各末

蟹虎 夜光

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第19話 友達の友達と二人っきりは気まずい

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第19話 友達の友達と二人っきりは気まずい

 研究所にて渡された資料。それはどれも謎に満ち溢れていて、驚くものばかりだった。

「……その反応だと、剣士達とは対面したようだね。」

「あぁ……んで、猪原。これってなんの意味があるんだ?」

「……話は中学の頃。俺が母と喧嘩した時、この研究所は爆発に巻き込まれてね――」



 一達が一件に巻き込まれた時、猪原は大切にしていたゲームのデータを消された腹いせに母の大切にしていたぬいぐるみを燃やそうとしていた。

「ここなら……いいでしょ?」

 偶然燃えていた研究所を見てチャンスと思った猪原はぬいぐるみを燃やした。

「はは……」

 燃えて無くなる瞬間までじっくりと。

「……いい眺めだ。」

 その一方で燃えている現場の研究所を見て少しの好奇心で猪原は入ることにした。



「そうして手に入れたのが……この資料達だ。」

 猪原にとって勉強は簡単なものであった。そのために資料も簡単に理解し、一の父親の資料を独自の視点で考え、いつも見つめていた。

「粼一……確かに運だけが強みと言ったが運でまとめるにしてはおかしな部分も多々存在してね。」

「粼家は先祖代々霊感が凄まじい。俺はこの資料でそれを知ることが出来た。」

 確かに資料には今まで見えた心霊に関する何かや、それが見えた時の情報やきっかけが書かれていた。

「ほう……んで、これがなんの意味をもたらすんだ?」

「少し論点をずらして話させてもらおう。……一の父親は人の霊が見える、一の父親の妹は動物が見える。妹の兄で一の父親の弟は何も見えない。そして一は……人の魂の色が分かるようになった。つまり一の家が霊能力者一家なのは間違いないことだ。」

「……お、おう。」

「では君の問いに答えるとすれば結論から言うとこの資料だけじゃ君の疑問には辿り着かない。ただ、仮にここまでの研究所を建てる実力や成功した経験は……運に繋がるのではないだろうか。」

「まぁ……無理やりだが、確かに」

 少し奇妙だが、納得はできる。増井は何故かこの話をじっくりと聞きたくなった。

「そして俺がこの資料を読んだ後にふと驚いたことがあってな、あいつとゲームをしてると必ずあいつが勝つんだ。」

「それって実力差とかじゃ……」

「それが……運で決まる麻雀でもか?」

「……は?」

「彼は麻雀のルールこそは知らないが、知識のある俺に対して適当にやって勝つアイツ……これが運にしては恐ろしく気持ち悪い。」

「……はぁ。」

「まるで何かが見えているかのような眼をしてる。」

 ふと増井は記憶を呼ぼうとする。

「……言われてみれば。」

 まるで分かっていたかのように相手の攻撃を避けたり、何があってもやけに冷静なあの性格。増井は自分の友達ってそんなにも恐ろしかったのだろうか。

「……君はどう思う?」

「俺か?俺は別に……ただ仮にラッキー野郎だったら運を分けやがれこの野郎って思うな。」

「たしかにな。」

「ソシャゲでいいの当てまくってやるわ。」

「ふふっ……まぁそれに関しては同意見だ。」

 二人は意気投合しながらも目の前の資料を見つめる。

「つーかお前ってオバケとか信じるタイプ?」

「増井、何を言ってるんだ……一応、霊感?ってほどじゃねえけどスピリチュアルな出来事には巻き込まれるよ。各末なんて見てたら……尚更な。そういう君は?」

「俺?……まぁ一応家に幽霊いるしな。」

「へぇ……え?」

「いやいや……案外いるもんだろ?」

 なんて話をしながら資料を見ていると後ろから何者かが近づいてくる足音がした。

「……!?」

 近づいてくるものの気配を感じない。

「……なぁ猪原、もしかして幽霊とか?」

「タイミングがよすぎるだろ。」

 そんな会話をしていれば更に足音は近づく。

「……メイちゃん、構えといて。」

(なんかこの登場……久々なんですけど。)

