。)
更に彼女達はもう整理整頓まで済ませており、風の剣士に一の家が決まったとまで電話で即報告した。
そこまでの間に活躍したのは主にRだろう。彼女ほど電話番が務まる人間はなかなかに存在しない。例としてイラついている相手を前に落ち着かせる技を持つ彼女電話の主とも言える。
そしてそれをノートにまとめ、メモとしてMが全てを記載したことで彼女達の書記としての実力が尚更わかる。
(正直ここまでやってくれるのはいいけど……日頃それ仕事にして金稼げんのかねこの人たちは。)
一はYが持ってきた紅茶を飲みながらふとそう思った。
それから、翌日。一は彼女達にまとめてもらった荷物を持って大家の元へ行った。
「ったく…よりにもよって男の子じゃないか。しかも二人。」
大家はそう嫌そうな言い方をする。しかし一は怒るというより疑問を持った。
「もしかして……もう一人ってもう来てます?」
「来てるも何も昨日からいるよ?」
「……え?」
「少し変わった子だよ、アンタも見たらわかるがお前も大概って言いたくなりそうだが。」
恐る恐る上の階へと登る一。
(最悪問題が起きたら一番近くにいるのはY先輩だ!いざとなれば彼女に相談しよう!)
そう思って恐る恐る部屋の扉を開ける。
「……やぁ。」
「……」
「風の噂でここだと聞いてね……。合ってたようで良かったよ、粼。」
「あんたが風の剣士の末裔でいいのか……?」
「そう……あ、自己紹介を忘れていた。僕の名前は大城祐四……年は同じなんだからタメでいい。」
「あ、やっぱり?敬語使わなくていいなら気楽。」
一は切り替えの速さがボクサーのパンチくらい早かった。
「え!?ちょっと切り替え早くない?なんでそんな!?」
「まぁ気にするなよ、剣士なんだからとか言って偉そうな態度するやつじゃねえだろ?な?」
「ま、まぁ……そうなんだけど。」
なんて言いながら、残金を確認してため息をつく一。
「大城、生活費払える?」
「無一文です。」
「最悪だ……俺の金は……っても30円のチーズ買えば終わる。」
「30円で良くない!?なんでチーズ挟んだ!?チーズサンドじゃねえんだぞ。」
「ツッコミ長ぇよ……ま、そうと決まればキュウムに教えてもらった方法でやるか。」
「……ん?」
「首かしげるなよ、俺とお前ができるめちゃくちゃ簡単な儲かる仕事だぜ……」
「ん?なんだい?あんなのやこんなのは嫌だよ!」
「各末狩り……」
「……悪くない」
つづく
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