各末

蟹虎 夜光

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第20話 私の魅力、あなたの魅力

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第20話 私の魅力、あなたの魅力
 深夜、ある街のある教室で彼女達は集まっていた。

「……ねぇ、思ったんだけどさ。」

「こんなところに集めて……なに?H。」

「T……私達って粼さんのために動いてるけど戦闘向きの子はいないしそれどころか……使われる人達なんて少ないよね?」

 満場一致の彼女達。

「まさか……使えない子達から殺し出すとかそういうのじゃないよね……?ほら、お菓子でも食べて落ち着いて。」

「ううん、R……そうじゃないの……。向上しないといけない人達は向上しなきゃいけないのかもなぁって……。」

「それだとしたらこの子は除外よね!」

 Tは早速と言わんばかりにFの肩を掴む。

「ひゃっ!な、何するの……。」

「Fちゃんはさ、特定能力が高い時点で……探偵だとかそういうのに近い仕事をしてる粼にとっちゃ有能よね?」

「で、でも……皆さんだってそれぞれ素晴らしい能力の持ち主ですし……」

「謙遜すんなっての。」

「ほ、ほら……医療に関して強いA先輩だっていますし」

「え?私?……別に強くはないよ?まだまだ必要な事もあるし……それに……」

「少なからずFちゃんとA先輩はスキルが確定してるね……」

 Tはそう言うとため息をつく。

「なら他の子は?Rの能力ってお菓子作る能力?」

「私?いやぁ……能力ってよりかは趣味なとこあるし……」

「ゲームでも回復薬を作る担当って必要だしその点ではいいんじゃないかな?」

 Yがそう提案する。

「……なるほど。わ、Y先輩はみんなの憧れとして立つのが凄いですよね……」

「あはは……でも、それで言ったらHちゃんのみんなの会話に入る能力なんて潜入捜査とかで優秀じゃないかな?」

「どうですかね……」

 Hは照れながら答えるとMの方を向く。

「Mっていつもノート取ってるけど……それってなんの?」

「あー、情報をまとめたりとかしてるの……」

「なるほど……てっきりあなたの能力は……」

 すっと胸を見るもコホンと咳をする。

「?」

「いえ……なんでもないわ。」

「K会長はリーダーとしてのスキルが高いし……そうなると……」

 HはTの方を見る。

「Tの能力って……なに?」

「……え?」

「いや……気を悪くさせたらあれだけど、よく良く考えればTって他の子より会話するけど能力が分からないんだよ。」

「……うーん、言われると私の能力ってなんだ?」

「……」

 周りは一斉に無言になった。

「あ、頼まれてたの忘れてた、特定しなきゃいけないものがあったから失礼します……」

「……」

「私も新作料理に挑戦しようと思ってたの忘れてた!」

「……」

 Fを筆頭に逃げていこうとするメンバー。

「え!ちょっと!……」

「待てよ!」

 全員が去ろうとした瞬間、ある男の声で戻ろうとする。

「……何をこそこそ話しているかと思えば君達は自分の武器について話し合ってたのか。……そもそも一部メンバーは被ってるけどな。」

 そう、増井だった。

 彼女達は思いっきり椅子をぶん投げた。

「恐ろしいのは……サイボーグでも……敵でもねえ……女子の群れ……」

 増井はそう言うと気絶した。

「……はぁ。」

 Tは思わずため息をつく。

「というかちょっと待って!」

 Hはある事に気づいて焦りだした。

「これじゃあ……Tのメイン回になっちゃう!」

「え?」

「ダメだよ!Tのメイン回が最初ってことはみんな!ヒロインの座が決まっちゃうよ!」

「ううん……ちょっと待て、そんなめたいことを突然言わないでくれないかな。」

 そこに一人近づく。

「まったく何を話してるかと思えば……」

 Kがゆっくりと近づいた。

「K会長!」

「生徒会長の仕事で少し遅れてな……Tの魅力?そんなの決まっているだろ。」

