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第26話 外道に正義の鉄槌を
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第26話 外道に正義の鉄槌を
あれから翌日。一人歩き、増井はただただ真っ直ぐに帰り道を歩いていた。
(同じ学校の一ですら、今日は忙しいなんて言って断られちまったからな、さすがに一人で帰るしかねえよな。)
そんな事を心の中で思っていると男女三人の子供達が大人数の大人相手に殴られてる現場を見た。
(あれは……許せん!)
「おい!何やってんだよ!ここで!」
「あ?なんだテメェ……」
「ガキの二人や三人……殴るくらいならよ、てめえにあったやつでも殴れ!」
思いっきり鉄拳を大人に与え、増井は相手から打撃を食らっても気にせず殴り続ける。
大人10人で子供三人を殴るなど考えられない。増井は余程の事情があったのだろうかと少し考えたが、やはりどんな理由があれ制裁を加えるにしてもこの人数は卑怯だ。
「……」
そんなことを考えていたら増井は全員を倒した。安心したのかそれと同時に近くの電信柱のとこに座って眠る。
血まみれの彼を助けようと道中に隠れていた子供たちは上手いこと協力しようとする。
「あの怪物さん、強かった!でも今度は私達が助けなきゃいけないよ!」
「と、とりあえず麗奈お姉ちゃんを呼ぼう!」
「僕が見てる!二人は麗奈お姉ちゃん呼んできて!」
「「わかった!」」
三人の子供達はそれぞれ、行動する。
「……」
次に目が覚めた場所は……見た事のない和室のような部屋。
「……ここは?」
部屋の周りにはぬいぐるみやラジコンカーが存在するも人の気配は感じない。
扉がゆっくりと開いた。
「……ったく、あの子たちは人助けって私の柄じゃないことなんでさせるかねぇ。」
女性の声だ。思わず顔をそちらに向ける。
「……起きたかい。」
「……ここは?」
「養護施設『はっぴー』……ってのは名前だけで政治家のおっさんはここの施設を見て『負け犬の箱庭』なんて呼び方をしているわ……。」
「……へぇ。」
増井は密かに拳を握りしめた。
「それもそうよ……ここにいる子供たちは罪人の息子娘に該当する子供が多いもの。ひとり親がやらかすと子供達はここに送還される。私もその一人。」
女は粼のところにいる彼女たちに比べて強気な性格の持ち主のようだが、身体は少し疲れからかボロボロだ。
「……苦労してきたようだな。あんた、名前は?」
「麗奈……白尾麗奈。」
「へぇ……見た目に反して綺麗な名前してんのな。」
その名前を聞いた途端、失礼な発言によって殴られながら増井はハッとした。
「白尾って……」
家にいる地縛霊が脳裏に過った。
「あの……最近発見された城の?娘さんで全滅したって話だったと思ってたんだが……」
「……ふぅん、詳しいのね。私の家はその城主の弟さんの末裔だったらしいわ。……あのクソ親父さえいなければ。」
「自分の親をそう言うもんじゃないぜ。」
「うるっさい!あんたに何がわかるの!」
麗奈の一言で一瞬にして空気は沈黙になった。
「ごめん……あっ、起きたなら荷物持って帰って。」
「わるい……助かったよ、ありがとう。」
「う、うるせぇ!黙って帰れ!」
荷物を自分の体に無理やり押され増井は強制的に追い出され始める。
「突然のツンデレが怖い!」
「は、はぁ?ツンデレ?あんたアニメの見過ぎなんじゃないの!?」
「……アニメの何が悪いんだよ!」
増井は押されながらも、自分なりに反抗しその場を出た。
それからまた翌日。
「……」
増井は願い事の紙をまだ何も書かずに残していた。
「……まだ考えてたのかい?」
一は何も言わずに近づいた。
「考えるさ。お前らと違って俺は願いだとかないしな。」
「……でも俺らの願いなんてそこまで悩むもんじゃない。それにお前が今叶えたいのってなんだ?」
「そうだなぁ……ヒーローになりたいだとかそういうのでもこないだの各末の進化で叶ったばっかだからなぁ。」
