セピア色の秘め事

樹木緑

文字の大きさ
20 / 52

第20話 会った事のない好きな人

しおりを挟む
「え~!!

一体、何がどうなって会った事も無い人好きになっちゃの?!

それってちょっと無謀じゃない?

どんな人かも分からないんだよね?

変な人だったらどうするの?!

犯罪者かもしれないし!」

そう言って陽向は驚いた。

でも仁は陽向とは逆で、

「まあ、今ではオンライン・デートなんかもあるくらいだし……

もういい大人だから、
犯罪云々は自己責任だろ?

それに俺の知り合いにはオンラインで知り合ったけど、
遠恋で会った事も無い人と付き合ってるって言うのもあるぞ?

だからそう言う事もあるんじゃないか?」

と僕の意見に同意を見せてくれた。

でも陽向は根っからの現実主義者のようで、

「え~ 僕、携帯もタブレットもPCも持ってなかったんですけど~

オンライン・デートって言われても、
ピンとこないよ!

全然会った事無いんだよね?

僕、そんな人、好きになれるかなぁ~?

現実味が無いよね~」

てな具合で、今どきディバイスも持ってない方が、
僕にとってはびっくりだ。

僕が目をパチクリして陽向を見ていると、

「それで、それで?!

一体どういう過程で会った事も無い人好きになったの?!」

と、今度は逆にワクワクとしたようにして僕に尋ねてきた。

「いや、大した話ではないんだけどさ~

昔、まだ僕が生まれる前の話なんだけど、
僕のお祖母ちゃんの家族の隣に住んでいた日本人の家族がいて、
僕の家族と家族ぐるみでとても仲良くしていたんだ。

特に僕のお祖母ちゃんはその家族の娘に可愛がられて……

僕も彼女とは数えるほどしか会った事は無いんだけど、
彼女の名前はなんて言ったかなぁ~

もうずいぶん前の事だったし、
僕も小さかったから覚えて無いんだけど、
彼女らの家族が日本に引っ越してからも、
彼女はお祖母ちゃんの所を良く尋ねてきてくれてね。

それは歳を取っても……

僕にも随分良くしてくれて……

その時彼女の甥達だって一杯写真を見せてくれて……
彼らの事を一杯話してくれて……

丁度君たちみたいに仲の良さそうな……

兄弟だったのかな?

二人の男の子が桜の木下で腕を組んで……

名前も “ジュン” としか……

もう一人の名前は忘れちゃった……

彼女、二人のことを一杯話してくれたんだけど、
何故かジュンの事が気になって、気になって……

別に目立つとか、そう言った事はなかったんだよ?

二人ともまだ小さかったし……

でもいつに間にか歳を取ったジュンを色々と妄想してみたりとか……

僕はジュンのことを聞くたびにどんどん会いたいって思うようになって、
気付いたら好きになってて、
彼女のところに遊びに行こうと思ったんだ!

ジュンに会わせてくれるって言ったから……

でも実際に会う前に彼女亡くなちゃって……
その話はオジャンになっちゃって……

結局は一度も会えないままここまで来てしまったけど、
僕の思いは不思議と消えなくて……

そんなだったから余計になのかな?

彼に会いたくて、会いたくて……

日本へ行きたい思いだけが膨らんで
ずっと、ずっとこのチャンスを待ってたんだ。

それでやっと日本に来る事ができたけど、
どうやって彼を探したら良いか分からなくて……

そんな時に君たちと出会ったんだ。

だから彼を探し出す手助けをして欲しいと思って。
それが相談したかった事なんだ」

そう説明して僕は俯いた。

彼らが僕の話をどう思ったのか知るのが怖かった。

「う~ん、でもそれって探すのを手伝うだけで、
佐々木君を好きだって嘘をつく必要はないよね?」

そう言って陽向は首を傾げた。

確かに陽向の言うとおりだ。

でも僕には……

「うん、ごめん、そっちの事は詳しく話せないけど、
僕アメリカで色々とあって、
今直ぐにでもお付き合いしている人のいる状況が必要になったんだ。
婚約してればさらに良いと言う……

本当はジュンを見つけて徐々にって思ってたけど、
訳は言えないけど、一刻を争うような状況になっちゃったから……

君たちには悪いことをしたと思ってる……」

「はは~ん、そんな所に僕たちが登場したんだね!

