セピア色の秘め事

樹木緑

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第15話 社交界の裏

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陽向の事についてこんなに怒りをあらわにする光を見ると、
本当に陽向の事を愛しているんだなと言う事が手に取るようにわかる。

「ごめん、盗み聞きするつもりはなかったんだけど……」

少し遠慮がちにそう言うと、

「いや、見苦しいところを見せてしまったな」

と逆に謝られてしまった。

「散々な言い方だったよね……」

「いつもの事さ……

あのたぬき親父、俺たちに会うたびに同じ事を繰り返して、
陽向が居ようが居まいがお構い無しなんだ。

一度殺してやりたいくらいだ」

そう言って声を震わせた。

普段、陽向の後ろで守護霊のように
陽向を見守る光の姿からはそんな強い怒りは想像できず、
僕があっけに取られてみてると、

「あ、再度すまない」

と、また済まなさそうに謝られた。

「ううん、僕、スッキリしたよ!

光凄いね、大人な対応で!

僕、腸が煮え繰り返って、煮え繰り返って、
もう少してあのオジサンのこと殴るとこだったよ!」

僕がそう言うと、光は泣きそうな顔をして
ハハハと笑った後、

「そう言えば陽向は?」

そう言ってキョロキョロし始めた。

「陽向だったらテラスに行ったよ。
外の空気を吸いたいって……」

僕がそう言うと、
光はテラスの方を見て、

「アイツ、俺たちが話してるのを見たんだな……」

と何もかもわかっている様な口振りだった。

「うん、ゴメンね。
何だか様子が変だったからさ、
ちょっと一人にしてあげようと思ったんだけど……

そう言うことだったんだね。

こういう事って頻繁にあるの?」

そう尋ねた後、ハッと思って

「ごめん、プライベートな場問題なのに不躾な質問だったね。

気を悪くしたらゴメン」

そう言い直したけど、

「いや、構わないよ。

それよりもアイツの事気にしてくれて有り難う。

こう言った場に来ると、
アイツの風当たりは未だに結構キツイんだよ」

と、陽向は結構肩身の狭い思いをしている様なセリフが飛んできた。

「でもさ、俺が離してやれないんだよ。

最初は好きってだけで何も考えずに結婚したけど、
今では後悔している」

「えっ? 後悔してるって……」

「あ~ ごめん、俺の言い方が悪かったな。

多分、サムが思ってるのとは違うよ。

そう言った意味の後悔ではなくて、
結婚する前に、もっと準備させてあげれば良かったって意味でさ……

もっと、家の事や、
周りの事、俺たちが結婚すると言う事の意味、
結婚すれば何処までもついてくるという柵をさ……

突然、なんの前触れもなくやって来た苦境でも、
アイツは良くやってくれてるよ……」

僕もテラスの方に目をやって、

「そうみたいだよね。

健気だよね……

僕、陽向がこう言った状況に置かれてるって知らなかったから、
全然陽向には気を使ってやれなくて……

自分の事だけで精いっぱいで……
僕は陽向の気使いに凄く救われたって部分もあるのに……

今日も着いてあまりにも豪華さに尻込みして早々帰ろうと思ったけど、
陽向がフォローしてくれて……」

「ハハハ、まあ、この顔ぶれにこの会場を見ればな……

初めてのヤツは誰でも怖気付くよ」

「でも、君の家のコネクションって凄いんだね……」

「あ……、あ~ まあ、父方の家計が政治家や芸能界に繋がりが有るんだよ。

それにこれだけデカい財閥になると、
政治家とは切っても切れない関係もあるしな。

海外との取引も多いし……」

「そうみたいだよね……」

そう言って僕は又周りを見回した。

本当にサミットか?見間違うほどの顔ぶれだ。
ボディーガードもチラホラと見える。

「最近ではさ……」

と来た光のセリフに彼の顔を見上げた。

「裏の話なんだが、アメリカの有名な科学者の政府を丸め込んだ
秘密裏な研究に日本の政府も介入するかもしれない様な噂まで流れてきてて……

ま、サムには関係ない事だろうけど、
秘密裏な研究って……世の中どうなってるんだろうな。

少し前には少し怪しいバイオ関係のパンデミックもあったばっかりだしな……」

それを聞いて僕はドキッとした。

“アメリカの有名な科学者の秘密裏な研究?って僕の事?!
もうそこまでうわさが広まってるの?!

どうして?!”

「あ、あのさ、秘密裏な研究って何処まで聞いてるの?

それってどれくらい正確な情報なの?」

「ん? サム、何かその事について聞いた事あるのか?」

誤魔化そうとしても僕は直ぐ顔に出るみたいだ。

「いや、秘密裏ってどんなのだろうって……

スパイ映画みたいなものなのかな?……って……

きっとただの噂だよ……」

ドギマギとしてそう言うと、光は僕の焦りを見抜いたのか、
少し間をおいて、

「ま、そうだよな。

そんなスパイ映画みたいな事がそうそうあっても困るしな」

と言うと、明らかに様子が変わった僕の肩をポンと叩いて、

「お、仁もあそこに居るみたいだし、
アイツも引っ張って陽向のところに行こう!

アイツも大概家の娘を嫁に~ってな感じでヤられてるはずだから」

と明るく僕に向かってそう言うと、仁に向かって歩き出した。
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