増井はそんなことを言いながらも頭に残ってるのは昨日の女のことばかりである。
「やっぱり……昨日の帰り道で何かあったろ。」
「はぁ?なんでお前そんな結論に……」
「いつもと少し違うな……ってな。恋愛してそうな色?つーかオーラというべきかそんな感じかな。」
「は、はぁ!?……俺は女っ気なしに生きていた男だぞ!だ、誰があんなおん……」
「……図星だな。」
一はそう言うと笑いながらその場を去る。
「お前、ラブコメ似合わなすぎだろ。でも願いないならその女……じゃねえや、誰かのために使えばいんじゃねーの?」
「う、うるせえ!」
増井は怒りながらもそんな一の背中をじっと見た。
「……誰かのために、ね。」
増井はふと麗奈が脳裏を過ぎるがその度に首を振った。
(……ははっ、あいつわかりやす。)
そんな増井を遠くから見ながら心の中で笑い出す一。
(まさか図星で当たるとは思わなかったが……悩んだまんまも困るだろうしさっきの会話がヒントになりゃいいが。)
一はそう思いながら近くにいたT達と一緒に遊ぶ。
その日の放課後。増井は一と猪原の三人で帰る。
「そういやこの間、ここら辺で大男が怪我して寝てたニュースとかあったよな。」
「あーそれ俺だ。」
「また君かよ!」
猪原は笑いながら増井にツッコミを入れる。
そんな会話をしていると増井は、はっぴーに向かう昨日の男達が仲間を連れてるのを見かける。
「……」
「行かなくていいのか?」
一は問う。
「...俺はガキ共がボコられてるのをたまたま助けただけだ..下手に首突っ込んだら面倒な事になるだろ。」
「……」
一と猪原は呆れた顔をした。
三人はそのまま帰った。
一方、その頃。
「兄貴!ここが例のガキどものとこっすよ!」
「……お前ら!この子達に手を出すな!」
兄貴と呼ばれた男は表情を変えずに麗奈を見つめる。
「可愛い顔して威勢がいいな……いい女だ。」
兄貴はそう言うと持っているハンマーを麗奈に向ける。
「なら……お前をしばこう。」
「来な……私一人の命でこの子達が守れるなら惜しくはない!」
麗奈は覚悟を決めようとしたが、やはり目をつぶって少しでも怖いと感じた。
「……くっ!」
目をつぶった瞬間、大きな音とともに何かが接近しているのを実感した。
目を開けると謎の鉄製の機械生命体が目の前にいた。
「……誰?」
「貴方の覚悟に私は敬意を評します。私の名前はます……テッド、貴女を守るものです。」
「……ほん……と……バカね。」
麗奈は安心したかのように気絶した。
「……君達は彼女を連れて部屋にいなさい。私は……ヒーロー活動を実行します。」
「「「わかった!」」」
数時間後、残っていたのは男達の哀れな姿らしい。
それからまた次の日。
「……あれから書けたのかい?」
「……おう。」
「なんて書いたの?」
「別に言わなくてもいいだろ。」
「そうだね……まぁ、なんとなく答えわかるし。」
増井は『あの子達が幸せな世界』と書いた紙をポケットに隠していつも通りの学生生活を楽しむことにした。
その放課後。
「……」
増井は一人で帰っていた。
(なんかこの光景、ついこの間味わった気が。)
そんなことを考えていると何かにぶつかった。
「「いってぇ」」
そこに女の声が聞こえた。そして下を向くやある女がいた事に気がついた。
そう、麗奈だ。
「……ったく、なんで周り見て歩けないの。」
「うるせえよ。」
2人はお互いに目を合わせる。
「……き、昨日はありがとう。あんなロボットみたいな見た目して助けてくれて。」
「俺がいつ正義のヒーローしてた?」
「……え?」
増井は笑い、その場を去った。
(アレで誤魔化してるつもりとか)
(あんな鉄鎧だけで俺だって言い切るとか)
((……ほんとバカだな。))
つづく
あれから翌日。一人歩き、増井はただただ真っ直ぐに帰り道を歩いていた。
(同じ学校の一ですら、今日は忙しいなんて言って断られちまったからな、さすがに一人で帰るしかねえよな。)
そんな事を心の中で思っていると男女三人の子供達が大人数の大人相手に殴られてる現場を見た。
(あれは……許せん!)