上手くいけば恋人のふりをしてもらえるかもってオチ?」

そう陽向に言われ、

「巻き込んでしまって申し訳ない……」

そう言って僕は小さく頷いた。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

流れる星、どうかお願い

ハル
BL
羽水 結弦(うすい ゆずる) オメガで高校中退の彼は国内の財閥の一つ、羽水本家の次男、羽水要と番になって約8年 高層マンションに住み、気兼ねなくスーパーで買い物をして好きな料理を食べられる。同じ性の人からすれば恵まれた生活をしている彼 そんな彼が夜、空を眺めて流れ星に祈る願いはただ一つ ”要が幸せになりますように” オメガバースの世界を舞台にしたアルファ×オメガ 王道な関係の二人が織りなすラブストーリーをお楽しみに! 一応、更新していきますが、修正が入ることは多いので ちょっと読みづらくなったら申し訳ないですが お付き合いください!

天啓によると殿下の婚約者ではなくなります

ふゆきまゆ
BL
この国に生きる者は必ず受けなければいけない「天啓の儀」。それはその者が未来で最も大きく人生が動く時を見せる。 フィルニース国の貴族令息、アレンシカ・リリーベルは天啓の儀で未来を見た。きっと殿下との結婚式が映されると信じて。しかし悲しくも映ったのは殿下から婚約破棄される未来だった。腕の中に別の人を抱きながら。自分には冷たい殿下がそんなに愛している人ならば、自分は穏便に身を引いて二人を祝福しましょう。そうして一年後、学園に入学後に出会った友人になった将来の殿下の想い人をそれとなく応援しようと思ったら…。 ●婚約破棄ものですが主人公に悪役令息、転生転移、回帰の要素はありません。 性表現は一切出てきません。

36.8℃

月波結
BL
高校2年生、音寧は繊細なΩ。幼馴染の秀一郎は文武両道のα。 ふたりは「番候補」として婚約を控えながら、音寧のフェロモンの影響で距離を保たなければならない。 近づけば香りが溢れ、ふたりの感情が揺れる。音寧のフェロモンは、バニラビーンズの甘い香りに例えられ、『運命の番』と言われる秀一郎の身体はそれに強く反応してしまう。 制度、家族、将来——すべてがふたりを結びつけようとする一方で、薬で抑えた想いは、触れられない手の間をすり抜けていく。 転校生の肇くんとの友情、婚約者候補としての葛藤、そして「待ってる」の一言が、ふたりの未来を静かに照らす。 36.8℃の微熱が続く日々の中で、ふたりは“運命”を選び取ることができるのか。 香りと距離、運命、そして選択の物語。

若頭と小鳥

真木
BL
極悪人といわれる若頭、けれど義弟にだけは優しい。小さくて弱い義弟を構いたくて仕方ない義兄と、自信がなくて病弱な義弟の甘々な日々。

鳥籠の夢

hina
BL
広大な帝国の属国になった小国の第七王子は帝国の若き皇帝に輿入れすることになる。

奇跡に祝福を

善奈美
BL
 家族に爪弾きにされていた僕。高等部三学年に進級してすぐ、四神の一つ、西條家の後継者である彼が記憶喪失になった。運命であると僕は知っていたけど、ずっと避けていた。でも、記憶がなくなったことで僕は彼と過ごすことになった。でも、記憶が戻ったら終わり、そんな関係だった。 ※不定期更新になります。

愛しい番に愛されたいオメガなボクの奮闘記

天田れおぽん
BL
 ボク、アイリス・ロックハートは愛しい番であるオズワルドと出会った。  だけどオズワルドには初恋の人がいる。  でもボクは負けない。  ボクは愛しいオズワルドの唯一になるため、番のオメガであることに甘えることなく頑張るんだっ! ※「可愛いあの子は番にされて、もうオレの手は届かない」のオズワルド君の番の物語です。 ※他サイトでも連載中

【完結】愛されたかった僕の人生

Kanade
BL
✯オメガバース 〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜 お見合いから一年半の交際を経て、結婚(番婚)をして3年。 今日も《夫》は帰らない。 《夫》には僕以外の『番』がいる。 ねぇ、どうしてなの? 一目惚れだって言ったじゃない。 愛してるって言ってくれたじゃないか。 ねぇ、僕はもう要らないの…? 独りで過ごす『発情期』は辛いよ…。 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーー ✻本作品(オリジナル)の結末をif(運命の番)ルートに入れ替えて、他サイトでの投稿を始めました。タイトルは「一度目の結婚で愛も希望も失くした僕が、移住先で運命と出逢い、二度目の結婚で愛されるまで」に変えてます。 オリジナルの本編結末は完全なハッピーエンドとはいえないかもしれませんが、「一度目の〜…」は琳が幸せな結婚をするハッピーエンド一択です。

処理中です...