レディ・クローンズ

蟹虎 夜光

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Say goodbye to the past

第22話 抜刀 それは神楽の如く

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 センキシ・装甲。あえて俺はそう名付けることにした。武将のような見た目をしたゴツゴツの鎧は装甲という名がピッタリだろう。
「ノーマルのセンキシはまるで物語の中で無敵そのものだった。けどそのセンキシは余裕というより勇敢さしか感じないねぇ。」
「本当にそうだろうか?」
 背中につけた大剣を振りかざし、余裕の表情を見せる。大剣から火が湧き上がり、それはまるでキャンプファイヤーのような感覚にさせてくれる。
「……爆炎」
 火が大きく燃え盛るのがはっきりと分かる。それどころかその火が鳥のように相手目掛けて大きく飛んでった。
「……炎鳥なんて名前はこの技に名付けるには少しダサいかな。」
 大剣を分裂させ、二刀流にする。
「分炎神楽の舞……」
 小さな火の玉を群れにして、剣の動きに合わせてコロコロと泳いでるような動き。これほど綺麗なものは無い。
「まさか……これほどまでの威力を上げるとは……」
「いや?俺は一切あげていない。これは彼女自身、そしてその子孫達……みんなの力そのものだ。薄っぺらいものに白黒つけてるだけのお前とは全く違うんだよ!」
 センキシの鎧は覚醒する。リマさんは何らかの過程で起きる可能性があると言っていた。
 恐らくそれは……今のような状態だろう。
「乱れ切り!」
 とにかくそれっぽい技名で僕は攻撃を繰り返す。

「……ここは」
 一方、その頃。小町は天界にいた。
「よく頑張ったな、今日まで。」
「あなたは……」
「忘れたとは言わせぬぞ。」
 彼女はその見た目、その声……全てを知った上で理解した。
「殿でござるな!」
「……待っておったぞ、お主の帰還を。」
 小町は泣きながら彼に抱きついた。
「千年以上経ったのう……この日を迎えるまで。」
「……」
「何も言わんでも良い。お主の存在を上で見て、満足したぞ。」
「……と、殿。」
「子はあれから……どうなったでござるか?」
「どうなったって……お主にもわかるだろう。なぜあの現代に我と同じ顔の男が生きておる。それに子孫だと思ったからあんな事最期に言ったんだろ……」
「やはりか……」
「歴史に名前を残す事は出来ぬが……この子がおるだけでも強いでは無いか……」
「……そうであるな。」
「福瀬市右衛門……これにて安心出来る。」
「久しぶりに殿の名前を聞いて懐かしさで涙が出ます……」
 小町は大きな瞳から涙を流した。千年もの間、出会えなかった……彼女達の物語はこれにて幕を閉じる。

「ぐはぁ!!!!!」
 刀で斬られ、牛雲はこれにて本当に倒れた。
「負けだ……もう……勝てない……」
「これからお前と同じクローンがいっぱい現れる可能性は?」
「ははっ……ないね。」
 牛雲はぶっ倒れた。俺はこれでついに勝利したのだろうか。薄い可能性とともに俺は現場へと向かった。
 約束していたあのイベントの会場に。