「おい!何やってんだよ!ここで!」
「あ?なんだテメェ……」
「ガキの二人や三人……殴るくらいならよ、てめえにあったやつでも殴れ!」
思いっきり鉄拳を大人に与え、増井は相手から打撃を食らっても気にせず殴り続ける。
大人10人で子供三人を殴るなど考えられない。増井は余程の事情があったのだろうかと少し考えたが、やはりどんな理由があれ制裁を加えるにしてもこの人数は卑怯だ。
「……」
そんなことを考えていたら増井は全員を倒した。安心したのかそれと同時に近くの電信柱のとこに座って眠る。
血まみれの彼を助けようと道中に隠れていた子供たちは上手いこと協力しようとする。
「あの怪物さん、強かった!でも今度は私達が助けなきゃいけないよ!」
「と、とりあえず麗奈お姉ちゃんを呼ぼう!」
「僕が見てる!二人は麗奈お姉ちゃん呼んできて!」
「「わかった!」」
三人の子供達はそれぞれ、行動する。
「……」
次に目が覚めた場所は……見た事のない和室のような部屋。
「……ここは?」
部屋の周りにはぬいぐるみやラジコンカーが存在するも人の気配は感じない。
扉がゆっくりと開いた。
「……ったく、あの子たちは人助けって私の柄じゃないことなんでさせるかねぇ。」
女性の声だ。思わず顔をそちらに向ける。
「……起きたかい。」
「……ここは?」
「養護施設『はっぴー』……ってのは名前だけで政治家のおっさんはここの施設を見て『負け犬の箱庭』なんて呼び方をしているわ……。」
「……へぇ。」
増井は密かに拳を握りしめた。
「それもそうよ……ここにいる子供たちは罪人の息子娘に該当する子供が多いもの。ひとり親がやらかすと子供達はここに送還される。私もその一人。」
女は粼のところにいる彼女たちに比べて強気な性格の持ち主のようだが、身体は少し疲れからかボロボロだ。
「……苦労してきたようだな。あんた、名前は?」
「麗奈……白尾麗奈。」
「へぇ……見た目に反して綺麗な名前してんのな。」
その名前を聞いた途端、失礼な発言によって殴られながら増井はハッとした。
「白尾って……」
家にいる地縛霊が脳裏に過った。
「あの……最近発見された城の?娘さんで全滅したって話だったと思ってたんだが……」
「……ふぅん、詳しいのね。私の家はその城主の弟さんの末裔だったらしいわ。……あのクソ親父さえいなければ。」
「自分の親をそう言うもんじゃないぜ。」
「うるっさい!あんたに何がわかるの!」
麗奈の一言で一瞬にして空気は沈黙になった。
「ごめん……あっ、起きたなら荷物持って帰って。」
「わるい……助かったよ、ありがとう。」
「う、うるせぇ!黙って帰れ!」
荷物を自分の体に無理やり押され増井は強制的に追い出され始める。
「突然のツンデレが怖い!」
「は、はぁ?ツンデレ?あんたアニメの見過ぎなんじゃないの!?」
「……アニメの何が悪いんだよ!」
増井は押されながらも、自分なりに反抗しその場を出た。
それからまた翌日。
「……」
増井は願い事の紙をまだ何も書かずに残していた。
「……まだ考えてたのかい?」
一は何も言わずに近づいた。
「考えるさ。お前らと違って俺は願いだとかないしな。」
「……でも俺らの願いなんてそこまで悩むもんじゃない。それにお前が今叶えたいのってなんだ?」
「そうだなぁ……ヒーローになりたいだとかそういうのでもこないだの各末の進化で叶ったばっかだからなぁ。」
増井はそんなことを言いながらも頭に残ってるのは昨日の女のことばかりである。
「やっぱり……昨日の帰り道で何かあったろ。」
「はぁ?なんでお前そんな結論に……」