「……お前の能力、ちょっと気になるんだよな。変化とかさヒーローっぽくてかっこいいやん。」

「そう?君の力も使い方次第でヒーローになれそうだけどね。」

「腕と脚くらいだと思うぜ?」

「……あくまで提案だよ。」

 そんな二人に近づいてくる気配。それは見た事もない怪物そのものだった。

「グルアアアアア……」

 人型をしながらもサイボーグのような見た目に赤く光のような目線に思わず二人は驚く。

「……今回の敵、こんな恐ろしいの?」

「今回のってなんだよ……」

「へへっ……まぁでも俺らって戦いにおいての今までの反省点くらいは学んでるよな。」

「……うん。きっと勝てるだろうさ。」

「んじゃ……相手の攻撃、防御してみるわ。」

 増井はそういうと体から鋼鉄の盾を出す。

「来いよ……サイボーグもどき。」

 サイボーグは何を考えたかレーザー砲を放つ。

 周りの試験管などは破壊されたものの、増井の盾は周りを守った。

「効かねえな……」

「ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙……」

 人ではない何かに思わずビビる猪原と目の前の相手と喧嘩したそうな増井。

「替え時だぜ……お嬢さん。」

「気安くお嬢さんなんて……」

 姿を変えて突撃するメイちゃん。

「言ってんじゃねえぞ脳筋がァァァァァ!!!!!」

 目の前のサイボーグに斧を振り回して突撃するメイちゃんの姿はバーサーカーのようだ。

「おら!おら!どうした?サイボーグだから指示通りの攻撃だけか?ん?おい?どうしたよ。」

 煽り散らかすメイちゃん。

(ほら、遠慮せず……やっちまいな。)

「わかったわ……」

 メイちゃんは思いっきり斧を投げた。

 迫る斧を目の前にしても棒立ちのサイボーグは半分に切られる。

「……プログラム終了。」

 サイボーグは電池が切れた玩具のように動くのをやめた。

「さてと……どうしようかしらね。」

「……とりあえず去るぞ。」

「どうして?」

「こういう場合……研究所は今もあんな感じのサイボーグが山ほど存在する。んで囲まれたりするパターンが不思議と見えてくる。」

「……アンタって意外とオタクよね。」

「意外とじゃねえよ……つーかオタクって言うな。」

 二人はそう言いながら、走って研究所を出る。

 増井の言う通り、研究所には無数のサイボーグが集まっており、増井とメイちゃんはとにかく走る。

 そんな二人を見つめながらサイボーグを操作する男が一人その場所にいた。

「まったく……哀れだな。」

 男は白衣を着ており、その白衣に着いた名札には粼と書かれていた。

「俺の部下ってのはこんなのを……ったく、馬鹿だな。」

 なんて言いながら彼は自分のタブレットの中にある自分で開発したアプリを見る。

「俺のこのロボットの顔写真が動くアプリの方が素晴らしいのにな。」

「……相変わらずしょうもねえな。」

 そんな彼に刀を向ける一。

「なんだお前か……さすがは私の……」

「子とでも言いたそうだが……あんたの子を名乗る気はねえんだよ……クソ親父?いや、粼 零士せせらぎ れいしさんよぉ……」

「ったく、色々とお前の性格は母さんに似て気に食わねえ……むしろ気に食わなすぎる。少しは考えが変わったりしないものか?」

「人間の本質は変わんねえ……零士さん、こりゃあんたの言葉だぜ?」

「ちっ……経験の浅い分際で偉そうな口を。」

「久しぶりの父子の会話ごっこをしたいとこ悪いが……俺はちと用事があってな……今日は去るとするよ。」

「ふぅん?……秘密を知った彼らの始末でも?」

「違うね……彼らは秘密を知ってても俺には上手く隠すつもりだろう。なら、俺がするべきなのはこっそりとお仕置きをすることだ……けつ毛燃やしながら飲み物買わせたりね。」

「ドSな性格は俺にだな……」

 ふっと笑い、一は忍者のような動きでその場を去った。

 つづく
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