病弱モブは推しのサポキャラを助ける為に、お金も積むし、ゲームのシナリオも改変します

あやまみりぃ

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危機的状況〈シルバリウス視点〉

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 本日も鍛錬を兼ねた地下30階ボス部屋にリューイと二人で挑む。
 それにしても、リューイは凄い。
 体力がないというハンデがあるものの、あの発想力と集中力、そして魔力を使うのがとても上手い。
 リューイが補助媒体を改造する度に楽しそうにスチュアートに報告している様はとても微笑ましいのだが、あのスチュアートの顔がわずかに引きつっている事に気がついていないのだろうか。
 説明に夢中になっているから気が付いていないのかもしれないが、よく小声で”ありえない”とか呟いているのだが。
 私は魔法はからっきしで、補助媒体についてよく知らないが、取り敢えずリューイが凄いらしいという事はそのスチュアートの反応から分かった。
 遠距離攻撃に特化している為、近接戦になったら弱いだろうが、その集中力と冷静な判断で撃ち漏らす事もなく、そもそも敵をまず近付けさせないのだ。
 だから、常に視界の端にリューイを入れるようにはしているものの、そこまで心配はしておらず、自分の技を磨くことに励めている。
 そんなリューイに、”最近「時」属性っぽい魔力が集まるのが頻繁になっている”と言われたように、確かにたまに体の奥からグッと湧き上がるものがあって、自分でも何か掴めそうな気がするのだ。
 ボス戦も今迄の魔物がランダムに排出されるからか、まだパターン化しているようには感じられず、実戦に近い形で鍛錬が出来ているのも良いのだろう。
 
 初めてこのボス戦に挑んだ時はいざとなったら、リューイを連れて離脱しようと思っていた。
 疲れていたのもあるし、有料のダンジョン情報によると、出現魔物数は100体~300体前後で、推奨パーティ人数が10人だったからである。
 そんな探り探りの中でも、リューイは疲れた顔を見せつつも、冷静な判断で魔物を屠っていき無事にクリア出来た。
 何度かリューイの横を魔物が通り過ぎる場面を見た時にはひやっとしたが、2回目以降のボス戦では補助媒体を1つ増やしたからか、またリューイの半径5メートル以内に近付く魔物は居なくなった。

 そして、今日もボス戦。
 今までも地下20階で2度程あったが、今日は何処かのパーティが私達の戦闘を見ているようだ。
 地下30階では初めてである。
 見学者達が私達の戦闘の途中からやってきたのもあるのだろうが、リューイは気付いていないのか気にする様子もなく、いつもの調子だ。
 そして、あとこれでラストの排出かなと思った所で、大量の魔物が出てきた。
 その中でも一際大きいメガバードが奥から強風を引き起こす。軽いリューイは吹き飛ばされないかと心配で目線をやるがフードが外れただけのようで良かった。
 メガバードはその名の通り、とても大きな鳥で竜巻を引き起こすのだが、竜巻を引き起こす前にリューイが素早く屠った。
 流石である。
 暇があれば魔物図鑑を眺めているからか、今回初見でもすぐに対応出来たようだ。
 ……以前そんなに何度もみて飽きないか? と聞いた所、”オタクだからね。全然飽きないよ”と笑って言っていた。
 “オタク”が何か分からないが楽しそうだったので、聞き返しはしなかった。

 そんな順調だった戦闘に横槍が入る。
「リューイ!?」
 聞いたことない、でも無視するには大きい声だった。
 当然、リューイも聞こえたようで、何処から聞こえたのか見回している。神殿っぽいボス部屋では声が反響して何処からか分からなかったのだろう。
 ただ、今は最後の排出が終わったばかりの戦闘中だ。
 リューイのペースが崩れてしまったようで補助媒体の片方が魔物の攻撃で弾き飛ばされる。
 片方で迎撃しているが、種類別の魔物の数が多く、しかもリューイの死角からリューイを狙っている魔物が見えた。
 
 リューイが危ない!
 
「リューイ!!!!」
 
 私自身大型魔物を相手にする為に離れてしまった為、リューイとの距離は約20メートル、魔物はもう飛びかかる寸前でこのままだと間に合わない。
 経験則から頭の片隅ではそんな冷静な判断が出てしまうが、心は別だ。
 絶対失くしたくない。
 間にあわないと分かっていても、それでも何がなんでも間に合えと必死に走る。
 
 突然世界が遅くなる。魔物の動きがほぼ止まっているように見えるのだ。
 これ幸いとばかり、進路上にいる魔物は全て斬り伏せ、リューイの元へ走り、リューイの近くの魔物を全て屠ると、頭の中で”カチッ”と音がして、世界が戻った。
「へ?」
 と驚いた声を出したものの、残りの魔物をリューイが全部撃ち落とし、ボス戦は終わった。
 私はリューイを抱きしめる。
「失うかと思った。怖かった」
「ごめんごめん。ちょっと油断した。天狗になってたかも。気をつけるね」
「ああ」
 心臓がバクバク言っている。
 “リューイを失うかもしれない”
 それがこんなにも恐ろしい事なんて、以前よりも怖さが増した気がした。

 リューイが私の背中をぽんぽんと落ち着かせるように軽く叩く。
 そして嬉しそうに言った。
「ヴィー! 発動出来たね! ゲームで見た時以上にめっちゃ凄いよ! あとはこれをものに出来るようにするだけだね! いやぁーマジ凄いわ。
 ってか強すぎでしょう。危機的状況で発動するってのも流石メインストーリーの最後までいるサブキャラだけあるわー」
 
 リューイの言葉はあまり頭に入って来なかったが、守れた事だけは分かった。
 確かに自分の能力が発動しなければ危なかった。
 今後こんな事が無いように、使いこなせるようにする事を強く心に誓った。

「取り敢えず、魔石回収しようか。今回過去最大数の魔石数じゃない? あ、短剣とかもドロップしてるみたい、短剣はゴーレム拾わないから俺達で取りに行かないと」
 リューイはそう言って持っていた補助媒体を腰のホルスターに差し込み弾き飛ばされた補助媒体も回収すると、ゴーレムを魔法収納鞄から取り出し、起動させた。

 ようやく私も落ち着いて、取り敢えず次の挑戦者か待っている人も居るようだからと、リューイから離れて魔石回収に努めた。
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