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第24話 もう戻れない家族
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第24話 もう戻れない家族
お互いの刃が当たり続ける。
「やるな……」
「……」
二人の剣士はかつての記憶とは違うなんて思いながらも過去を思い出して笑う同級生との再会かのような空気感を生み出した。
「なぁ、お前もしかして……」
「なんのことかなぁ。僕は宇宙人だよ。」
「変装の割にはうますぎるくらいだなぁ……俺の勘が合っていたらきっとお前は……祐四本人だろ?」
そう言われると、祐四は鼻で笑った。
「……やっぱり君は凄いや。」
「……んなもん誰でもわかるわ。」
戦いの最中、二人は笑顔になっていった。
「実は!ある一言が!言えてなくてね!」
「へぇ!……それで成仏出来なかった!ってか!?」
「……はは、それに僕が死んだ時に少しくらい涙を流したって!良かったじゃないか!バ、バチは当たらないんじゃないのかい!?」
「はは……申し訳ないけど感情が死んでてね……」
「まったく!酷いなぁって思ったよ!」
剣に魂を込めて放つ姿は拳の殴り合いに近い。
「それに!君は……もう少し人に対して考え方を考えるべきだ!」
「……なんでお前にそれを言われなきゃいけねえんだよ!」
「周りの女の子だっていつか離れるかもしれないよ!」
「そ、それは……い、いやそんなんじゃねえし!」
「それに!君の友達……いい腕してるけどちゃんと扱えてるの?リーダーさん?」
「さっきからなんだお前!一人暮らしの息子に対するオカンかよ!」
「……はは、やっぱこうして話すのが一番楽しいや!」
「……ったく、好きにしろ。」
二人は笑いながらもお互いの風の剣をトドメの一撃として当てようとする。
「君にその剣が使いこなせるかな?」
「使いこなすんだよ……」
一は雷刀を投げて風の剣だけに力を注ぎ、相手目掛けて同時攻撃で技を放つ。
「「はァァァァァ!!!!」」
お互いの剣が当たると一瞬だけ虚無が生まれた。
「……やっぱり君は凄いや。」
砂のように消えてく身体を確認し、一は剣をしまう。
「……お前もな。」
一は無表情のまま、雷刀もしまい何事も無かったかのように祐四の皮が消えた宇宙人の顔面を殴り続ける。
アホそうな面を見るや一は心の奥底から溢れてきた怒りを露わにする。
「お前が!……俺の人生を!めちゃくちゃにして!」
脳裏に浮かんだ友の最期の瞬間。
「俺の友達を!」
脳裏に浮かんだまだ父親として見れた男の顔。
「俺の家族を!」
脳裏に浮かんだ彼女達の優しい声のかけ方。
「俺の仲間を!」
彼は殺意に満ち溢れるほど、目の前の男を憎む。
「そうか……全部俺のせいだもんな……」
「巻き込みやがって!!!」
憑依宇宙人と描かれた本を見つけるや、あっさりと燃やそうとする一。
「これさえなければ……俺は……」
「待て!それだけは!私を!お前は!」
「うるせぇ……都合の良い時だけ父親ヅラしやがって……お前なんか……」
そう言い放ち、燃やそうとした瞬間、走ってとめた。
「それでこいつがやった事は報われるのかよ!」
「何止めてやがる……増井。」
止めたのはライブから出た増井だった。
「俺さぁ思うんだけどさ……己の罪を死んだだけで許されるなら……誰だって簡単に死んで終わる。命なんて重いのに軽いように見えてるだろ?」
「……お前らしくない事を言うなぁ。」
「だから……こいつへの判決は……殺しよりも過酷なもんにするべきだと思う。」
そう言うと宇宙人の顔を一発殴り、増井は微笑む。
「お前の友達だけじゃねえ、俺の友達もこいつに巻き込まれたんだよ。」
「……お前も?」
「ったくカンが鈍いな……まぁいい、だからコイツを別の扱い方でとっちめてやろうぜ!ってな」
