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長い眠りの後
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――パチリ
白い天井はいつもの自室。
体がすごく重くて動かせない。
長く眠っていたのかな。
スチュアートに言って魔力吸収させてもらうか。
……ん?
魔力枯渇症治ったんじゃなかったっけ?
あれ?
左手に温もりがありそちらの方に視線を向けると、シルバリウスがこちらを見ていた。
びっくりしたものの、シルバリウスの目は暗く、こちらを見ているのに見ていないようだった。
……え?
闇落ち?
なんで??
シルバリウスの闇落ち疑惑で少しずつ意識がはっきりしてくると共に、始まりのスタンピートでバジリスクが出た事を思い出した。
そして、魔力を使いすぎたのも思い出す。
この怠さはもしかして……。
「ヴィー」
かすれる声でシルバリウスを呼ぶと、ハッとしたように目が合う。
「リューイ! 大丈夫か? どこか痛いところはないか?」
シルバリウスがすぐにコップに水を入れ、俺の体をそっと抱き起こし、少しずつ水を飲ませてくれる。
「……えと、体が重いんだけどもしかして再発」
「してない。再発はしてないから大丈夫だ」
喉の違和感がなくなり、一番気になっていた事を確認すれば、被せるように返事が来た。
「良かったぁ」
流石に再発していたら、もう立ち直れない気しかしない。
安堵していたら、シルバリウスがそっと額や鼻、頬や目尻など、至る所にバードキスの嵐。
……ど、どうしたんでしょう?
「ヴィー?」
「……失うかと思った」
ぼそっとシルバリウスらしくなく弱々しく言う。
そんなに心配させていたのかと、悪いなと思う気持ちはあるものの、あのシルバリウスが心配してくれたという嬉しさで微笑んでしまう。
「ありがとう。ヴィー。心配させてごめんね」
「……置いていくな」
「それはこっちのセリフだよ! 何があっても置いていかないでね。所で俺は何日寝ていたの?」
体の重さから、1日や2日では無いだろうなと思っていた。
「1ヶ月とちょっとだ」
「……えっ!!? マジ!!?」
「? ああ」
そりゃ、シルバリウスが心配するのも分かるわ。
1週間位寝込んじゃったかなと思ったら一ヶ月もとは……。
心配されて嬉しいとか、なんかごめん。
「ご、ごめんね。今度はもうちょっと早く起きるから」
「いいや。……今度は起こらないようにしてくれ」
「そ、そ、そうだよね。魔力一割切らないように気をつけるね」
闇落ち気味のシルバリウスがちょっぴり怖い。
確かに頬は痩けてるし、明らかにやつれている。
体が重いなんて言っていられず、シルバリウスの体をこちらに寄せて抱きしめる。
シルバリウスは着痩せするタイプではあるものの、ガタイが良いので後ろまで俺の手が回らないのが残念だ。
それでも、シルバリウスの背中をぽんぽん撫でながら、耳元で好きだの一緒にいるだの離れないなど言っていたらシルバリウスもギュッと抱き返してくれて、俺の肩に顔を埋める。
いつもとは逆パターン!
何これ!
めっちゃ可愛いですけど!
胸がキュンキュンする。
いつも頼れるシルバリウスが甘えてくれるなんて可愛いすぎる!
鼻血出てないよね?