「……」

「彼女は写真部だ、だから写真撮影がうまい。」

 Kは自信満々にそう言うと周りは納得した。


 一方その頃、キュウムの家にいた一。

「もう夜だぞ……何してんだ。」

「俺らも乗り物が欲しい……なんて思ってさ。」

「大家さんの車じゃダメなのかよ。」

「毎回毎回ボス戦前にガソリン代で金取られるやつがどこにいるか!……ったく。」

 なんて言いながら自分のチャリを細工する一。

「それでこれか……」

「そ、いいっしょ。」

「……はは。一応言うがチャリの二人乗りどころか三人乗りなんて危険だぞ?ちゃんと気をつけて……」

「え?増井が前輪持って猪原に後輪やらせるだけ。」

「……お前、移動方法より先に友情を失うぞ。」

「ダメかぁ……人間バイク。」

「ダメだからな!?」

 慌てて一を止めるキュウム。

「そっか……なら……」

 キュウムを見つめる一。

「……お、俺ならいいってわけじゃねえからな!」

 キュウムの反応を見て残念そうに見つめる一。

「でしょうね、わかってましたよ。」

 一は自分のチャリにモーターやマフラー……各末として引きこもっているクームにも分かる。

「……お前、自分のチャリをどうするつもりだ?」

「チャリ?チッチッチ……バイセコー」

「言い方変えてんじゃねえよ!うっせぇな!」

 そんなことを言いながらもチャリがバイクへと変わるその実験のような改造品は完成した。

「とりあえずやれるとこはやれたかな……理想はこいつを自動変形させて戦うバイク……みたいなのにしたかったけど」

「何考えてるかわからんが……いくらお前の技術だとしても……ものすごく無理難題な気がするぞ、お前の頭の中にある理想とやらは。」


「……どうだかな。案外そうでもないんじゃないか?地球外生命体キュウムさんや。」

「突然その名前で呼ぶなよ。」

『地球外生命体キュウム』。キュウムの元となった没作品。宇宙からやってきたキュウムが地球で暮らし、ありとあらゆる時事問題にあーでもないこーでもないといじり倒すそんな作品だったが、触れにくい話題に1話から触れたのが失敗となった。

「……物語ってさ、儚いよな。」

 一は突然、我に返ったかのようにそう呟いた。

「キュウム、君や俺らの能力ってその場の勢いで思いついて多分作者がむちゃくちゃに作ろうとして失敗したから……こうなっちまった。……俺はね、報われなかった作品に救いを与えるために刀を振ってる。」

「……突然カッコつけて何を言い出すかと思えば随分と独特な話を進めてくなぁ。」

「ムネンって刀使いやアサナシア……アイツらとさ、戦う以外に解決出来る選択肢が見えてこないかな。」

「……さぁな。でも、昔のお前を見てると今のお前の人格にまで変わったのは俺の努力の成果もあるかもな。」

「人の人格形成を自分の手柄にしないでくれ……」

 一はそう言うと出来たてのバイクに試乗しようとする。

「どうだ……!」

 乗ろうとした途端、パーツが体重によりボロボロに崩れ始めてきた。

「……やっぱ自分でバイク買わないとダメ?」

「当たり前だろばーか!」

 キュウムは思いっきり、ベロベロバー!と言わんばかりに舌を出して馬鹿にした。


 一方その頃、とある会議室にて。

 大きなマークを掲げたこの会議室ではまるで堂々と秘密結社であるかのように話を進めていた。

「なら進めようか……」

「おいおい、それで行くのかよ。」

「あぁ、むしろそれだからこそいいんだろ。」

この組織は『粼』という性を掲げ、組織の面々は不敵な笑みを浮かべる。

「粼家は次男坊であるお前が繁栄させろ……俺はちと子供の教育を間違えたようでな。」

「妹も嫁いだから……そうなるよなぁ。」

「あぁ……一人っ子にさえならなければお前にも迷惑をかけずに済んだのにな。」

 そう言うと一服する男。

「副流煙考えろよ!」

「うるせぇ……兄の自由は絶対だ。んじゃ、子孫繁栄でもしてるんだな。」

 つづく
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