「いつもと少し違うな……ってな。恋愛してそうな色?つーかオーラというべきかそんな感じかな。」
「は、はぁ!?……俺は女っ気なしに生きていた男だぞ!だ、誰があんなおん……」
「……図星だな。」
一はそう言うと笑いながらその場を去る。
「お前、ラブコメ似合わなすぎだろ。でも願いないならその女……じゃねえや、誰かのために使えばいんじゃねーの?」
「う、うるせえ!」
増井は怒りながらもそんな一の背中をじっと見た。
「……誰かのために、ね。」
増井はふと麗奈が脳裏を過ぎるがその度に首を振った。
(……ははっ、あいつわかりやす。)
そんな増井を遠くから見ながら心の中で笑い出す一。
(まさか図星で当たるとは思わなかったが……悩んだまんまも困るだろうしさっきの会話がヒントになりゃいいが。)
一はそう思いながら近くにいたT達と一緒に遊ぶ。
その日の放課後。増井は一と猪原の三人で帰る。
「そういやこの間、ここら辺で大男が怪我して寝てたニュースとかあったよな。」
「あーそれ俺だ。」
「また君かよ!」
猪原は笑いながら増井にツッコミを入れる。
そんな会話をしていると増井は、はっぴーに向かう昨日の男達が仲間を連れてるのを見かける。
「……」
「行かなくていいのか?」
一は問う。
「...俺はガキ共がボコられてるのをたまたま助けただけだ..下手に首突っ込んだら面倒な事になるだろ。」
「……」
一と猪原は呆れた顔をした。
三人はそのまま帰った。
一方、その頃。
「兄貴!ここが例のガキどものとこっすよ!」
「……お前ら!この子達に手を出すな!」
兄貴と呼ばれた男は表情を変えずに麗奈を見つめる。
「可愛い顔して威勢がいいな……いい女だ。」
兄貴はそう言うと持っているハンマーを麗奈に向ける。
「なら……お前をしばこう。」
「来な……私一人の命でこの子達が守れるなら惜しくはない!」
麗奈は覚悟を決めようとしたが、やはり目をつぶって少しでも怖いと感じた。
「……くっ!」
目をつぶった瞬間、大きな音とともに何かが接近しているのを実感した。
目を開けると謎の鉄製の機械生命体が目の前にいた。
「……誰?」
「貴方の覚悟に私は敬意を評します。私の名前はます……テッド、貴女を守るものです。」
「……ほん……と……バカね。」
麗奈は安心したかのように気絶した。
「……君達は彼女を連れて部屋にいなさい。私は……ヒーロー活動を実行します。」
「「「わかった!」」」
数時間後、残っていたのは男達の哀れな姿らしい。
それからまた次の日。
「……あれから書けたのかい?」
「……おう。」
「なんて書いたの?」
「別に言わなくてもいいだろ。」
「そうだね……まぁ、なんとなく答えわかるし。」
増井は『あの子達が幸せな世界』と書いた紙をポケットに隠していつも通りの学生生活を楽しむことにした。
その放課後。
「……」
増井は一人で帰っていた。
(なんかこの光景、ついこの間味わった気が。)
そんなことを考えていると何かにぶつかった。
「「いってぇ」」
そこに女の声が聞こえた。そして下を向くやある女がいた事に気がついた。
そう、麗奈だ。
「……ったく、なんで周り見て歩けないの。」
「うるせえよ。」
2人はお互いに目を合わせる。
「……き、昨日はありがとう。あんなロボットみたいな見た目して助けてくれて。」
「俺がいつ正義のヒーローしてた?」
「……え?」
増井は笑い、その場を去った。
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