 本行事の最後を飾るのは男女混合のダンスである。俺も本来なら参加する予定だったのだが……。
「……」
 当然、約束の相手はいない。それどころか約束の時間になっても俺はただ突っ立ってるだけなのかもしれない。
「……殿!」
 違和感を感じたが……姿が見えた。
「殿……じゃねえよ!どう考えても違うだろ!」
「す、すまないでございますな……お主は殿じゃないですでござるな。」
「……?」
 声の主で何となくわかった。ファスタだ。恐らくだが何かしらの形できっと……彼女に頼まれたのだろう。
「……君も家臣ではないだろう。」
「バレておりましたか……。あはは……。」
「なんでバレないと思ったんだよ……」
「いっちゃんはなんか……その……女の子心とかわかんなそうだし!」
「う、うるせぇな!そんなの出来るなら俺ら男ってのは苦労しな」
「はーいそれ、言ったらだーめよー」
 我が校の行事であるこの踊りは星になった皆さんに現代の平和と将来に向けての願いを込める意味がある。小町は何を叶えたかったのだろう。なりきっているも涙を流すファスタもそれは分からないだろう。
「……あいつ、何を願いたかったんだろうな。」
「それは本人しか知らないわ……。」
「……なんだか、今まで嫌いだったはずの行事が不思議と好きになりそうだよ。」
「……もしかしたら、それが願いだったりするかもね。」
「ばーか、あいつがそんなロマンチックなこと考えるようなやつじゃねえだろ。」
「あーもう、いっちゃんサイテー!」
 あの戦いの後になると嫌だった行事がなんでだろう。不思議と楽しく思えてきた。

 翌日。クラスの先生の報告では小町は行方不明により、結論として失踪した事にされた。あのダンスの時とかどうなんだよとか俺に言われてもはっきり言えば非現実的な事が起きすぎて、謎が多すぎるのである。ただはっきりと言えるのは彼女は俺の目の前でこの世を去った。そして何より彼女は我々の先祖であったということである。
 学校を終えて、コンビニに寄り、いつも通りホプスへの今月分の返済をして今日の3/4がこうして終わる。
 この街の新聞には昨日の事は書いておらず、野球選手が速い球を投げただとか犯人が逮捕されたとかそんな話題しか上がっていない。つまり魔法少女の行動は何をしようが何が起きようが隠蔽されるから気にしないでね!という訳である。
 うむ、実にカオスそのものだ。

 一方、アラタカとホプス。
「今回の件を確認したけれども、まぁ隠蔽はしたわ。」
「ありがとうございます……ですが、一つここで問題が……」
「何かしら?」
「サドと決着をつけようと思っておりまして……」
「面白い企画ね、いつやるとか決まってはいるのかしら。」
「明日からです。ここでサドを潰さなければ……私はおそらく……彼奴と共に消滅するでしょう。」
「何はともあれ……それはまずいわね。」
「はい……なので私はここで一つケリをつけたいと思います。」
 サドとホプス。この二人はお互いの身体に問題があり、どちらか決着が着いた際にはどちらかが、寿命まで生き残れるが決着が着かなければどちらも滅ぶ運命なのである。
「それではお気を付けて……と言いたいけれど一つだけ頼みがあるわ。」
「えぇ……なんでしょうか。」
「やるなら勝ちなさい……勝たなければ……勝たなければ……」
 アラタカは貯めながらこう言った。
「泣くわよ。」
「……そこはもう少し違う事を。……いえ、それだけでも勇気が出ましたよ。むしろわざと負けて泣いてる可愛いアラタカ様を拝めたいくらいに。」
 笑いながらもホプスはその場を去ろうとする。
 それからしばらくして体が砂になって溶けているのに気づき、ホプスはその時悟った。
(決着をつける時が来たぞ……サド。)

 一方、その頃。校長室にて。
「いやぁこの間の件は誠に残念でしたね……。」
「……残念かどうかなんてそこで判断されて欲しくない。それどころか次に繋げる可能性でもある。私はね、ある可能性を信じる気持ちがあれば寄り良い企画が誕生する。そういうもんじゃないですかね?」
「確かに一理ありますなぁ。やっぱ偉いお方は偉くなけりゃ落ちぶれていくだけですな。」
 などと……そんな会話をしながらサドは砂となって散っていく自分の腕を見つめ、脳裏にホプスが過った。
「さてと……決着をつける時だろうか。そうだろう?ホプス」
 サドは絶対に倒してやるという熱意を身体の力という力に入れながらドスドスと足を運び始めた。
 悲しいという意味を自分の名前に入れたサド。願いだとか希望だとかそういう煌めいた意味合いを持つホプス。
 彼らの対立が幕を開ける。
「「勝つのは私だ!」」

 つづく。
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