暫くそうしていた後、顔を上げたシルバリウスはちょっと闇落ち前に戻っていた。
――コンコン
スチュアートが、入って来た。
サスケが知らせたのか、スチュアートが察したのかどちらかは分からないが、ちゃんと空気を読んで入ってくる所が流石である。
スチュアートに”魔力一割切らないようにと言いましたよね?”と言う小言から始まり、スタンピートでの怪我人は発生したものの死亡した者はいない事、魔物の死体も近隣の村人の手を借りて、素材は取れるだけ取って不要な部分は燃やし片付けは終わっている事、エドガーが混成部隊にリューイの戦闘力は黙っているように片っ端から脅しつけている事、既に半分はそれぞれの領地に帰り、半分は残党の警戒と、ダンジョンの探索チームに切り替わった事など伝えられた。
因みに、バジリスクはエドガーとダンジョンゴールドカードの持ち主であるダンジョン攻略者シルバリウスの二人がメインで共闘した事になっている。
リューイの足止めがあったからこそだし、なんならエドガーの魔法はあまりバジリスクに関しては使い物になっていないが、今後の事を加味して少し改竄したそう。
実際バジリスク戦に関しては皆恐慌状態な事もあり、最初の一撃も氷魔法である事に気付いた者も少なく、足止めも最後まで巻きついていたイバラ等派手な方が印象に残っていたらしいし、リューイも別に目立ちたいわけではないので特に問題ない。
そして、一番気になっていた問題。
スタンピートが起きたのは5/2だったが1ヶ月とちょっと経っていると言うことは
「スチュアート、ローワン王国で勇者召喚が行われたかどうか確認してくれる?」
スチュアートが驚いたような顔をするもそのまま答える。
「3日前に召喚されたという噂は流れています。詳細についてサスケに確認させますね」
「そか……。よろしく」
スチュアートが”ゆっくり休むように”と言うと部屋を退出していった。
スタンピートの被害はほぼ無いに等しいし、結局半日で終わった。
それなのにゲームの予定通り勇者召喚は行われた。
被害も出ていないのに。
被害が出ていなければ危機感を募らす事もなく勇者召喚も行われないのではと思ったが、予想は外れたようだ。
これがゲームの強制力なのだろうか。
それならば、ゲームの重要人物であり、必須パーティメンバーであるシルバリウスはどうなってしまうのだろう?
不安が過ぎる中、不安そうな俺の表情に気が付いたのか、シルバリウスが俺の頭を撫でる。
覚醒後、一気に頭を使ったからか、眠くなり気付いたらまた寝ていた。
白い天井はいつもの自室。
体がすごく重くて動かせない。
長く眠っていたのかな。
スチュアートに言って魔力吸収させてもらうか。
……ん?
魔力枯渇症治ったんじゃなかったっけ?
あれ?
左手に温もりがありそちらの方に視線を向けると、シルバリウスがこちらを見ていた。
びっくりしたものの、シルバリウスの目は暗く、こちらを見ているのに見ていないようだった。
……え?
闇落ち?
なんで??
シルバリウスの闇落ち疑惑で少しずつ意識がはっきりしてくると共に、始まりのスタンピートでバジリスクが出た事を思い出した。
そして、魔力を使いすぎたのも思い出す。
この怠さはもしかして……。
「ヴィー」
かすれる声でシルバリウスを呼ぶと、ハッとしたように目が合う。
「リューイ! 大丈夫か? どこか痛いところはないか?」
シルバリウスがすぐにコップに水を入れ、俺の体をそっと抱き起こし、少しずつ水を飲ませてくれる。
「……えと、体が重いんだけどもしかして再発」
「してない。再発はしてないから大丈夫だ」
喉の違和感がなくなり、一番気になっていた事を確認すれば、被せるように返事が来た。
「良かったぁ」
流石に再発していたら、もう立ち直れない気しかしない。
安堵していたら、シルバリウスがそっと額や鼻、頬や目尻など、至る所にバードキスの嵐。
……ど、どうしたんでしょう?