そう言うと増井の手により宇宙人は目隠しをされ、後ろからの当て身で気絶した。
「……!」
次に彼が目を開けた先は研究所内だった。目の前は緑色の液体で見えない、それどころか身動きが出来ない。
「へぇ……これが宇宙人?タコとかそういう感じの可愛らしいものを想像してたけど……案外つまんない。」
「まぁそう言うなよ……マッシュ研究長のおもちゃになるんだ、むしろ気の毒な扱いをしなくてはな……。」
「こいつ元は研究者なんだっけ?……研究者が研究の材料になるなんてな……これほどの皮肉はないだろ。」
そんな二人の会話を遮るように現れた男がいた。
「お疲れ様です!マッシュ会長!」
「……お、お疲れ様です!」
二人の顔を見るやニヤリと笑うマッシュ。
「下がれ。」
「「はっ!」」
二人はそそくさといなくなり、マッシュは実験の道具である彼の方をじっくりと見た。
「……実験対処931、粼零士や他多くの人間に化けていたとんでもない生命体ときた。」
「おい!お前!この俺に何をするつもりだ!」
「……」
マッシュはつまんなそうな顔をすると電力を上げ、彼を気絶させる。
「暗黒物質そのものにしてやってもいいが……それでは私の計画の価値にすらならん。気の毒だとも思わないが……オモチャとして最高に良いものにしてやろう。」
そう言うとマッシュは彼にガラス越しではあるが触れた。
「やってやりますねぇ!」
高音で高らかに笑い、マッシュは研究を開始する。
一方、その頃。大家さんのスナックにて。
「……ウチは本来、ガキのたまり場じゃないんだがね。」
「まぁいいじゃないか、ほら一……おつかれ。」
増井は何故か思いっきり自分の飲み物をゴクリと一気に飲み込んだ。
「あんたそれただのコーラだろ?」
「うるせぇそういう気分なんだよ!」
「ガキのくせに雰囲気で酔ってんじゃねえぞコルァ!」
大家さんと増井の会話はうるさいとしか思えなかった。
反対側の隣には猪原がお茶を飲んでいた。
「そういやお前が考えて呼んだんだっけ?その……マッシュとか言うやつ?」
「……まぁ、研究者なら宇宙人の材料ってだけで釣れるかなぁ思ってね。天ノ川さんの友達にいたから聞いてみた。」
「研究者じゃなくても大体のオカルト好きはそういうの興味持ってると思うぞ……」
「まぁ……そんなわけなので、奇跡的にあんなコネ持ってた天ノ川さんに感謝だな。」
「……あの人のコネか。ある意味、あの人なりのケジメが着いたってことでいいのかな。」
「……さあな。ほら、早く食べないと冷めちまうぜ。」
みんなはこの日の事を喜びながら飯に集中した。
後日、粼家にて。
「なんだよ、休日に呼び出して。」
「いいからいいから。」
「うちの学校は明日からテストなんだけど。」
「いいからいいから。」
二人を連れてやってきた先はどこにでもある家。
表札には『岩田』と書かれている。
「いやここ岩田の家じゃねえか。」
「なぁうちのメンバーってさ、力の増井に知恵の猪原……でできてるだろ?」
「まぁ……そうだな。」
増井は不思議と納得した。
「んじゃ足りないのは?」
「……え?そりゃ……兵とか?」
「確かに群れも大事だが……今までの戦いに合戦もなかっただろう。」
増井は再び考え始める。
「……岩田が意味を持つとすれば優しさとか」
「おいおい、優しさがないってなら俺らってなんなんだよ。」
「「え」」
二人は首を傾げる。
「え……?」
思わず一も首を傾げた。
「……アイツの本来の武器、忘れたとは言わせねえぞ。」
「……なるほどね。」
インターホンを鳴らし、出てきた岩田を確認するや一同は小中からの付き合いの二人は頷く。
「「こいつの武器は足だ」」
岩田は思いっきり首を傾げる。
そう……ここから、粼一、増井昌二、猪原陸遜……そして岩田虎太郎彼らの物語は本格的に始まる。そしてそれは多くの喜びと悲しみ、成長を得る少し変わった人生の中にある旅である。
つづく
お互いの刃が当たり続ける。
「やるな……」
「……」
二人の剣士はかつての記憶とは違うなんて思いながらも過去を思い出して笑う同級生との再会かのような空気感を生み出した。
「なぁ、お前もしかして……」
「なんのことかなぁ。僕は宇宙人だよ。」
「変装の割にはうますぎるくらいだなぁ……俺の勘が合っていたらきっとお前は……祐四本人だろ?」
そう言われると、祐四は鼻で笑った。
「……やっぱり君は凄いや。」
「……んなもん誰でもわかるわ。」
戦いの最中、二人は笑顔になっていった。
「実は!ある一言が!言えてなくてね!」
「へぇ!……それで成仏出来なかった!ってか!?」
「……はは、それに僕が死んだ時に少しくらい涙を流したって!良かったじゃないか!バ、バチは当たらないんじゃないのかい!?」
「はは……申し訳ないけど感情が死んでてね……」
「まったく!酷いなぁって思ったよ!」
剣に魂を込めて放つ姿は拳の殴り合いに近い。
「それに!君は……もう少し人に対して考え方を考えるべきだ!」
「……なんでお前にそれを言われなきゃいけねえんだよ!」
「周りの女の子だっていつか離れるかもしれないよ!」
「そ、それは……い、いやそんなんじゃねえし!」
「それに!君の友達……いい腕してるけどちゃんと扱えてるの?リーダーさん?」
「さっきからなんだお前!一人暮らしの息子に対するオカンかよ!」
「……はは、やっぱこうして話すのが一番楽しいや!」
「……ったく、好きにしろ。」
二人は笑いながらもお互いの風の剣をトドメの一撃として当てようとする。
「君にその剣が使いこなせるかな?」
「使いこなすんだよ……」
一は雷刀を投げて風の剣だけに力を注ぎ、相手目掛けて同時攻撃で技を放つ。
「「はァァァァァ!!!!」」
お互いの剣が当たると一瞬だけ虚無が生まれた。
「……やっぱり君は凄いや。」
砂のように消えてく身体を確認し、一は剣をしまう。
「……お前もな。」
一は無表情のまま、雷刀もしまい何事も無かったかのように祐四の皮が消えた宇宙人の顔面を殴り続ける。
アホそうな面を見るや一は心の奥底から溢れてきた怒りを露わにする。
「お前が!……俺の人生を!めちゃくちゃにして!」
脳裏に浮かんだ友の最期の瞬間。
「俺の友達を!」
脳裏に浮かんだまだ父親として見れた男の顔。
「俺の家族を!」
脳裏に浮かんだ彼女達の優しい声のかけ方。
「俺の仲間を!」
彼は殺意に満ち溢れるほど、目の前の男を憎む。
「そうか……全部俺のせいだもんな……」
「巻き込みやがって!!!」
憑依宇宙人と描かれた本を見つけるや、あっさりと燃やそうとする一。
「これさえなければ……俺は……」
「待て!それだけは!私を!お前は!」
「うるせぇ……都合の良い時だけ父親ヅラしやがって……お前なんか……」
そう言い放ち、燃やそうとした瞬間、走ってとめた。
「それでこいつがやった事は報われるのかよ!」
「何止めてやがる……増井。」
止めたのはライブから出た増井だった。
「俺さぁ思うんだけどさ……己の罪を死んだだけで許されるなら……誰だって簡単に死んで終わる。命なんて重いのに軽いように見えてるだろ?」
「……お前らしくない事を言うなぁ。」
「だから……こいつへの判決は……殺しよりも過酷なもんにするべきだと思う。」
そう言うと宇宙人の顔を一発殴り、増井は微笑む。
「お前の友達だけじゃねえ、俺の友達もこいつに巻き込まれたんだよ。」
「……お前も?」
「ったくカンが鈍いな……まぁいい、だからコイツを別の扱い方でとっちめてやろうぜ!ってな」
そう言うと増井の手により宇宙人は目隠しをされ、後ろからの当て身で気絶した。
「……!」
次に彼が目を開けた先は研究所内だった。目の前は緑色の液体で見えない、それどころか身動きが出来ない。