「ヴィー?」
「……失うかと思った」
ぼそっとシルバリウスらしくなく弱々しく言う。
そんなに心配させていたのかと、悪いなと思う気持ちはあるものの、あのシルバリウスが心配してくれたという嬉しさで微笑んでしまう。
「ありがとう。ヴィー。心配させてごめんね」
「……置いていくな」
「それはこっちのセリフだよ! 何があっても置いていかないでね。所で俺は何日寝ていたの?」
体の重さから、1日や2日では無いだろうなと思っていた。
「1ヶ月とちょっとだ」
「……えっ!!? マジ!!?」
「? ああ」
そりゃ、シルバリウスが心配するのも分かるわ。
1週間位寝込んじゃったかなと思ったら一ヶ月もとは……。
心配されて嬉しいとか、なんかごめん。
「ご、ごめんね。今度はもうちょっと早く起きるから」
「いいや。……今度は起こらないようにしてくれ」
「そ、そ、そうだよね。魔力一割切らないように気をつけるね」
闇落ち気味のシルバリウスがちょっぴり怖い。
確かに頬は痩けてるし、明らかにやつれている。
体が重いなんて言っていられず、シルバリウスの体をこちらに寄せて抱きしめる。
シルバリウスは着痩せするタイプではあるものの、ガタイが良いので後ろまで俺の手が回らないのが残念だ。
それでも、シルバリウスの背中をぽんぽん撫でながら、耳元で好きだの一緒にいるだの離れないなど言っていたらシルバリウスもギュッと抱き返してくれて、俺の肩に顔を埋める。
いつもとは逆パターン!
何これ!
めっちゃ可愛いですけど!
胸がキュンキュンする。
いつも頼れるシルバリウスが甘えてくれるなんて可愛いすぎる!
鼻血出てないよね?
暫くそうしていた後、顔を上げたシルバリウスはちょっと闇落ち前に戻っていた。
――コンコン
スチュアートが、入って来た。
サスケが知らせたのか、スチュアートが察したのかどちらかは分からないが、ちゃんと空気を読んで入ってくる所が流石である。
スチュアートに”魔力一割切らないようにと言いましたよね?”と言う小言から始まり、スタンピートでの怪我人は発生したものの死亡した者はいない事、魔物の死体も近隣の村人の手を借りて、素材は取れるだけ取って不要な部分は燃やし片付けは終わっている事、エドガーが混成部隊にリューイの戦闘力は黙っているように片っ端から脅しつけている事、既に半分はそれぞれの領地に帰り、半分は残党の警戒と、ダンジョンの探索チームに切り替わった事など伝えられた。
因みに、バジリスクはエドガーとダンジョンゴールドカードの持ち主であるダンジョン攻略者シルバリウスの二人がメインで共闘した事になっている。
リューイの足止めがあったからこそだし、なんならエドガーの魔法はあまりバジリスクに関しては使い物になっていないが、今後の事を加味して少し改竄したそう。
実際バジリスク戦に関しては皆恐慌状態な事もあり、最初の一撃も氷魔法である事に気付いた者も少なく、足止めも最後まで巻きついていたイバラ等派手な方が印象に残っていたらしいし、リューイも別に目立ちたいわけではないので特に問題ない。
そして、一番気になっていた問題。
スタンピートが起きたのは5/2だったが1ヶ月とちょっと経っていると言うことは
「スチュアート、ローワン王国で勇者召喚が行われたかどうか確認してくれる?」
スチュアートが驚いたような顔をするもそのまま答える。
「3日前に召喚されたという噂は流れています。詳細についてサスケに確認させますね」
「そか……。よろしく」
スチュアートが”ゆっくり休むように”と言うと部屋を退出していった。
スタンピートの被害はほぼ無いに等しいし、結局半日で終わった。
それなのにゲームの予定通り勇者召喚は行われた。
被害も出ていないのに。
被害が出ていなければ危機感を募らす事もなく勇者召喚も行われないのではと思ったが、予想は外れたようだ。
これがゲームの強制力なのだろうか。
それならば、ゲームの重要人物であり、必須パーティメンバーであるシルバリウスはどうなってしまうのだろう?
不安が過ぎる中、不安そうな俺の表情に気が付いたのか、シルバリウスが俺の頭を撫でる。
覚醒後、一気に頭を使ったからか、眠くなり気付いたらまた寝ていた。
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