「へぇ……これが宇宙人?タコとかそういう感じの可愛らしいものを想像してたけど……案外つまんない。」
「まぁそう言うなよ……マッシュ研究長のおもちゃになるんだ、むしろ気の毒な扱いをしなくてはな……。」
「こいつ元は研究者なんだっけ?……研究者が研究の材料になるなんてな……これほどの皮肉はないだろ。」
そんな二人の会話を遮るように現れた男がいた。
「お疲れ様です!マッシュ会長!」
「……お、お疲れ様です!」
二人の顔を見るやニヤリと笑うマッシュ。
「下がれ。」
「「はっ!」」
二人はそそくさといなくなり、マッシュは実験の道具である彼の方をじっくりと見た。
「……実験対処931、粼零士や他多くの人間に化けていたとんでもない生命体ときた。」
「おい!お前!この俺に何をするつもりだ!」
「……」
マッシュはつまんなそうな顔をすると電力を上げ、彼を気絶させる。
「暗黒物質そのものにしてやってもいいが……それでは私の計画の価値にすらならん。気の毒だとも思わないが……オモチャとして最高に良いものにしてやろう。」
そう言うとマッシュは彼にガラス越しではあるが触れた。
「やってやりますねぇ!」
高音で高らかに笑い、マッシュは研究を開始する。
一方、その頃。大家さんのスナックにて。
「……ウチは本来、ガキのたまり場じゃないんだがね。」
「まぁいいじゃないか、ほら一……おつかれ。」
増井は何故か思いっきり自分の飲み物をゴクリと一気に飲み込んだ。
「あんたそれただのコーラだろ?」
「うるせぇそういう気分なんだよ!」
「ガキのくせに雰囲気で酔ってんじゃねえぞコルァ!」
大家さんと増井の会話はうるさいとしか思えなかった。
反対側の隣には猪原がお茶を飲んでいた。
「そういやお前が考えて呼んだんだっけ?その……マッシュとか言うやつ?」
「……まぁ、研究者なら宇宙人の材料ってだけで釣れるかなぁ思ってね。天ノ川さんの友達にいたから聞いてみた。」
「研究者じゃなくても大体のオカルト好きはそういうの興味持ってると思うぞ……」
「まぁ……そんなわけなので、奇跡的にあんなコネ持ってた天ノ川さんに感謝だな。」
「……あの人のコネか。ある意味、あの人なりのケジメが着いたってことでいいのかな。」
「……さあな。ほら、早く食べないと冷めちまうぜ。」
みんなはこの日の事を喜びながら飯に集中した。
後日、粼家にて。
「なんだよ、休日に呼び出して。」
「いいからいいから。」
「うちの学校は明日からテストなんだけど。」
「いいからいいから。」
二人を連れてやってきた先はどこにでもある家。
表札には『岩田』と書かれている。
「いやここ岩田の家じゃねえか。」
「なぁうちのメンバーってさ、力の増井に知恵の猪原……でできてるだろ?」
「まぁ……そうだな。」
増井は不思議と納得した。
「んじゃ足りないのは?」
「……え?そりゃ……兵とか?」
「確かに群れも大事だが……今までの戦いに合戦もなかっただろう。」
増井は再び考え始める。
「……岩田が意味を持つとすれば優しさとか」
「おいおい、優しさがないってなら俺らってなんなんだよ。」
「「え」」
二人は首を傾げる。
「え……?」
思わず一も首を傾げた。
「……アイツの本来の武器、忘れたとは言わせねえぞ。」
「……なるほどね。」
インターホンを鳴らし、出てきた岩田を確認するや一同は小中からの付き合いの二人は頷く。
「「こいつの武器は足だ」」
岩田は思いっきり首を傾げる。
そう……ここから、粼一、増井昌二、猪原陸遜……そして岩田虎太郎彼らの物語は本格的に始まる。そしてそれは多くの喜びと悲しみ、成長を得る少し変わった人生の中にある旅である。
つづく
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